2010年11月28日

11/28岩手・一ノ関 虔十書店


kenjyu_shoten.jpg宮城県から、ひょいと手の届くような位置にある街へと向かう。新幹線ホームから一望出来る西側の街は、低い山に挟まれて西へと広がって行く。やはりここまで来ると、空気は冷たく少し肌を刺すようで、ホームで立ち食い蕎麦を食べていると、たちまち外気が蕎麦の熱を奪い取ってしまう。大きな西側ロータリーに出ると、まず目に入るのは『大槻三賢人像』。学者三人の胸像が、三方を向いて同じ台座に据えられており、まるでキングギドラ的異形!その胸像の後ろにある『駅前公共地下道』を潜って、西にある『一関駅前交差点』に出る。そこから直線に延びる『大町通り』をひたすら北へ。ハラハラと赤い葉を落とす紅葉が街路樹で、通り沿いの商店は店を開けてはいるが、人通りは少ない静かな北国の光景。スクエアな街路に、八百屋の店先に並べられたリンゴの香りが流れ出している。『大町銀座交差点』『大町交差点』と通り過ぎ、街の外れへと近付いて行く。岩手銀行の名に、遠くまで来てしまったことを実感。するとその先、右手のコンビニ横に目的の古本屋さんを発見。この『虔十』の名を持つお店は、神保町の「虔十書林」(2010/01/27参照)に続いて二店目である!もちろんつながりは無いと思うが、こちらは宮澤賢治のお膝元“イーハートーヴ”のお店なのである!店頭は駐車場になっており、そこに『古本』の立看板。軒には黒い店名看板が掛かり、その下には催事用の木箱が古本を収納したまま積み上がっている…店頭箱と言うわけでは無さそうだな…。サッシの扉を開けて中に入ると、高らかに防犯ブザーのようなドアチャイムが鳴り響き、奥にいた先客二人がこちらを振り返った。ドアを閉めてチャイムが鳴り止むと、たちまち店内は元通り。適度な大きさの店舗は、通路に箱や本が積みあがって乱雑気味。左右両壁に頭くらいまでの本棚、真ん中にも同様な高さの背中合わせの棚が二本、入口左横には平台のような塊があり、雑誌箱を載せている。店の奥は横長な棚で仕切られた帳場があるのだが、棚の影に隠れているので、まったく見ることが出来ない。先客二人は、その棚の前の本の山を物色しており、時折姿の見えない店主と言葉を交わしている。右の壁棚は歴史から始まり、日本文学・復刻本・全集類・古典文学・美術・音楽と続き、奥に郷土・宮澤賢治・石川啄木を備えている。おぉ!これぞ東北のお店の醍醐味!奥の仕切り棚にはそのままの勢いで東北本が続き、歴史・文化・文学・民話・地理・風俗・ビジュアル本など、多岐に渡って集められている。通路棚には岩波文庫・中公文庫・新書・古い新書(角川新書!)・落語文庫・幻想文学・探偵小説・博物学・ジャズ・海外幻想文学。棚脇には書道関連の並ぶ小さな棚がある。真ん中の通路は、右に戦争・推理小説文庫・ノベルス・ティーンズ文庫・サンリオ文庫・海外文学文庫・大江健三郎・オカルト。面白いところでは、映画雑誌や学習雑誌の文庫サイズ附録が並んでいたりする。左には時代劇文庫・官能文庫・自然・動植物。左端の通路が一番乱雑で進入し難く、右に日本純文学文庫・小学校教科書類、左に新書・文庫・ノベルス・音楽・映画などが収まっている。足元には観光地図の類いや、古いチラシなどの紙物・大判本・「暮らしの手帖」・古い児童科学雑誌・文庫本・単行本が溢れ返っている。棚にはブランクもあったりするが、古い本も良く目に付き全体的には見応えあり。東北本・音楽関連が充実している。値段は基本安めだが、いい本にはしっかり値。奥では先客二人が買い物を終え、店主と別の古本屋さんについて話している。「あそこの角のお店は閉めちゃったの?」「あー、奥さんが一応継いでるらしいんだけど、基本的には閉めちゃってる。でも中には本がそのままあるから、頼まれたら開けたりするらしいよ」「そうか〜。あそこは『気仙大工』の本とか、研究熱心だったんだけどなぁ…」(方言交じりの会話なのだが、再現不可能なので標準語で悪しからず…)。むぅ〜気になる話だなぁ。この二人は店を出て車で立ち去ったので、もしかしたらそのお店に向かったのかもしれない…何か市場のおっちゃんみたいな二人だったが、古本バイタリティがあったなぁ〜。私はと言えば、せっかくの岩手なので宮澤賢治本を購入することにする。棚の向こうに声を掛けると、ダウンを着込んだ店主が、ムッスリ小さな声で精算…店主の格好を見て改めて気付いたのだが、お店の中は寒かった。外に出ると、今までとあまり変わらぬ外気温。さっきは射していなかった日が、店頭に降り注ぎ始めた。光の中を良く見ると、キラキラの天気雨。光と雨を注がれながら駅まで戻り、電車を待ちながら、文鎮やペン立てや板ハガキと化した、宮澤賢治の姿を眺める。食指の動くものはひとつもナシ…あぁ、さんたまりや!日本書院「宮澤賢治歌集/森荘己池編」角川写真文庫「東京文学散歩 山の手篇」を購入。
posted by tokusan at 18:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 東北 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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