2012年05月20日

5/20福島・植田 瑞雲堂書林

天気も良いし、普通列車で遠くを目指す。常磐線で、東京→千葉→茨城と通過して福島県。四時間の旅程で目的駅に到着する。緩やかに長く弧を描く小山沿いのホームから、跨線橋を渡って東側の改札をSUICAで抜けると、平坦で白っぽい田舎街…目の前には、静かで陽光煌めく二つのロータリー。左側のロータリーから人影の無い通りを東に進む。体感する時間の流れが、東京とは明らかに異なっており、夢の中の1シーンのようにホワホワと歩む。誰もいない交差点を過ぎて、200mほどで見えて来る渋川に架かる『東田中央橋』。右の海方向に、火力発電所の大きな三本の煙突を眺めながら、橋を渡り切る。すると左手に『ハローワーク』と『ブックオフ』が現れ、街のメインストリート的な交差点に至る。そこを北に曲がり込み、すぐに『ブックオフ』裏手の脇道に進入。すると豪壮な住宅の隣りに、一階は『車庫』と大書されたシャッター、二階に『東田大堀塾』の看板、そして建物脇に張り付いた外階段下に、『営業中』の真っ赤な幟が立つ…とても店舗には見えない、小さなアパート的建物である。しかしここが目指すお店!しかもやっているようだ!二階の窓を見上げると、風を入れるためか開け放たれており、窓には店名と共に『古書販売』『古銭買入』の紙が貼り出されている。あまりにも入り難い特殊な佇まいである。その世間からはみ出した姿に感動&興奮し、膝を屈して写真を撮りまくる…素敵だ!
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牛乳受けのぶら下がる、狭くて急で短い外階段をカツカツ上がると、目の前に中国紙幣の貼り付いた看板が現れ、手前の薄い合板ドアが開け放たれている。
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恐る恐る敷居を跨いで中に入ると、六畳ほどの小空間で、左側半分の壁際に本棚、中程を古銭&コインの飾られたガラスケースで仕切り、その向こう側に読書中の福々しく若々しい中年店主が座っていた。「あっ」とお互いに頭を下げ、私は早速本棚に目を移す。すると店主は、何くれと無くフレンドリーに、所々で話し掛けてきてくれる。「すいません、ちょっと荒れてますが…」「お近くの方なんですか?」「古本はあんまり売れないんで、最近は仕入れてないんですよ」「もしかしてお仕事は火力発電所?あそこも津波でやられたんですけど、どうやら動かすらしくて。それで人が流れて来てるんですよ」「古本は二割引。貴重なやつじゃなければ、もっと引きますよ」「ウチは、セドリの人も立ち寄らないですね〜」「お店はまぁ、私の気分で開けてるようなもんで…」。色々お話しさせていただきながら、棚に目を走らせて行く。ちなみに店主の言葉は、すべてプリティーな福島弁での発言である。宗教・オカルト・戦争・福島&いわき・性愛・満州・朝鮮・韓国・戦争…非常に偏りまくっているが、棚造りは極めてしっかりしている。特に満州&朝鮮&戦争関連は、茶色い古い本も含めて充実。足下には安売り文庫箱(ここは一般的)があり、入口右横には風水の羅盤と共に古い外国のシングルレコード、それに戦前のポスター類や、軍服なども飾られている。うむむむむ、よくぞ地方でこのようなマニアックなお店を営業してくれてました!うぉっ!ガラスケースの中に、中国・国民党の鉄兜(40万円)が!本を二冊ケースの上に差し出すと、しっかりと二割引精算!すると店主が「はぁ〜」と切ないため息をつき、「本が売れるなんて嬉しいなぁ」と一言。魂の震える、古本屋ツアー冥利に尽きる展開!私も嬉しいので、この後も満州資料・紙幣・陶貨!・鉄兜なども見せていただき、200円を古い50円玉に両替するなど興奮のひと時!店主の「あぁ、戦前の朝鮮半島に、本当に行きたいな」と言う夢が、狂おし過ぎました。もしまたこちらに来ることがあれば、遠慮なく再訪させていただきます!真珠社「横浜正金銀行の十九年/滝口昌英」文研出版「食中植物/近藤誠定・勝彦」を購入する。さあこれからまた四時間、ノンビリトロトロ読書しながら、長い海沿いを電車に揺られて帰るとするか。
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posted by tokusan at 20:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 東北 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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