2011年10月21日

10/21大阪・京橋&桜ノ宮で最終的には奇跡と言われ三店!

所用で久し振りの大阪。喜びに打ち震えながら、厳しく地域と時間が限定されるが、どうにか近場の三店に目星をつける。街のそこかしこから襲い掛かる、大阪弁の調べにドキドキしながら、急ぎ足でツアーへ!

yamauchi_shoten.jpg
●京橋「古書 山内書店」
西口から出て、ビル内の通路を北へ。外に出ると、橋とも広場ともつかない、中途半端な陸橋の上。そこを渡って地上に降り、ビルの間の裏通りを東へテクテク。やがて現れる大阪環状線のガード下を潜り抜けると、さらに裏通り度が増し、左手前方に物凄く活気ある屋外立呑み屋が見えて来る…あっ!その対面右手前方に、『古本・古書』の看板あり!立呑み屋に行列する人々の視線を受け止めながら、店頭に一目散!二階には『趣味本・和洋本・古書』の看板があり、二階の窓下から赤い日除けがダラリと下がる。その下は大きな壁棚と足元に小さな箱がズラズラ。路上には立看板と共に、「プレイボーイ」などの軟派グラビア誌の詰まった箱が三箱。壁棚は単行本がメインで、安売り&雑本的な並びで収まっている。足元の箱には、100均の文庫・雑誌・単行本・漫画雑誌がドッサリ。店内は整頓の行き届いた小世界なビジュアルで、優良な“街の古本屋”を感じさせる。壁一面は本棚で、入口左横にご婦人の座る帳場があり、真ん中に背中合わせの棚が二本。通路は狭めとなっている。奥の右側には地下への階段があり、真ん中奥には小スペースと二階への階段がある。二階はしっかりとした店舗となっているが、地下は低くなった裏手への出入口のみ。ただし階段部分に、児童文学・ガイドブック・囲碁・将棋が置かれている。右壁は入口横に地図棚があり、廉価コミック・美少女コミック・日本近代文学・日本文学評論・風俗・歴史・大衆小説・70年代日本文学・女流作家文学・詩…渋さと俗さが同居するこの並びは、後に二階で大輪の花を咲かせることとなる。向かいにも70年代周辺日本文学・大衆小説。一番狭い中央通路には、両側共新しめの日本文学文庫。左側通路に移動し、左壁に実用・医学・スポーツ・辞書・海外文学文庫・岩波文庫・時代劇文庫・時代小説・心&宗教と並び、角を曲がって奥壁に歴史・ノベルス・新書と続く。通路棚には、エッセイ・海外文学・近現代史・現代社会などが収まっている。下り階段をちょっと覗いてから、二階階段下スペースで、戦争・アダルト・雑誌・美術・音楽・建築・骨董・映画。演劇を見る。狭い階段を上がりつつ、全集タワーと絶版新書に集中していると、二階帳場でお弁当をおいしく食べる、ヒゲのオヤジさんと視線が正面衝突。お互いに頭を下げて、どうにか気まずさを回避する。そして改めて周囲を見回すと、ここがまた不思議な空間で、アダルトとパラフィン掛け古書の二極化し過ぎた棚構成が展開!アダルトの毒々しい色味に圧倒されながらも、古い本の連合軍が左壁・奥壁・右壁手前一部にある。日本文学研究・民俗学・歴史・社会科学・思想・岩波文庫絶版・大判美術本&学術本・文学復刻本・海外文学・大衆小説の姿のみを必死に追い掛ける。街の古本屋さんにプラスして、古書の香りが芳しいお店なのである。値段は安め〜ちょい高で、プレミア値はしっかり。二階で今日の問題社「写実/板垣鷹穂」を購入。それにしてもこのお店、常に対面の立呑み屋さんの喧騒に飲み込まれ、色んな意味で大阪の街をちょっとだけ感じ取ることが出来る。お客も従業員も通行人も、常に何か喋っているのだ!出来れば私も一杯無言で飲っていきたいのだが、早く次のお店次のお店…。

risshido.jpg
●京橋「立志堂書店」
続いて駅前の陸橋下に戻り、人の流れに乗っかって『KEIHAN MALL』と自転車置場の間を通り、駅前広場を抜けて『国道1号』へ。ここから進路を西に採り、しばらくテクテク歩き続け、大きな『東野田町交差点』。ここでグイッと北東に鋭角に曲がり込むと、もう50mほど前方に緑の日除けが見え出した…。角に入口のある木造建築書店である。どう見てもただの街の新刊書店なのだが、何故か古本も扱っていると言うのだ。果たしてその真相は…?ビニールの垂れ幕に分け入り中に入ると、明るくキレイなだが瞬時に古さが伝わって来る…平台の大きさがノスタルジックな店舗である。しかし並んでいるのは雑誌も漫画も単行本も新刊ばかり…手に取り確かめてみるが、スリップがしっかりと挟まっている。帳場を兼ねた住居への上がり框に半臥するオバチャンが、胡散臭げな視線をこちらに投げ掛けている。ちょっと焦りながら左側通路へ進むと、通路棚上部の左半分に『新古及古本棚』の小さな貼紙を発見。あった!よかった!その四段に並ぶのはすべて文庫で、日本文学・海外ミステリ・ミステリ&エンタメ・時代劇・官能の一般的な棚構成。値段表記は何処にも無いので、半信半疑で一冊を抜き取り、帳場に「これを」と差し出してみる。するとオバチャンはしばらく裏表紙を見ていたが、そのまま奥に横臥するご主人に「あんた、これ」と渡す。彼はパラパラとチェックした後、「190円」と一言。あぁ、古本で良かった。新潮文庫「他人の顔/安部公房」を購入。

sanrin_syorin.jpg
●桜ノ宮「古書 三鈴書林」
『国道1号』の戻って西へ進み、大川端の道を北進。左に『桜の宮公園』を見て、右にラブホテル群を迎え、ズンズン北へと進んで行く。どうやらここは土手の上で、公園も街の向こうも、一段低くなっている。500mほど進んで野球場を過ぎると、あれが目的のお店なのか…!?もうこの辺りまで来ると桜ノ宮駅の方が近く、左手にはクズ鉄屋や古紙回収屋の小屋が連なる特殊な地帯。しかしこの古本屋さんも負けてはいない!灰色の煤けたモルタル二階家で、路上に縦長の立看板がポツリ。半開きのサッシ戸にも店名のある紙が貼り付けられているが、これは本当にお店なのか?と躊躇すること必至な店構えである。しかしここで尻込みしては、私の生きている意味は無いっ!とサッシに手を掛けてガタガタ中へ。電気は点いており、一応本の詰まった木箱が出迎えてくれるが、ほとんどダンボールで埋め尽くされた倉庫的空間!…これは、入って良かったのだろうか…。そして誰もいない…。入ってすぐ通路が左右に広がり、左は二階への上がり口、右は90度曲がって奥へと続く道。本を見られる所は、入口正面から右に折れる通路手前までで、とにかく後はすべてダンボール箱の嵐なのである。本は、映画・社会運動&思想系文庫・英語文庫・文学評論・選書・風俗・歴史・幕末・古典文学・山岳・思想・宮沢賢治など。左傾の本が多く、値段は高め。そして一冊を手にしたはいいが、誰も出てくる気配は無い。まずは右奥に向かって、何度か「すいません」と声を掛けるが反応ゼロ。続いて左側の階段下に立ち、上に向かって声を掛ける。すると二度目で「ハイ」と返答があり、ミシミシと階段を軋らせて男性が姿を見せた。白髪痩身の笑顔こぼれる方で、私が本を差し出すと、「ウワッ、買ってくれるんですか!ありがとうございます。奇跡だ!スゴイ!」と何やら身を捩じらせ感動している。ちょっとあっけにとられながら、「あ、あの、入って良かったんですか?」「えぇえぇ、大丈夫ですよ」と話しつつ代金を支払う。するとおもむろに、「いや〜、本が売れないからね。川向こうの店を畳んでこっちに来たんですよ」「えっ!そうなんですか?」「今はもうネット販売と大学の古本市で売ってるの。でもそこの棚だけは、意地でも残しとこうと思って…」と木箱群を指差す。「あ〜、本を買いに来てくれる人がいるなんて。ホントに奇跡だよ」。…はぁ、もう古本屋さんにそこまで言われたら、奇跡と思っていただけるなら、今日ここまで古本を買いに来た甲斐があると言うものです!ツアー冥利に尽きまくり!こちらこそ、まだ本をお店で売っていてくれて、ありがとうございます!これからも古本屋さんに光あれ!青木文庫「フアシズムの誕生/小此木真三郎」を購入。

「三鈴書林」を出て、すぐに大川端に出ると、何だかフランスのような水辺の景色。大阪は現在の東京よりも、遥かに親水性の高さを感じさせる都市である。…ここをちょっと下れば、対岸が有名な造幣局の『桜の通り抜け』になるのか。私は古本を抱えて、どこまでも河岸をトボトボトボトボ……。
posted by tokusan at 21:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 近畿 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック