2012年08月26日

8/26静岡・三島で北山書店にお別れを

コメントで三島唯一の古本屋さん(2009/06/06参照)が閉店してしまうことを知る。一度ツアー以外にも、雑誌で記事を書いた時に取り上げさせていただいたので、何が何でも見に行かなければと激しく思い、本日鈍行で急行する。南口から出て駅前ロータリーの半島から信号を渡り、片屋根歩道アーケードの商店街に入る。よし、ここからは敬意を表してダッシュで行こう!そうと決めたらサンダルでペタペタ地面を蹴って、右に大きくカーブする商店街を下って行く。確かアーケードが尽きる辺りにお店が…あれ?無いぞ。おかしいな…まさかもう閉店しちゃったなんてことは…しかし何の痕跡も見当たらないしな…それにしても駅からの距離がちょっと近過ぎる感じがしたので、もっと先まで進んでみるか、と再びペタペタペタ。すると一分ほどで、電柱に「北山書店」の文字を発見!あぁ、アーケードはとっくに撤去されていたんだ。まるで発掘され、長き眠りから覚めたような店頭。
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そこには左端に括られた全集本があるだけで、以前の台車棚は一台も見当たらない。その代わり、ウィンドウに扇情的な赤の『65周年 全書籍半額』のビラが貼り出されている。その脇には小さく『買取りはしておりません』の文字も…供給をストップすると言うことは、やはり閉めてしまうのか…。ちょっとセンチになりながら自動ドアを潜ると、そこは三年前と変わらぬギュウギュウの、自称“本の森”。おぉ、老店主も通路を行き来して、元気に棚の整理を休まず続けている。再会を一方的に喜びつつ、今日は多少通路の発掘に従事してみようと決意する。視認可能な棚の上半分を見た後は、人ひとりしか通れない通路(いや、もはやひとりが通るのも困難な通路に成りかけている…)で身体を右に左に前に後に折り曲げ、足下から積み上がる本や棚下を覗き込んで行く。気になる所は、頑張って本の山を退かしてみる(本の山は、冬ごもり前の薪の山の如し…)…すぐ疲れる。何が出て来るか判らないとは言え、重労働&底知れないので『何故こんなことをしているのか?』と言う当然の疑念が、心に墨のように広がってしまう…しかしそれでも、途中手を抜きながらもどうにか発掘作業を続けて行く。客同士は、相変わらず『パックマン』のように進む通路の先に別の客を見付けたら、違う通路に自主的に回避する。おっ、奥の倉庫扉が開いていて『こちらもご覧になって下さい』の貼紙が!遠慮なく中に入ると、裸電球がぶら下がる、括られた本の束が乱雑に積み上がるダークな空間!書名などろくに確認出来ず、這々の体で店内通路に這い出す。いや〜、こりゃもはや洞窟探検に近いな。一時間ほど悪戦苦闘し、新潮社「ウエー 新どれい狩り/安部公房」創元社「いのちの初夜/北條民雄」(青山二郎装幀!写真は左が表紙で右が扉。ビューティフル!)
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新潮文庫「アウトドア・ライフ入門/小林泰彦」角川文庫「私は嘘が嫌いだ/糸井重里」ちくま学芸文庫「ケルト 装飾的思考/鶴岡真弓」東京創元社「魔人ドラキュラ/ブラム・ストーカー」を帳場へ運ぶ。そこには奥さんであろう老婦人がおり、「いらっしゃいませ」と本を選り分け始める。するとそれを遠くから見ていた店主が「計算しようか」と近付きペンを取る。婦人が裏表紙の値を読み上げ、店主がそれを書き留めて行く。その光景を勝手に麗しく思い、こうなったら以前記事に取り上げさせていただいたお礼を…と思ったその時、帳場脇に置かれたチラシの束が目に入った。全品半額セールのチラシなのだが、そのキャッチが『男の隠れ家の日本全国超厳選古本屋に出た北山書店』となっていたのだ!…見た途端に顔から火が噴き出した…すみません、私が書きました…もはや恥ずかしくて名乗ることは断念。二人のゆっくりしたやり取りを見つめながら、心の中で不義理を詫びて、締めて1050円也を支払い「お店はいつまで?」と聞いてみる。実はさっき、お客さんとの会話が耳に入り、『九月の半ばくらいまで(あ。少し伸びたのかな?)』と言うのが聞こえたのだが、やはり自分でも確認しておきかたったのだ。すると店主が「九月いっぱいかな…まだ良く判んないんだけど」。あれ?ちょっと増えたぞ。まぁもうしばらく営業してもらえるのは、とにかく有り難いことである。みなさんも発掘探検モードで、九月中に三島の老舗店にぜひ!
posted by tokusan at 18:29| Comment(14) | TrackBack(0) | 中部 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
北山書店訪問記拝読。先日私もおじゃました時、あれ、このあたり?見当たらない?と思ったのはそういう理由だったのかと一読して納得しました。アーケードはもうないし、道を間違えたかと一端駅に戻り、前回訪問された貴兄ブログのコピーをみながらやはりこの道だと…また行くものの?と。交通事故でもあったのか、お巡りさんがいたので「本町ってこのあたりですよね」「この先ですよ」と言われ、ほんの数メートル歩いたら、北山書店があったのでした。それにしても、あの本の詰め込み状態、奥に入っている時、あんな地震がきたらどうなるかと少し不安にもなりました。古本に埋もれて圧死するのも古本虫の本望といえるかもしれませんが…。
Posted by 古本虫がさまよう at 2012年08月27日 05:53
詰め込みの凄さでは沼津の平松書店と双璧、しかし、沼津にも時々大きな地震がありながら平松は全く崩れていないので北山も大丈夫でしょう。それにしても駅から店までの商店街は空家だらけのシャッター通り、廃業を決意したのはこのへんも影響しているかもしれません。
Posted by 下新庄3丁目 at 2012年08月27日 11:41
私は昨日やっと訪問しました。発掘作業は以前にやったので、文庫本の上澄みを流しました。しかし、底の底までは未発掘です。欲しい本があった記憶……。
それにしても、倉庫はスゴイですね。一歩足を踏み入れて退散しました。
Posted by 悠閑亭 at 2012年08月28日 10:41
古本虫がさまよう様。圧死は止めましょう。例え本の下敷きになったとしても、グイッと持ち上げて這い出して来て下さい!
Posted by tokusan at 2012年08月28日 19:40
下新庄3丁目様。あぁ、三島まで行ったなら、「平松書店」にも行くべきでした。あそこでも発掘作業に従事してみたいものです。
Posted by tokusan at 2012年08月28日 19:42
悠閑亭様。底の底まで!掘ってみたいですよね。どなたか、決死隊を結成して、チャレンジしていただけませんか!
Posted by tokusan at 2012年08月28日 19:44
平松書店は最近奥さんの調子が悪く、臨時休業・遅刻・早仕舞いが頻発、訪問当日、沼津駅の改札を出る前に電話確認することが必須。開けるかどうかはその時の病状次第との由、前日の確認は無意味になる可能性が高いです。
Posted by 下新庄3丁目 at 2012年08月29日 08:43
下新庄3丁目様。平松さんがそんなことになっていましたか。このお店の乱雑具合は、ある意味北山より厚みがありますよね。
Posted by tokusan at 2012年08月29日 22:32
北山書店、9月5日に店内片付けの予定、9月一杯云々は店主の勘違いと思われます。
Posted by 下新庄3丁目 at 2012年09月04日 19:41
下新庄3丁目様。5日と言ったら、今日じゃないですか!…あぁぁ、残念…。北山書店さん、おつかれさまでした!たくさんの本を、ありがとうございました!
Posted by tokusan at 2012年09月05日 20:51
11日にお邪魔しましたが、まだ営業していましたよ。
9月いっぱいまでやるそうです。お客さんはお会計の時に、皆営業期間を訪ねていました。
Posted by みなみ at 2012年09月15日 14:31
みなみ様。本当ですか!では店主、有言実行ですね。みなさん、北山書店は未だ営業中!九月中にぜひ!…私も後一回くらいは…最新情報ありがとうございました。
Posted by tokusan at 2012年09月15日 16:02
昨日9月27日に行ってまいりました。店内けっこうすっきりしてしまって、閉じることを実感せずにはいられませんでした。だって、備え付けの棚の前の通路に積まれていた本が皆片付いていて、体を横にせずに歩けましたから。店主は本の森というけれど、わたしはいつも本の土手の間の細道を宝探ししているような気分でしたね。宝を発見しても下手に手を出すと土手が崩れそうで、こわごわ慎重に宝を掘り出すのは、なかなかスリリングでしたよね。
昨日はお客さんが次々にいらして、閉店を惜しむ常連さんと店主ご夫妻のやりとりがほほえましく、思わず耳を傾けてしまいました。単行本5冊で1000円、少しおまけしてくださいました。
Posted by mui at 2012年09月28日 07:39
mui様。追加報告、ありがとうございます!そうですか、あの「北山書店」が今やそんな状態に!見てみたいですね〜。寂しいけれど、いよいよ後二日と言うことでしょうか。まだの方は、この週末にぜひ!
Posted by tokusan at 2012年09月28日 16:57
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