2012年02月25日

2/25宮城・気仙沼 唯書館 気仙沼店

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東北に向かうと、雨が途中から雪に。一ノ関で、ワンマンディーゼル二両編成の大船渡線に乗り換える。車内は、何かの交流行事で気仙沼に向かう小学生で一杯。私が本を読んでいると、そのボックス席に着いた女子三人も読書を開始…外では雨のように雪が降っているのだが、ディーゼル車はものともせず、谷間をクネクネと進んで行く。およそ八十分後、列車は時刻通りに駅に滑り込んだ。降雪にも積雪にも揺るがない、タフさに感動。…気仙沼…果たして街はどのような状態なのか…ちょっと緊張しながら駅を出ると、燈台と鮫とカジキマグロが凍えている、田舎の小さなロータリー。十五センチほど積もった雪のために、視界は白。ここはまだ谷間の雰囲気が残っており、ゆっくりと二キロほど先の気仙沼湾に向かって落ち込んで行っている土地なのである。なので駅周囲では、津波の被害は見当たらない。ロータリーを抜けて、駅前の大通りを北西に進む。やや上り坂な上に、歩道にほとんど人の歩いた痕跡が無く、新雪をキュッキュッと踏み込み、開拓者のように進む。左手に半島のように横たわる小山があるので、それを北から回り込むようにして、雪の中を先へ。時々、電線から落ちて来た雪塊が、爆撃弾のように傘を直撃したり、足下が新雪で白過ぎるため、至近距離なのにホワイトアウトしたりする…そしていつの間にか雪で重くなる傘。フウフウと苦労しながら、300mほどで『一関』と『東新城』への分かれ道。左の『東新城』を選択し、下りながらヘアピンカーブして行く道を、滑らぬよう注意して進む。小山の突端を回り込み、二本の川を橋で越すと、道は南への直線道となる。橋からズボズボ100mほど進むと、左手に駐車場のある二階建ての大きなプレハブが、二棟連なる寂しい光景…ここは商店街なのである。その名を『東新城 つばめ通り』と言い、3/11の津波や地震で被災した商店が、今年の二月に場を移し、新たに仮店舗で再出発したのである。
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そしてその中の一店に、フェニックス古本屋「唯書館」もっ!一年の時を待たずして、被災したお店がついに気仙沼に戻って来たのである!去年の夏に避難先の群馬で再起し(「唯書館 中之条店」2011/07/29参照)、そして気仙沼への帰還!こんなスゴいことを、指を加えて放置するわけにはいくまいっ!しかも私自身『いつの日か、気仙沼に帰ったその時は、万難を排して、古本を買いに駆け付ける所存です』と誓っていた!と言うことで、張り切って雪の中を進んで来たわけなのである。
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目指すお店は奥の一棟の左端。二階窓下に『本お売りください』とある大きな看板、それに玄関灯と窓ガラスにも店名がある。傘をすぼめて近付くと、中からメガネ女子店員さんが姿を現す。「やってますか?」と聞くと「ええ。いらっしゃいませ」と傘立てを出してくれた。身体に付いた雪を払ってサッシの入口を潜ると、左側のレジ帳場からメガネ男子店員さんがにこやかに「いらっしゃいませ」。床はコンクリだがプレハブそのままな店内。右の壁際に本棚が七列。フロアには右に背中合わせの本棚、左に背中合わせの雑誌ラック。左の壁際には本棚が張り付いている。各棚はすべて胸辺りの高さまでで、店内を広く見通せる状態。右壁棚は、ビジネス・ノンフィクション・エッセイ・社会・日本文学・海外文学・歴史・サブカル・文化…新しい本を中心に、少しカオスな並びとなっている。向かいは出版社別文庫がズラッと並び、何故か集英社文庫に古めの本が多い。真ん中の通路は、右にガイド・村上春樹・ハーレクイン・新書・ノベルス・海外文学文庫・時代劇文庫・岩波文庫・ちくま文庫、左に女性誌&ムック・絵本・児童文学となっている。左端通路は、ラックにカルチャー雑誌&ムック・アニメ・同人誌、左にコミック・ラノベ…そして奥は両側共アダルトゾーンとなっている。おぉ、完全なる街の古本屋さんなのである。教養からアダルトまでを一気に引き受け、復活したのである!値段は定価の半額が基本だが、見返しに値段札のあるものはちょい安となっている。気仙沼への帰還&開店、純粋に祝わせていただきます。おめでとうございます。そしてお帰りなさい。創樹社「硝子障子のシルエット/島尾敏雄」双葉文庫「殺意という名の家畜/河野典生」コアマガジン「裏の大事典」を購入。しかしそんな風に感激しながらも、駅への道のりを考えると少し憂鬱になる…あの大回りさえなければ近いのだが…。帳場で精算しながら、駅への近道はないのか聞いてみたが、やはり来た道が一番近いとのこと…帰りも雪中行軍か…。

犬に吠えられたりしながら、どうにかヒーフー駅まで戻る。駅前食堂のカレー粉カレーライスで腹ごしらえした後、駅前の商店街を下り、港方面を目指してみる…しかし雪のため、400mほどで挫折する。…情けない。しょぼんと駅へ引き返して行くと、駅前のクリーニング屋「ママ号」が古本を扱っているのを発見する。何か買えるだろうか?…残念、湿ってざらついた本に手が出ず。これにて気仙沼行は幕を閉じ、14:26の大船渡線で帰路に着く。あれだけ降っていた雪が止み始め、相変わらずの曇り空だが、車窓の景色が、日が射し始めたかのように、明るくなり始めていた。
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posted by tokusan at 21:19| Comment(2) | TrackBack(0) | 東北 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お疲れ様でした。
今はこの実行力が大事ですよね。
私には何もできませんが、せめて心に留め置き、生きていること、仕事があることに感謝しなくてはいけないと、改めて思いました。
雪道を歩き、筋肉痛になっていませんか?
Posted by 本牧1丁目 at 2012年02月27日 00:29
コメントありがとうございます!もう本当に、このお店の再興ぶりには、頭が下がるばかりです。気仙沼の古本屋さん、機会があればぜひ!そして雪道、不慣れで歩くのが大変で、スニーカーで行ってしまった上に、雪は積もったばかり。普段は使わない筋肉をふんだんに使ってヘトヘトになりました。
Posted by tokusan at 2012年02月27日 19:13
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