2011年10月23日

10/23神奈川・百合ヶ丘 古書店 アニマ書房

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今月限りで店舗を畳み、ネット&目録販売に移行するとの悲しいタレコミを胸に、傾斜した南口駅前広場に立つ。2009/05/23に訪れた優良店は、今日も目の前の時計塔を有するツギハギ商店街の二階奥に潜んでいる。『百合ヶ丘駅前信号』を渡って、歩道屋根の下で階上への急階段を見上げる。上がり口の周囲や壁看板には『閉店セール実施中』の貼紙がペタペタ。『単行本・大型本30%引き、新書40%引き、文庫本40%引き』の、悲しいが嬉しくもある値引率が書かれている。階段を上がり廊下奥へ進むと、均一台も含め通常時と寸分変わらぬお店の姿。サッシ扉を開けて中に入ると、優雅なクラシックのチェロ演奏が耳に飛び込んで来る。店主は右奥の帳場で、何かの先生とガッツリ話し込んでいる。深い知識や、社会&世界情勢が飛び交う会話…どうやら先生は、お店の閉店を知り駆けつけたらしい。他にも先客がひとりおり、本を抱えて棚を眺めている。相変わらず何故かペリペリとくっつく床に靴底を取られながら、棚を隅から隅まで古本修羅の目で精査開始!むぐぅ、通常営業時と変わらぬクオリティでの閉店セール…これは素晴らしい。棚下の本が詰まった紙袋は、補充用なのだろう。良質な棚に溺れながら、濃密な別れの時間が経過して行く。途中、常連のおばあさんが入店して来て、「これからも元気でいて下さいね」と店主と互いに別れを惜しんでいる…何だか港で出航する船を見送るような、寂しくも感動的なシーン。おばあさんは棚を眺めながら「本って楽しいね〜」とつぶやき、先生は「またもう一度来るから」と帰って行った。その間も、お客さんが次々と訪れて来る。タイミングを見計らって、本の束を帳場に差し出す。店主は丁寧に値引きしながら、梶山季之追悼文集を掲げ「これ、もうあんまり無いんですよ」とにっこり。「さすがにみなさん話し込まれて行きますね」と話し掛けると、「長い人たちばかりですから。今までどうもありがとうございました」と、私にも公平に別れの言葉を掛けて頂く。後で袋に入れられた『アニマ通信』に目を通すと、景気低迷・大震災・原発事故が閉店の遠因であること。また、今回の原発事故から始まった一連の出来事を通し、お店の理念である『歴史を学ぶことの大切さ』が、伝わらなかったことを痛感したことも、理由であると書かれていた。寂しく、口惜しさの滲む一文である…。十一年間、お疲れさまでした。そして良い本をありがとうございました。お店は10/31まで。季節社「積乱雲とともに 梶山季之追悼文集」角川文庫「いのちの初夜/北條民雄」佑学社「センス・オブ・ワンダー/レイチェル・カーソン」新潮文庫「帰りたい風景/洲之崎徹」白水社「洞窟探検入門/エリック・ジック」を購入。

帰り道、下北沢で途中下車し「古書 赤いドリル」に向かうが、あれ?休みか。続いて「古書ビビビ」に向かうと、大変な混雑っぷりに度肝を抜かれつつ、本の雑誌社「おかしな時代/津野海太郎」を購入する。
posted by tokusan at 19:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 関東 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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