2010年04月29日

4/29東京・一箱古本市 根津&千駄木編


hitohako_20100429.jpg南陀楼綾繁氏の依頼により、彼が主催する「一箱古本市」をツアーすることに。4/29は根津&千駄木界隈に散らばった9ヶ所・およそ50箱!どのくらいの距離を移動し、どのくらいの時間がかかるのか全くもって不明。と言うわけで、並行して行われるスタンプラリーにも参加するため、午前中に根津駅に降り立った。

11:39 根津駅。根津神社の『つつじまつり』に向かう大量の人の流れ。駅にある公共図書棚「根津文庫」の一号車に、しっかりとパンタグラフが付けられているのを見てニヤリ。地上に出るが、まだ「一箱古本市」の気配はどこにも感じられない。取りあえずは第一のスポットを目指し、『言問通り』をテクテク歩く。古い家屋や寺町が美しい。
11:54 迷いつつ不安になりながらもどうにか「市田邸」に到着。目印となる小さな黄色い旗に『一箱古本市』の文字。この旗は今後も各スポットで、「幸福の黄色いハンカチ」のように、スポットを巡る人間を『ここにあった!』と喜ばせてくれる。古く大きな日本家屋の門前にテーブルが置かれ、男女二人がスタッフとして立っている。ここでスタンプを捺してくれたり、「一箱古本市こちらで開催中でーす」などと声を出して、イベントをアピールしている。邸内に入ると玄関までの間に3箱、苔を踏んではいけない庭に2箱が置かれている。改めて見ると一箱は結構小さい。この中で自分らしさや独自のカラーを表現するのは、至難の技と言えよう。それでもこの小宇宙にすべてを込めて、どうにか伝えようと工夫する。だからこそ何かがこぼれ始めている!この恐れを知らぬ一箱の冒険者たちに幸あらんことをっ!それにしてもこの店主さんとの近さは、やはり緊張をもたらす。箱前に人がいる時は箱内があまり見えず、誰もいない時はマンツーマンなので行動を注視されているようでムダに緊張。最初はうまく感じが掴めず、ちょっと離れた距離から盗み見るように覗き込んでいたが、どうもうまくない…しっくりこない。『このままではイカン!』とギアチェンジして、箱の前にガクッと座り込みかぶりつくように見る!気になる本には手を遠慮なく伸ばす!すると何だか乗ってきて、まずは「おやじランナーの連帯」にて講談社「悦楽王/団鬼六」を購入。趣味の良い新刊が、リサイクル古書店の最新棚より早く安く並んでいる。
12:03 会場を出て次のスポットへ向かう。途中「EXPO」と言う古道具屋に、少ないながらも古本棚があるのを見つける。しばし釘付けとなるが、本来の目的を思い出し、日射しと風の強い坂を下る。
12:08 裏路地のカフェ「COUZT CAFE 藍い月」に到着。強い日の当たる路上に4箱。人だかりが凄いので、様子を見つつ順番を待って箱前に立つ。右端の「とみきち屋」がとにかく活気にに溢れ、お客に目録を配りまくったり、「あの本は?」とビシバシ質問攻撃にあっている。知り合いも多いらしく、お互いに“古本バカ”を公認し合い楽しく笑い合っている。文学の良書が多く、ウェッジ文庫「東海道品川宿/岩本素白」日本エディタースクール出版部「詩人たち-ユリイカ抄-/伊達得夫」を購入。隣の「文庫善哉」は“散歩”をテーマに一箱宇宙を構成。なかなか緻密である。
12:20 「根津教会」着。建物が可愛らしく、幼少時にこんな教会が近所にあったなら、間違いなく心の原風景と化すであろう。その前にテーブルに並んだ7つの箱。教会のバザーも同時開催されているので、大変な人出となっている。おぉ、「四谷書房」さんがいらっしゃる。手堅い品揃えに感心しつつ、「タモリ倶楽部」に出ていた地図会社の社長が気になってしまう。そしてバザーでも古本を販売しており、その威勢のよさと、一箱を遥かに凌駕する本の多さに、一箱陣営は多少押され気味…負けるな一箱。「mondo books」にて集英社文庫「旅暮らし/森まゆみ」を購入。旅を中心に、可愛らしさを超えた品揃えが頼もしい。ショップカードを見ると、西荻窪に実店舗があるのだろうか?今度見に行ってみよう。
12:40 強い風に背中を押されながら『不忍通り』へ出る。人波にもまれながら千駄木方面へ。やがて通りに面した「クラフト芳房」に到着。お店の外に2箱。「古本 寝床や」は革のトランクにパラフィン掛けの本が詰まっている。おっ、野呂邦暢文庫が二冊も。隣の「bango books」はまだ未踏のお店である。ここで買うよりお店でじっくりと本を見てみたい。
12:45 『不忍通り』を渡り、またもや入り組んだ裏路地に突入。目指すは「ギャラリーKINGYO」。開放的なガレージのような場所に、“L”字型に低い台が置かれ、5箱がほどよい距離で並んでいる。占いをする変り種もあり。お客はみな上からそっと覗き込む体勢。「ドンベーブックス」にて中公文庫「文芸誌「海」子どもの宇宙」を購入。質の高い店頭台を見ているようで、何だかホッとしてしまう。「古本T」にて青土社「ユリイカ シュルレアリスム総特集」を購入。芸能中心の箱造りの中で、フワ〜ッと浮き上がっていたので、ついつい手に取り欲しくなってしまう。
12:55 そのまま大通りに出て「往来堂」へ。営業中の新刊書店の前に、堂々と4箱の古本箱!そのうちの一箱、「AZTECA BOOKS」は高層箱となっており、高過ぎる故か神の怒りに触れたかのように強風に煽られ、常に両手でささえなければいけない状態に。「脳天松家」が特定女性作家を核に良い品揃えを見せている。
13:05 「なか卯」にて昼食を摂る。カツ丼を注文するが、忙し過ぎるせいか完全にお店の機能が麻痺してしまっている。店内には不穏な空気が充満…。食べている間にテーマソングを刷り込まれてしまったようで、次のスポットに向かう間中、頭の中で「なかうって〜♪」がグルグル…。
13:27 結構歩いて「古書 ほうろう」にたどり着く。店頭は黒山のひとだかり。ここには三列8箱が並んでいる。トランクやダンボールにそのまま入っている、シンプルな形が多い。音楽関連が多く目に付くが、「yomyom古書部」の大森望店長の箱が圧巻で、新しめのミステリ&エンタメ単行本がドカドカと積み上がり、売れるそばからドサドサ補充。…背後の蔵書量を想像するだけで背筋が寒くなる…。隣の「アダノンキ」は北海道から遥々来たようで、酒や旅の珍しい本が並ぶ。ソ連自動車旅行本に食指が動くが、値段と折り合いがつかず断念。この後ついついお店の中にも入ってしまい、しばし棚を眺めてしまう。店内には同様の古本修羅が、一箱だけでは飽き足らずゾンビのように蠢いている…。外でスタンプを捺してもらうと、「すごい、後二つですね!」と褒められる。子供のようについつい嬉しくなってしまう自分が情けない。
13:40 裏路地をトボトボ。細道に迫り来る軒の間で少し迷う。
13:42 丘の上、立派な和風建築の「安田楠雄邸」に到着。玄関までの砂利敷きの、緑陰に覆われたアプローチに、弧を描くように5箱。ここで気になったのは「古書パタリロ」。名前はアレだが安くて良い品揃え。有紀書房「東京横浜300円味の店/山本嘉次郎」を購入。そのお向かいのロシア一筋のお店「マステルとマルガリータ」でも中公文庫「偉大なる王/ニコライ・A・バイコフ」を購入。ぜひ「デルスウ・ウザーラ」も置いて下さい。
13:52 続いてすぐ近くの「千駄木の郷」へ。大きな公共施設で、脇の遊歩道にテーブルやベンチを利用した9箱が設置されている。何故か女子本率が高いが、クイズを出題している箱や、家族つながりの文学本をプッシュする「駄々猫舎」が面白い。「orz文庫」の「ナポレオンソロ/さいとうたかを」に激しく惹かれるが、店主の「冗談みたいな値段ですが…」の言葉に値段を確認すると、適正な古書価のいい値段。思わず「ワハハ」と笑った後に、そっと優しく箱に戻す。そして何より「古書北方人」に心動かされる。硬めではあるが何となく大らかで、ツボの本たちが安い!新潮社「生涯を賭けた一冊/紀田順一郎」ちくま文庫「小説 ウルトラマン/金城哲夫」を購入。老店主が「なかなかないよ」と古本屋のように話し掛けてくる。普段のツアーのようだ、と思いニンマリ。ここは建物の谷間なので、一際風が強く吹き抜ける。店主さんはみな、箱の状態をキープするのに一苦労である。そして最後のスタンプを捺してもらうと、「やった!全部揃った!」とスタッフが大喜び。もちろん私も嬉しいのだが、多少気恥ずかしくもある…しかし何だ、この爽やかな達成感はっ!その並んだスタンプを解読すると『2・0・1・0・年・古・本・の・旅』………思わず半笑いで脱力。しかし私の旅はまだゴールを迎えていない!
14:05 各スポットを逆にたどり始める。本を並べられるのが一箱だけと言うことは、中身も回転が速い可能性大!ジリジリと一ポイントずつ逆戻り…やはり箱に動きあり。無くなっている本や、新たな本を見つけながら、往きとはちょっと違うルートを取る。途中「文庫善哉」にて中公新書「東京ひとり散歩/池内紀」を購入。さっきは無かった本である。水道橋の食堂に棚を借りているらしいので、いつかは訪ねてみたい。
14:45 ようやく旅のスタート地点「市田邸」にたどり着く。スタンプカードを差し出し、景品(秘密)を手に入れる。そして偶然にもそこで南陀楼さんに出会う。喫茶店に誘っていただき、ついでに『古本屋ツアー・イン・ジャパン賞』の受賞者を伝える。ちなみに本命は「古書北方人」で、次点に「古書パタリロ」「mondo books」でした。さて、5/2の谷中編もツアーするつもり。今度はどんな箱たちが待ち構えているのか…そしてスタンプは一字増えるようだが、もしかしたら『2010年古本の旅2』となるのであろうか…?うぅ、大作になってしまった…。
posted by tokusan at 23:18| Comment(2) | TrackBack(0) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いつも楽しく拝読させていただいております。
「COUZT CAFE 藍い月」の前に出店しておりました、文庫善哉と申します。
まさか箱を見ていただけていたとは…!それも二度までも。
緊張>>>うれしい、ですが、やっぱりなんだかうれしいです。
ありがとうございました。
Posted by 文庫善哉 at 2010年04月30日 01:31
初めまして…と言うか二度もお会いしてますね。先日は暑い日差しの中、お疲れさまでした。その日差しの中で、文庫善哉さんの箱内には、確かに宇宙が出来ていました。今後もご活躍、期待しております。いずれ水道橋も見に行きますので、またいずれ!
Posted by tokusan at 2010年05月01日 19:21
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