2012年06月17日

6/17福島・会津若松 勉強堂書店

benkyodo_shoten.jpg
『ウィークエンドパス』二日目は、郡山から“赤ベコ”マークのある電車・JR磐越西線に乗り込む。西に向かって徐々に標高を上げながら、狭い緑の谷底を走り抜け、一時間二十分。爽やかな風吹き渡る、四方を山と雲に取り囲まれた会津盆地に到着。駅舎を出て、赤ベコ像と白虎隊像に挨拶をし、ロータリーを抜け出してから線路に沿うように北へ。左にコンテナ基地や、扇形の操車場を眺めつつ、ズンズン北へ。道なりに500mほど進んで、『国道49号』とつながる『北柳原交差点』。この辺りにもはや観光地の気配は無く、完全に地元民の生活圏内となっている。ここから東に進むと小さな『不動川』が現れるので、橋を渡ってからすぐ川沿いに北へ。後は住宅街の中を北に進みつつ、右へ右へ右へと入り込んで行くと、やがてたどり着く自動車教習所。脇の直線道を真っ直ぐ北へ進むと、行く手に見える緑に囲まれた広大な敷地は『会津大学』で、直線道が終わった所で左を見ると、ほぉ、『会津の古書處』とある看板が立つ、モダンな和風建築の古本屋さんがそこにあった。大学前だが辺りは異様に静かで、緑の多い歩道には雑草も繁茂している。三角屋根・白壁・連続する大きなガラス窓が品良く特徴的で、入口上には金文字の店名。早速中に入ると、まずは陶器や古道具が出迎えてくれ、物や本が重層的な景色を生み出している、物量に満ちた店内。しかし乱雑さは何処にも無く、上から下までビッと整頓が行き届いている。壁棚にぐるっと囲まれた空間は横長で広く、フロアに三本の分厚い背中合わせの棚を備えている。入口右横に古道具(イタチの毛皮?や様々な人形もあり)と本に囲まれた帳場があり、白髪の萬屋錦之助と言った店主が、横向きに店番中。左壁は上部に箱入りの歴史&風俗の資料本が並び、下に歴史小説・海外文学文庫・時代劇文庫・海外文学。足下にも横積み本があり、ここには日本文学も混ざっている。向かいは下がラックになっており、大量の紙物・錦絵&浮世絵類と共に、「銀花」・自然・生物・植物・詩集などが続く。棚脇棚には全集本類が積み上がり、奥壁には左から新書(足下にオカルトあり)・書・会津資料館的紙物類&古道具類。左から二番目の通路は、左側に和本・古地図・登山、右に日本文学文庫・中公文庫・岩波文庫・選書・日本文学評論。棚脇に会津古文書ラックあり。第三通路は、左が戦争・近現代史・日本近代文学(古い本あり)・日本文学・科学、右に中国・文学復刻本・随筆・エッセイ・民俗学・日本語。こちらの棚脇には、会津の絵葉書が集合している。右端の第四通路は、入口側棚脇に美術・工芸が集まり、左側に仏教・福島本・郷土本、右壁に日本各地郷土本・東北・福島・会津がドッシリ収まっている。かなり見応えのある本棚たちなのだが、実は他にも見るべき所が潜んでいる。各通路や棚脇に足下から積み上がる本タワーが曲者なのだ!様々な方向を向く本の背を、首を横に倒しながらチェックして行くと、時折愉快な本の姿が!う〜ん、このセンス、中々絶妙だな…。郷土本の充実レベルは高く、文学にも深みと古さあり。そこかしこに美しく分布する紙物類も、目玉を楽しませてくれる。値段は普通。ただし嬉しい隙のある値段も、ジャンルによりチラホラ。新書館「さよならの城/寺山修司」青也書店「ブルークリスマス/倉本聰」ハヤカワ文庫「ミクロの決死圏/アイザック・アシモフ」講談社文庫「幻想博物館/中井英夫」を購入する。

ビデオを巻き戻すように素早く東京へ引き返し、午後六時の下北沢。盆地の爽やかさとは異なる、亜熱帯な蒸し暑さの中、雑踏をかき分けて進む。「幻游社」(2008/10/03参照)…ライブハウスの行き帰りに、時間が無くとも飛び込んだ古本屋さんである。このお店が、本日を持って閉店する。表の特徴ある細足の均一台は、すでに片付けられようとしている。店内の棚にも、所々にブランクが生じており、非常に寂しい光景となっている。しかし表にも店内にも、今日が閉店であることなどは、一切書かれていない。このまま、いつも閉店するように、静かに密かにお店を閉じるのだ。ならばこちらも、ひとりのお客として、普通に古本を買うことにしよう。「幻游社」最後の買い物は、河出文庫「吸血鬼幻想/種村季弘」。長い間、お疲れさまでした。そして本を安く売っていただき、ありがとうございました!寝室の灯りを、そっと消して眠りにつくように、下北沢の古本屋さんが一軒、フッと姿を消しました…。
genyusha2012.jpg

posted by tokusan at 21:36| Comment(8) | TrackBack(0) | 東北 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
梅雨の晴れ間にごくろうさま。ぼくも会津の「勉強堂」は再訪したい店の一つ。前回、小山清など、思いっきり安く買った覚えがある。いい店だよなあ。あまりに人がいないにびっくりするが。びっくりすると言えば幻游社だ。知らなかった。閉店ですか。ここも楽しめる店だったが。ざんねん。
Posted by 岡崎武志 at 2012年06月17日 22:40
あら、幻游社さん閉店しちゃうんだ。下北沢に勤務していたときには幾度となく覗いたものです。ドラマの古書部門が拡大されたり、ほん吉さんが出来たり、ビビビさんも店舗が大きくなったりして古書的に面白い街になってきたところだったのに残念ですね。
Posted by とみさわ昭仁 at 2012年06月18日 10:21
あらびっくり! 2012年06月17日…って、昨日ですよね。間違いないな。

何時ころお店にいらしたのでしょうか。まったく同じ昨日、勉強堂へ参りました。私は11時半くらいでしたが。

帰りは走る元気もないので、バスに乗ったのが運の尽き、延々と団地めぐりをされて、駅までおよそ40分。だって、駅へ行くとは書いてあるけど、あんなに遠回りするなんて書いてないんだもの。歩いた方が早かったなあ。

早稲田の英二は、開店前の店舗準備時期から見ています。あの店の前の裏通りを早稲田大学方面に50メートルほど行くと、昔から神保町にある天ぷら「いもや」が健在です。
もう30年以上も前から、神保町時代にはよく通った店なのですが、閉めてしまってどうなったのか知らず、10年位前に偶然発見、あちらも覚えていて、以来機会があるごとに食事しています。
神保町の店のまま+αで、安く楽しめるお店ですよ。お行儀が悪いと叱られるけど。

今日はこれから高崎です。赤坂堂が閉めちゃったので残念。
Posted by 志郎 at 2012年06月18日 10:21
岡崎武志様。「勉強堂書店」は何故か岡崎さんの『気まぐれ古書店紀行』の印象が強く残っており、岡崎さんもこんな道を!とか思いながら向かってました。小山清ですか!うらやましい。もっとちゃんと見ておけば…。七月の「一人古本市」、今から楽しみにしております!
Posted by tokusan at 2012年06月18日 20:45
とみさわ昭仁様。本当に「幻游社」が無くなるのは、ダメージ大きいですよね。あの若者の雑踏と店内のコントラストが、たまりませんでした。どなたか居抜きで古本屋でも開いてくれれば…などと夢想してしまいます。
Posted by tokusan at 2012年06月18日 20:47
志郎様。おぉ、何たるニアミス!私が行ったのは午後一時半頃でした。何か良い本、買われましたでしょうか。バスで連れて行かれるのが、観光地ならまだ救われたかもしれませんね。そして本日は高崎に。古本屋行脚、がんばってください!
Posted by tokusan at 2012年06月18日 20:50
会津行きおつかれさまでした。そして、ああ幻游社が閉じてしまいましたか。ほっぺたを「ふう」と膨らませる主人の店で、何度か家の本をカートに載せ、数百冊ずつ引き取っていただきました。下北沢の名物店がまたひとつ消えたのですねえ。
Posted by h y a k u at 2012年06月19日 10:00
h y a k u様。この日、オヤジさんは確かにほっぺたを膨らませ、ヒゲの下からため息をついてました。返す返すも残念です…。
Posted by tokusan at 2012年06月19日 20:56
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック