●岐阜「bicabooks」
北口の空中広場に出ると、まずとにかく目に入るのは金ピカの織田信長像!いや、その輝く色はもはや金を通り越し、カールのチーズ味色!そして火縄銃を携えたその姿は、“戦国武将”の枠を軽々と凌駕しており、“魔王”と呼ぶに相応しいクレイジーさを漂わせている。そんな魔王の足下を、逆鱗に触れぬようこそこそと通り過ぎながら、地下道を抜けて、北へ延びて行く『金華橋通り』に入る。最初のブロックは、昔ながらのお店やビルが集まる繊維街で、店先では多数のブラウスやシャツが風にひらめいている。ここを抜けると、第二・第三ブロックはだだっ広い地方都市の街路。駅から北に600mほどの『金町5交差点』を越えると、息を吹き返したように繁華街へと変化する。さらに北に進んで『高島屋』前を通過し、『柳ケ瀬信号』で安っぽいギリシャ賢人像が見下ろすアーケード街『フローレンス柳ケ瀬』に進入する。東に進んで二つ目の十字路を北へ。飲み屋やスナックの酒精的影が濃くなって行く中、右手に独特なデザインフォントの看板を掲げた『やながせ倉庫』が姿を見せる。古い長屋的店舗ビル三棟(一棟は工事中)に、ショップやギャラリーが細々とひしめく、若者たちの文化的九龍城である!内部はとても複雑で、意外な所に通路があり、お店があり、階段があり、繋がり合い、中をうろついているだけで、たっぷりと探検気分を味わえてしまう。そしてこの中に、カフェが経営する無人古本販売所も紛れ込んでいるのだっ!アーケードから見た右端、『1号館』の長い直線通路を奥へ奥へと進むと、最奥の通路角に古本棚が三本と、四角いボックス棚が設置されている。通路左側の横長棚には、映画・児童文学・文学・エッセイ・アート・デザイン・若者カルチャー。奥壁の本棚には、食・音楽・美術雑誌。一段上がった右奥のガラス天板棚には、絵本・作品集・写真・建築・ファッション。向かいのボックス棚には文庫や雑誌が収まり、その脇にはお店の看板が床に直置きされている。肩肘の張らない、若者向けセレクトの棚造りで、読むための本たちが並んでいる。値段はどれも500円前後で買い易い印象。狭くごちゃついた中庭を通ってたどり着く『ビッカフェ』が営業中の時は、そこに代金を払いに行く。カフェがお休みの時は貯金箱が置かれ、そこに代金を投入する仕組みになっている。地面の矢印に従い中庭を突破し、カフェのカウンターで精算する。青山出版社「メイド・イン・ホンコン/原案フルーツ・チャン 百瀬しのぶ著」を購入する。
『やながせ倉庫』向かいの細長い蕎麦屋で『志の田そば』を頼んで昼食。聞いたこと無い名で、食品サンプルを見ても具が何なのか判然としない。しばらくして出て来た蕎麦は、ざっくりと切られた油揚げがたっぷりと入っていた。そうか!油揚げ→狐→信太の狐→志の田と言うわけか。
●岐阜「古本 徒然舎」
昼食を終えたらアーケードをそのまま北へ抜ける。『若宮町通り』に出たら、東へひたすら進んで行く。最初は風俗街の一角と言う感じだったが、『神田町3交差点』を越すと静かに人影が少なくなり、麓が神社の小山が迫って来る。道なりに進んで南に曲がって行くと、『殿町2交差点』脇に二階屋がくっ付いた、屋根が不思議な片流れの古本屋さん。雑司ヶ谷近辺の『外市』(2010/09/05、2012/01/07参照)で、本を買わせていただいたり、今年の始めにはご挨拶もさせていただいたりしているのだが…。小さな路上の立看板・濃紺の日除け・窓内の店名看板を見やりながら、開け放しのドアから緊張して中へ入る。するとそこは玄関。スリッパを履いてカーペットを踏めば、お店が奥へと広がって行く。奥の窓も開け放たれており、風が本棚の間をフゥッと通り抜けて行く。玄関には100均棚が二本あり、主に文庫がたっぷりと収まっている。室内に上がり込むと、右には低い絵本&児童書棚と、暮しエッセイ本やカラーブックスの姿が。ミニコミ誌棚の後側に帳場があり、女性が一人静かに作業中…あれ?この人が店主さんだっけ?…い、いかん、思い出せん!こりゃ、まずい。しかし向こうも反応無し…よし、このまま気配を殺して、あくまで一般客を装って行くか。帳場向かいの左壁には、食・冒険・旅・本&古本・夏葉社本・写真・建築・工芸・映画・音楽・美術・図録が続く。足下にはミニプラケースも置かれ、棚と同ジャンルの本が詰められている。奥に進むと左側が少し膨らみ、和をテーマにした棚が一本、文具&雑貨棚、犬&猫・切手&手紙・児童文学・絵本が並ぶ。奥壁には雑誌・デザイン・特価文庫。帳場横の右壁は、詩歌・講談社文芸文庫・澁澤龍彦・ミステリ文庫・日本古典文学・貸し棚一本(「五つ葉文庫」さんも!)・復刻児童文学・絵本と続く。…小さく小さく話し声が聞こえる。どうやらどなたかもう一人いるようだ…。真ん中には“T”字型に五本の棚が組まれ、セレクト日本文学・エッセイ&随筆・海外文学・サブカル・鉄道・スポーツ・哲学・思想・科学・動物・文学評論・歴史が収まっている。建物は不思議で面白いが棚造りは丁寧で美しく、扉をちょっとだけ開いた小さな宇宙たちが、人が好奇心一杯で入り込んで来るのを待ち受けている。値段はちょい安〜普通。二冊を選んで帳場へ…あれ?さっきと人が変わってる?気のせいか…この人が…そうだっけ?あぁ〜判らない!ご、ごめんなさい!学研M文庫「後方見聞録/加藤郁乎」みすず書房「科学者点描/岡部昭彦」を購入する。何となく後ろめたい気持ちを抱きながら、お店から脱出。すみません、今度岐阜に来た時にまた寄らせていただき、しっかり名乗って挨拶を…と心の中で謝罪しながら、お店から数十メートル離れたベンチに座り、頭の中に描いた店内見取り図を懸命にメモメモ…。
己の社会性の無さに呆れつつも、奇麗にお店を回れたことに幸せを感じる。帰りは『長良橋通り』から駅へ、と進んで行くと、一軒の木曜が定休日の古本屋さんに行き当たる。下ろされたシャッターを、透視してしまいそうなほど見つめてしまう…中には一体どんな本が…。あぁ、やはりまた来なければ、ギフ!


昨日は遠路はるばるご来店ありがとうございました。
あ、お会いしたことある方だな…と、お顔を拝見した際に思ったのですが(笑)、基本的にこちらからはお声はかけないようにしているので、結果、失礼な対応になってしまい申し訳ありませんでした。
良い本買って下さってうれしいな…と思っておりました(^^
棚の描写、ドキドキじっくり読ませていただきましたが、なにひとつ間違っていなくてビックリです!
古ツアさんの凄さ、改めて実感いたしました(笑)
なかなかついでもない岐阜の土地で恐縮ですが、次回は是非またゆっくり、岡本書店、我楽多書房、ちょっと離れますが鯨書房といった良いお店もありますので、一緒にお立ち寄りいただけたら嬉しいです。
今度は是非お声かけください。お待ち申し上げております。
おかげで場所がわかりました。鯨書房はかつての長良北町ですな。市内線が健在であれば、まずは徹明町で降りて徒然舎、岡本書店、我楽多書房、そして終点までの行って鯨書房、そこからバスで三田洞に行きポプラ堂。他所者にはバスより路面電車のほうが、どこを走るかが明確にわかり便利でした。千手堂の交差点にあった「なわた書店」が消えて20年になりますか。そこを直進、本荘にも一軒ありましたが、電話帳に載ってないところをみると…。折立にあった店も消えたようで。千手堂を忠節に向かい、真砂町郵便局のあたりにもありました。2000年頃ですが。ここは3年程度で消えたはずで。忠節の「書泉」…神保町のあの店と同名…電話帳には載っているということは営業中なんでしょうか。