2012年11月18日

11/18静岡・城ヶ崎海岸 壷中天の本と珈琲

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熱海から伊東線に乗り換え、そのまま伊豆急行に乗り入れ伊豆半島右側を南下。雨上がりの斑に乾いた伊東の街を過ぎると、車内の観光客は極端に姿を減らし、窓外は森と海に変化する。およそ三十分で目的駅に着くと、山の斜面にへばりついたロッジ風の駅舎。階段をジグザクと下りて、駅前の『桜並木通り』の坂道を下る。この辺りには桜が多く植えられているようだが、皆一様にその根がアスファルトを盛り上げてしまっている…。ほどなくしてぶつかる『県道109号』を南西へ向かってトボトボ。道は上り坂となるが、上がり切った所の交差点で南東に向かうと、今度は桜並木の急坂を下ることとなる。荒れた歩道に我慢を重ね、右に左にうねりながら下り続ける。500mも下れば、行き先が『つり橋』(この吊り橋は、昔の『仮面ライダー』で良く撮影に使われた、海崖に架かるあの吊り橋である)と『いがいが根』に分岐するしっかりした道が現れるので、『いがいが根』方面を選択すると、そこはもう『伊豆高原分譲地 城ヶ崎地区』と言う、立派で閑静で広大な別荘地帯。足下のマンホールを見ると『伊豆急』の文字が刻印されているので、伊豆急行(東急グループ)が開発した別荘地なのだろう。さて、目指すはこの中の『3次地区』である。少し奥に進むと、すぐに右側に遊歩道のような小さな道が出現するので、まずはそこに入り込む。進んだ先は、ドーナツ型の植木を中心に持つ小ロータリーで、左に進んで別荘地のさらに奥へ、奥へ…ちなみに人影は皆無である。長い坂を下り切ると、右への脇道際に『11番』の案内表示が立っている。そこにしっかりと、目指すお店の名が輝いていた。と言うわけで案内表示に従って脇道を右に進むと、すぐに『13番』の案内表示が現れ、店名とともに『次の角左折』と書かれている。矢印に従い右に進み、すぐさま左折。ぐんぐん進んで行くと、分かれ道に今度は小さな表示板が現れた。雑木林の向こうには、白い洒落た建物が見えている…。ふぅ、どうやらたどり着いたか。「追分コロニー」(2011/04/03参照)「Kiji Books」(2011/05/14参照)「GAKE」(2012/11/01参照)など、別荘地内、もしくは隣接地にある特異なお店たちと、何やら共通な雰囲気を漂わせている…。それにしてもここは、お店と言うよりはやはり立派で羨むような別荘である。建物の下を潜るアプローチが見た目にも楽しい。その入口に『Book Cafe』とある看板が置かれ、右の玄関兼土台兼門柱のような所には、金属の店名文字がしっかと取り付けられている。建物の下を潜って階段を上がると、そこは落ち葉舞い散る中庭で、カーブを描く白い建物には、窓のような扉が三つ離れて並んでいる…どれが入口だ?一瞬迷ったが、一番右の扉を選択して緊張しながら中に入ると、ほぅ!正解だ。そこは左がカフェで、右の緩やかな階段状の部屋が古本スペースとなっていた。ここはつい先ほど潜った所なのだな。幅広で緩やかな階段部屋の両脇に白い壁棚が設置され、上がり切った所は作業部屋への入口になっており、その両脇にも巨大スピーカーを内包した壁棚の姿…スピーカーからはかなりの音量で音楽が流れ出ている。誰の姿も見えないが、表には『営業中』とあったので問題は何もないだろう。入口に置かれた一冊200円・三冊500円の美術書を眺めてから、階段に足をかけてまずは右壁棚。ここは十段あり、単行本ばかりが集まっている。種村季弘・洲之内徹・幻想文学・藤原新也・美術全般・美術作家評伝&評論・小型写真集・美術洋書・美術蒐集・デザイン・荒俣宏・荒木経惟・旅・美術エッセイなど。決して安易な関連で並べた流れではなく、深く取捨選択した質の高い棚である。階段の真ん中には美術系雑誌を横積みしたボックス棚あり。奥壁には、絵画系美術図録・丸尾末広・丸田祥三・ウォホール・彫刻など。回り込んで左壁は大型の本ばかりで六段。和書&洋書写真集・同じく作品集・写真系美術図録・横尾忠則・安藤忠雄・森山大道・現代美術・ファッション・石子順造などなど。こちらも深くセンス良く、作品集&図録で、個人的にたどって来られたであろう個人的美術史の体験を、見事に綾なしている。う〜ん、素晴らしい。図録や作品集に値段は付いているが、単行本には付けられていない。1000円以下の本は見当たらず、値段はしっかりである。プレミア値も頻出。とここで背後から「うわっ、気付かなかった!」と、オレンジセーターにチノパンのYOU THE★ROCKがダンディーな壮年となったかのような店主が登場。「お邪魔してます」と頭を下げる。彼は笑いながら奥に引っ込み、ビシッとしたバリスタスタイルに着替えて再登場…いや、もう完全に遅いですよ。単行本について聞いてみると「こっちも売り物なんだけどね。でも、手が回らなくて、まだ値段を付けてないんですよ。ココは写真集だけかな…」とのこと。そしてテーブルにお水とメニューを出していただいたので、せっかくなので珈琲を一杯。海沿いの山中のような別荘地で、明らかに場違いな私に、静かで贅沢な時が流れて行く…。毎日新聞社「フォロン展」図録を購入。
posted by tokusan at 18:38| Comment(4) | TrackBack(0) | 中部 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いつも楽しく拝読してます!古ツアさん、フォロンお好きなんですか?自分もその図録を持っているので嬉しかったです。寒くなってきましたが、風邪などにお気をつけくださいませ(*^_^*)
Posted by 桐島 at 2012年11月18日 20:59
コメントありがとうございます!フォロン、好きなんですよ。オリベッティの仕事などが特に!この図録、見つけた時は興奮しました。なにせ好きなのに、小版の画集しか持っていなかったもので…。風邪に気を付けて、これからもがんばります!
Posted by tokusan at 2012年11月19日 22:50
伊豆には10年以上前に1度旅行に行ったことがあるのですが、伊豆高原駅の近くに古本やゲーム・CD等を扱う店が一軒ありました。「オレンジボックス伊豆高原店」という店で、伊豆らしいペンションのような佇まいの店でした。調べてみると現在も営業している模様です。
Posted by W.O.K. at 2013年07月19日 01:24
W.O.K.様。情報ありがとうございます!そのお店、存在は知っていたのですが、どんなお店か判らず、現存するのかも判らず、放置していました。今度、青春18で調査して来ます!
Posted by tokusan at 2013年07月19日 19:31
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