仕事の都合に乗っかって、そこから遥か遠くへ流れ流れて富山県。去年の12月以来…と言うか、こんなに早くこの土地を再訪するとは思わなかったな…。高岡は富山のちょっと西にある都市である。正面口から外に出ると、路面電車の駅もある昭和四十年代な地方都市のロータリー。うっとり見とれる間も無く、駅と直結するようにある『高岡ステーションデパート駅前地下入口』に深く潜り込む。地下世界も、地上同様ノスタルジックな状態である。北の高岡大仏方面へ進み、『C2出口』から地上に出ると、歩道にプラ製屋根の架かる『末広町通り』に出る。お祭りの準備のためか、大量の屋台が組み上がる脇を擦り抜けるように北へ。300mほど進むと『末広町交差点』に差し掛かり、東にも歩道プラ屋根が続いて行く。その下をそのまま東に進むと、途中から薄暗いアーケード商店街『御旅屋通り』に入ることとなる。少しうねりつつ、地方アーケード街を楽しみながら、さらに東へ。すると、アーケードが途切れる左手手前に、屋根から下がる『古書』の文字がある看板を発見。おぉ、古い擬洋風商店建築である。そしてお店の名前を見て、単純にカステラを連想…。軒のタイル部分には赤い看板文字が並び、店内正面両脇にも、店名と『読書は精神の糧』とある、縦看板が確認出来る。店頭には木箱ワゴンが三台、ダンボール一箱、屋根付きワゴンが展開し、時代劇文庫・時代小説・一般文庫・「太陽」・雑誌・松本清張全集が並んでいる。サッシ戸を開けて中に入ると、古い古いお家の匂いがプンと鼻をつき、ラジオからは地方放送が流れている。店内はシンプルな二通路式で、壁際は下に平台付きの本棚、真ん中に背中合わせの棚が一本あり、入口側に大判豪華本ディスプレイ、奥側にガラスケースが置かれている。さらに奥には広めな帳場があり、老婦人がちょこなんと座っている。右壁棚は新書と辞書から始まり、食・料理・歴史・民俗学が並んだ後は、帳場の背後まで富山&石川本が多ジャンルで並びまくる。むむ、壮観。下の平台には、箱に入った単行本や絵葉書・小冊子・観光地図・雑誌・和本が詰まっており、紙物率高し。これは各棚下共通である。向かいは、世界・日本文学・猿・動物学・解剖学・戦傷学・科学・スポーツ・思想・映画・現代史・社会・東洋文庫が収まる。ガラスケース内のプレミア詩歌本を恐る恐る眺めて左通路へ。壁棚には日本文学文庫・囲碁・海外文学文庫・教養系文庫・日本近代文学・評伝・古典文学・文学評論・詩歌・宗教・ウィトゲンシュタイン全集と続く。向かいは、お茶・京都・「キング」・「婦人之友」・美術・書が並ぶ。入口近くには、通路に置かれた絶版コミック箱あり。古い本が多く、地方都市の文化を古くから担う古本屋さんである。棚造りは背筋がビッと通っており、大判本も目立つ。値段は普通で、良い本にはバッチリプレミア値が。よし!続いて氷見線に乗って、伏木に向かおう。意気揚々とお店を出ると、激しい雷と、アーケード屋根をバラバラ叩く雨粒…春雷に出会う。雄山閣「日本の盗賊/原田種純」を購入。
この後、一時間に一本のディーゼル車に乗って伏木へ。ここの駅構内に「よか書房」と言う古本屋さんがあるはずなのだが…無かった…ただの観光案内所があるだけだった。遅かったか…(後で調べてみると、一駅先の越中国分に移転していることが判明)。およそ四十分後の上りにて高岡駅へ引き返す。サッサと東京へ戻らねばならないのだが、次の特急『はくたか』が来るまで三十分…時間潰しに駅ビル内をウロウロ。すると二階に『北洋スタンプ』と言うコイン屋さんがあるのを発見。漫然とコインや切手を眺めていると、寺田寅彦の肖像10円切手を見つけてしまい、つい200円で購入してしまう…あぁ、私は一体こんなところで、何をしているのだろうか!?

