●静岡「文高堂書店」
巨大で新しく、現代的なビルが建ち並ぶ北口ロータリーから、大通りを北西へ。進路を微妙に北に向けて『北街道』に入り、古い歩道屋根の架かる商店街を北にテクテク進む。やがて左手の景色は、お堀と石垣と緑が絶妙に混ざり合う『駿府公園』となるので、城址を偵察するかの如く、さらにお堀に沿って逆時計回りに進んで行く。やがて『草深橋交差点』にたどり着くが、ここは通り過ぎて次の信号で北へ進むと、すぐに『長谷通り商店街』。ここまで来ると観光地的賑やかさはなりを潜め、普通の田舎町の日常が広がっている。道を西に進むとすぐに古本屋さんに出会えた。ほほぅ、時の流れに身を任せた、正統派の街の古本屋さん!黄緑の日除けはビシッと張り詰め若々しいが、サッシ扉の店頭は渋く年月を経たオーラが漂っている。店頭のラックには何も並んでおらず、下部は破れたビニールにより何らかの補修が施されている。店内はコンクリ土間で、壁一面が造り付けの木製本棚、真ん中には手前がラックで奥が本棚の背中合わせの棚が一本。その奥の棚脇に帳場があり、老け役を演じる宇野重吉風店主が読書中。う〜む、素敵な古いお店の芳香が鼻孔をくすぐっている…。左の壁棚は、上部と下部に全集横積みゾーンが重量感たっぷりに存在し、それにサンドイッチされるカタチでコミック・ミステリ&エンタメ・歴史小説・日本文学・江戸東京・歌舞伎・映画と続く。向かいにはビジュアル本・大判本・雑誌が並び、奥に新書が集まっている。奥壁棚を見ようとすると、帳場の店主は左角隅に移動。どうやら棚が見易いように気遣ってくれたようだ。ありがとうございます。と思いながら、歴史・郷土・静岡・オカルト・辞書などを眺めて行く。右壁は奥から、古典文学・文学評論・橋・道・海外文学・戦争・講談社学術文庫・中公文庫・江戸&落語関連文庫・ミステリ&エンタメ文庫・時代劇文庫の流れ。ちなみにこちらも全集サンドイッチ状態である。向かいはノベルス・100均文庫、そして岩波文庫の黄・青・緑・赤。単なる街の寂れた古本屋さんかと思いきや、2/3が硬めな本の硬派なお店!ミステリ&エンタメ・コミック・文庫は新しい本が中心だが、それ以外は古めの本もしっかり混ざり込んでいる。値段は安め〜普通。精算時に袋を辞退すると、「フォッホッホ、そうですか、ありがとう」と喜ばれてしまう。カッパブックス「近代日本の文学史/伊藤整」岩波文庫「古い玩具/岸田国士」を購入。
●静岡「古本ブックスランド」
続いて再び公園のお堀沿いに戻り、またもや逆時計回りにテクテク…この辺りは学校が密集してるなぁ…などと思っていると、公園西側の『御幸通り』に接触。進路を西北に採って、ビルの足元や横断歩道を通り過ぎると、大きな赤い鳥居がドドンと出現!そこを潜れば『浅間通り』で、両側に商店が並ぶキレイに整備された観光地的街路となる。そこをサッサカ進み、一本目の脇道を鋭角に西南に曲がり込むと、今までの明るい感じから景色が一変!『浅間通り』と『御幸通り』をつなぐその道は、古めかしいトタン板の商店街となっているのだ!多くのお店はシャッターを閉じているが、やったぞ!行き先左手に『古本』の文字が見えている!時代を感じさせる、名も無き商店建築の二階に縦看板があり、古いトタン歩道屋根の下には、隠れるようにもうひとつの大きな店名看板。店頭は左に木製壁棚四本、右に雑誌ラックが二台と壁棚が一列備わっている。クナクナの「太陽」やムック類・箱入り大判本と共に、100均文庫&単行本が並んでいる。真ん中のガラス戸は、人々の手で木枠が磨耗し、美しい丸みを帯びている。ガタガタと音を立てるが、驚くほど軽快に滑って開く…む、快感である!中は横長で古く、正にガラス戸と直結した空間となっており、ただひたすらに静かである。入口横・左右壁・奥壁両端に本棚、真ん中に背中合わせの棚が四本。奥に舞台のようなカウンター式帳場があり、奥の椅子でショートカットのおばさまが、のけぞって就寝中…。入口左横はビジュアル本や図録から始まり、途中からパラフィンやビニールに包まれた日本文学が続いて行く。かなりしっかりとした並びは、そのまま右壁に継続し、途中から探偵&推理小説・アダルトとなり、奥壁に古いノベルス&エロ系新書が収まっている。向かいの通路棚は、美しい日本文学の続きで、下段にノベルスと大量のハーレクイン。左から二番目の通路は文庫で埋まっており、上半分は時代劇やミステリ&エンタメが並び、下半分はセンスの良い並びの絶版&品切れ棚となっている。日本文学・児童文学・推理小説・海外ミステリ・SF…通路に屈み込み、長時間目をキラキラとさせてしまう。真ん中はコミック通路。右から二番目は、文学評論・歴史・民俗学・新書・選書・宗教。入口右横は豪華大判本が多く並び、右端通路にはテレビ・文化・政治・犯罪・思想・実用・静岡・ノンフィクション・世界文明・古代・美術・山岳・釣り・映画・戦争が多少カオスに集まり、帳場横に詩歌句あり。その軽い店名からは想像出来ない、芯のあるセンス良しな本棚が立つお店である!特に私は文庫の並びに感心&満足。しかし値段はしっかり値付け…それでも少しは綻びがあるところも…。すでに起床したおばさまに精算をお願いすると、椅子を降りてカウンター前で立膝になり、小さな計算機のボタンを連打!嬉しいことに店内棚の本は30%引きであることを告げられる。すると結構安くなるぞ!ありがとうございます!朝日ソノラマ「人物写真/林忠彦」市民文庫「旧友芥川龍之介/恒藤恭」毎日新聞社「古代文明の謎と発見5 ミイラは語る」を購入。
本日の二店は、年月を経た店舗が非常に好ましく、私の懐古心と旅情を大いに刺激してくれた。棚はしっかりと動き、古本屋さんとしても機能しているが、もはや現代と完全に異相となった空間として存在しているのが、とにかく素敵で素晴らしい!今後もどんどんスライドして、さらなる時空の開きが生まれることを期待しています。


2店あるブックスランドは新古書店でたいした物は無いだろうと思い見送ってしまいましたが、
今回の記事を読むと見応えのある古本屋だったようで後悔。
文高堂書店はこじんまりとしていますが、中々の品揃えでした。
他に安川書店は本格派でじっくり堪能させてもらいましたが何も購入出来ず、栄豊堂書店はお盆休み、司書店は表札はあれど店舗は無いようでした。
駿府城の周りは緑が多くいい散歩になりました。
盆休みで関西へ帰省の折、大阪と神戸の古本屋さんへ寄って来ました。30年前、学生だった頃は、先週は大阪(梅田)、今週は難波(なんばん古書街)、来週は天王寺という感じで古本屋さんを回っておりました。現在、既になんばん古書街がなくなって久しく、天王寺の古本屋さんもずいぶん変わってしまいました。
今欲しい本、30年前のあのお店であればあったのでは?、などと妄想してしまいます。