2010年11月16日

11/16千葉・市川真間 ATELIER ROSENHOLZ


atelier_rosenholz.jpg駅北口を出て線路沿いを西へ。そして踏切から始まる『真間銀座通り』を北へ進む。片側だけに並ぶ大きな松に、さらに大きいマンションが覆い被さっている。やがて行き当たった交差点を渡り、電気屋と質屋の看板の間の小道に入り込むと、街の喧騒が遠のいた住宅街。静かな塀に囲まれた道を、行き交う老人たちに見られながら歩いて行く。最初の脇道を西に入り込み、さらに奥部に分け入って行く。道なりに進むと小洒落たパン屋さんが現れるので、その手前の北に延びる小道を進む。すると右手に何やら立看板。そして住宅街に奇跡の『古本とカフェ』の文字!敷地内に足を踏み入れると、もうひとつ『古本カフェ この奥です』の立看板があり、ただの一般住宅へと誘い込まれて行く…これ、大丈夫なのか?軽自動車や子供用自転車の脇を擦り抜け、かなり古いモルタル住宅二階下を潜り抜けると、トタン屋根に守られた引戸の玄関が現れ、横の壁に手書きの店名看板が掛かっていた。…むぅ〜渋いな。しかし本当に大丈夫なのだろうか…?暗い玄関内に踏み込むと、天井の高い細長い空間で、高い上がり框の向こうは板の間になっている。不思議な建物だな…。玄関横には平積みされた大量の「太陽」があり、『一冊100円』の札がある。よかった、ちゃんと売っているようだ。『古本カフェ』は、本が売り物なのか、見るだけのものなのか、見極めるのが中々難しいのである。よし!と気分は高揚するものの、ズカズカ上がり込んでいいものなのか判らないので、「すいません!」と奥に声を投げ掛ける…ちょっと待つが反応ナシ。私はヌボーっと玄関に立ち尽くしている。その後も三度ほど「すいません!」と声を掛けると、どうにか気付いてくれたようで、奥からご婦人が「すみません、いらっしゃいませ」と現れた。「あのぅ、本を見せていただきたいのですが」と言うと「さぁどうぞどうぞ」と優しく迎え入れてくれる。「本はここと、後は階段を上がった二階にあります」…おぉ!この反応は、本だけの利用も“可”なのだな。そしてすぐに放置してくれ、私は薄暗い吹き抜けのような板の間でひとりぼっち。入口横の平台には「太陽」が置かれ、その横には文庫箱が四箱。たくさんの油絵が掛かる右壁下には、絵本棚が横長にズラリ。真ん中には手作り雑貨のひしめくテーブルがあり、左壁下の本棚に、文学・生活・美術・修道院・児童文学・心理学・自然・思想・「暮らしの手帖」などが並んでいる。女性&子供寄りな棚である。中には付箋の貼られた「一箱古本市の歩き方」も並んでいる…参加を考えているか、すでに参加済みなのかも。と、ご婦人が再び登場し、「太陽は100円で文庫は10円ですよ」と教えてくれた。私は再び玄関方向に戻り、脇の階段をギシギシと上がる。そこは二階と言うよりは中二階な高さで、奥の部屋の壁際に造り付けの本棚が二本ある。詩集・思想・海外文学が中心で、やや硬めな傾向。それにしてもこの建物、生活感たっぷりなのがいいなぁ。ここで一冊を抜き取って階下へ。ご婦人は奥の旅館宴会場のような大広間で、どなたかと会話に花を咲かせまくっている。話の腰を派手に折らぬようタイミングを計り、ぬっと顔を突き出し「すいません、これをいただけますか?」と声を掛ける。するとご婦人が戸惑いながら本を受け取り「あ〜、ん〜、これ私の本なのよね〜。あ〜並んでたら売ってるって思っちゃうよね〜」「あっ、もしや本は売り物じゃないんですか?」「そうなの。お茶を飲みながらここで読んでもらおうと思って…」と一旦奥に姿を消す。何と言うことだ…恐れていたことが現実となってしまった!…無念。そこへ戻って来たご婦人が、私にショップカードを渡しながら「あのね、私の主人が線路際にある山本書店(2010/06/29参照)に勤めてるの。そこはね、全部本買えますよ」…って何の宣伝なんだぁ!それにしてもご主人が古本屋さんだったとは。宣伝とは裏腹に、ちょっと嬉しくなる話であった。「まぁじゃあそこに座ってその本読んでらっしゃいよ。今お茶いれてあげるわ」…何だかおかしな展開になってきたぞ。と言うわけで、しばらくおいしいそば茶をいただきながら、はらはらとページをめくり目を落とす。…あぁ、私は一体何をやっているのか…。私は自分の所有物ではない本を読むのが、そもそも苦手なのである。何と言うか、時間制限が設定されるのがいけないのかもしれない。同様に、喫茶店やカフェなどで読書するのもまた苦手…なので本の内容はほとんど頭には入ってこないのである。熱いお茶をグイグイと飲み干して、「ありがとうございました。何かすいません…」「いえいえいいんですよ。またいらしてくださいね〜」と明るく見送られる。いい物件だったなぁ…本さえ売ってればなぁ〜。…やはり私にとって『古本カフェ』は鬼門なのであった!ちなみにこのカフェは、火木のみの営業。収穫ゼロの不完全燃焼なので、駅近くの「春花堂」(2008/09/20参照)の古本通路に身を投じ、講談社「乾杯!ロストジェネレーション/菊地武夫」を購入…これで帰れるぞ!
posted by tokusan at 19:28| Comment(6) | TrackBack(0) | 関東 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
今回はキツイ展開でしたね!
お疲れ様です。
私も喫茶店等で読書できないクチなので、
分かる分かると、
一人で激しく頷いてしまいました。
いつも本当に楽しく拝見しているのですが、
(大昔、曳船の古本屋の事で
コメントも致しました)
こちらのブログにリンクを貼っても
ご迷惑ではないでしょうか。
古本ではなく、猫ブログなのですが・・・^^;
Posted by ぶち猫部部長 at 2010年11月16日 23:03
コメントありがとうございます。もしやお名前変えられましたか?外での読書問題、やはり同士がおられるのですね!よかったぁ。電車やバスの中は大丈夫なんですけど。こんなブログでよろしければ、リンクはご自由にどうぞどうぞ。
Posted by tokusan at 2010年11月17日 21:08
せっかく、いらっしゃて頂いて申し訳ありませんでした。 ちょっと本の裏に汚れがあって…
「どうしよう」と迷ってしまいました。
あの後も気になりつつ…以前、どこかですれ違った気がしたので、勝手にまた会えると思い〜
その時改めてと思っていました。
以前から〜このブログが大好きで夫と見ていました。「いつかこのブログに出る事を夢にする!」と
言って夫に笑われていたので〜突然、夢がかなって
幸せです*
殆んどはお売りできる本なのですが、たまたまの事ですみません〜となりの夫の部屋にうなっている本の山を斬るくづしますのでまたいらして下さい*
幻の店主は火曜の午前中はいます。
Posted by ローゼンホルツ at 2010年11月18日 20:15
うわ、ありがとうございます。
さっそくリンク、
+今日の深夜更新の内容に、
少しこちらの事を書かせて頂きました。
宜しければお越し下さい(*^_^*)。
※以前コメント差し上げた時は、
まだ自分のブログを持っていなかった頃と
思います。
確かに全く違う名前でした!
Posted by ぶち猫部部長 at 2010年11月18日 21:28
ローゼンホルツ様。コメントありがとうございます。昨日は失礼いたしました。本、買いたかったんですが、仕方ないっすね。また伺わせていただきますので、その時はよろしくお願いいたします!ところであの建物の構造、ホントに不思議でときめきました。
Posted by tokusan at 2010年11月18日 23:50
ぶち猫部部長様。後ほどブログ拝見させていただきます。と言うか、猫は最高ですよね!古本屋にも時たま猫が登場すると、興奮しつつもすっかり癒されたりしています。
Posted by tokusan at 2010年11月18日 23:54
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