2012年11月24日

11/24岡山・倉敷で街の景観に感動して二店!

気が付けばもう十一月も終りに近付いている。…このままではいけない!一月の「鬼子母神通り 外市」(2012/01/07参照)で、訪れることを約束した三店の古本屋さんに、まだ一軒(岐阜「徒然舎」(2012/05/24参照)しか行けてないじゃないか!なし崩しに年末を迎えるのだけは避けなければならない。覚悟を決めて、まずは難物の岡山県倉敷へ早起きして散在して急行!岡山駅から、旧総武線の黄色とは色合いの異なるレモンイエローの伯備線に乗って、黄色い土で出来た水路の目立つ山陽の地方都市を走り抜けて行く…。

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●倉敷「蟲文庫」
南口に出ると、そこは回廊のように地上のバスターミナルを囲む空中歩道。左からぐるっと回り込んで、歩道橋から地上に下りる。そのまま人通りの多い『倉敷中央通り』に入り、まずは南へ。ひとつ目の『阿知北信号』を通り過ぎ、次のビルとビルの谷間に延びる東への裏道に入り込むと、古く懐かしいアーケードの『えびす通り商店街』。昔そのままの商店と、若者たちが始めたお店が混在し、とても活気に溢れている。その商店街の奥へ奥へと進んで行き、やがてアーケードが尽きれば、そこは美しい山城のような『鶴形山公園』のふもとで、さらにそのまま東に進み続けると、感激の白壁の商店や町屋が両側に続く『本通り商店街』に突入する!何処までも道の両側に連なって行く江戸的街並!観光地化が進んでおり、実際観光客で賑わっているのだが、往時の風情をしっかりと留め、尚かつ道は公園に沿ってカーブしているので、一歩進むごとに新たな景色が展開し、歩く楽しみを存分に味あわせてくれる。通りがいつまでも続くような錯覚に囚われながら、駅から一キロ強も歩き続けると、通りの終りがようやく近付き、左手に遥々目指してきたお店が現れた。完全にこの街並に一体化しており、こんな古本屋さんが…と思わず唸ってしまう、白壁の古めかしい商店である。その佇まいは凛々しくコンパクトで美しい!壁面には木彫りの看板が掛かり、立看板は建物に押し付けられている。長い暖簾を潜ってガラス戸を開けると、女子で混み合う雰囲気のある店内。床には粗めの煉瓦が敷かれ、流れる音楽と共に何処からか『ミャ〜オゥ』と甘え鳴く猫の声が聞こえて来る。店内は少し横長で、入口左横・左壁・奥壁左側に壁棚が設置され、その前に背中合わせの棚が一本。フロア右側には平台が置かれ、入口右横から右壁には飾り棚が展開する。右奥には通路が一本隠されており、奥壁棚・右壁棚・通路入口横の棚で形成されている。店奥は、壁棚の横にガラスケース・帳場兼作業場への上がり框・帳場を兼ねたガラスケースとなっている。帳場には店主の田中美穂氏が座り、もうひとり男性が背中を向けて何やら作業している。入口左横から見て行くと、海外文学文庫・日本文学文庫から始まり、左壁には音楽・映画・演劇・絶版漫画・サブカル・民俗学・哲学・精神科学・宗教。奥壁にはマイノリティーや新書が並んでいる。背中合わせの棚には、左に占い・実用・自己啓発・社会科学・思想・旅、右に昆虫・自然・美術が収まる。平台にはまたもや昆虫・動物・田中氏自著・料理・本関連・新刊などが並び飾られている。奥壁のガラスケースには、何だか見たことも無いプレミア本たちの姿が…。入口右横には亀の置物や仙人掌・「暮しの手帖」がディスプレイ。右壁下はCDが並び、最奥の通路入口には岩波文庫・岡山文庫がキッチリと揃えられている。右奥通路に入り込むと、詩歌句・文学評論・海外文学・幻想文学・日本文学・日本近代文学・ミステリ&エンタメが待っている。内装のお洒落さを裏切る、意外に硬派なお店である!お客におもねること無く、あくまでも自分の好きな本で築き上げられているのが勇ましく、頼もしい。キレイに形作られた興味と知識の箱庭は、もはや眺めているだけで嬉しくなるのだ!値段は普通。ガラスケースの苔写真や鉱物標本を見ながら精算していただく。講談社文庫「あの日この日(四)/尾崎一雄」イースト・プレス「世紀の大怪獣!!オカダ/岡田斗司夫」を購入。

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●倉敷「長山書店」
「蟲文庫」を出てそのまま通りを抜け出たら、北上を開始。ひたすらズンズンもはや風情の無くなった道を北に進み、『倉敷中央病院』脇を過ぎ『国道429号』へと出る。今度は進路を駅方面に定め進んで行くと、『昭和一丁目交差点』際に、ペパーミントグリーンの古本ビルが建っていた!駅からは東に400mほどである。三階建てで奥に深く、二階窓に『古本』の文字と壁面に電光掲示板。黄色い日除けが入口上に張り出しており、均一棚などは見当たらない。自動ドアから中に入ると、そこはいきなり文庫の通路!おぉ!と色めき立って棚に齧り付こうとするが、入口横にあったコインロッカーが目に入る。どうやらカバン類はここに預けねば中に進めぬようだ。おとなしく指示に従い、手ぶらで通路を進む。右は100均単行本と海外文学文庫、左は時代劇文庫と日本文学文庫である。たっぷりと眺めてから通路を抜け出した所で、私は事態に気付き青ざめる…何と広くて複雑な店内なのだ!左奥の本の山に囲まれた帳場で懸命に働く黒髪の女性と目を合わせながらも、しばし呆然としてしまう。入って来た通路を中心として、左には背中合わせの棚が二本続き、後は長い壁棚。出版社別文庫・岡山文庫・カラーブックス・ミステリ&エンタメ・海外文学・女流作家・児童文学・絶版コミック・料理・落語・骨董・スポーツ・武道・旅・音楽・芸能・映画・役者などが集まっている。本の山に囲まれて近付けないガラスケースや、レコードラックもあり。通路やちょっとしたスペースには箱や本が積み上がり、ちょっと乱雑な風景となっている。右側スペースは広大で、壁棚と横向きの背中合わせの棚が六本。入口側に長い本の島と小部屋的スペースが二つある。入口側に言葉・日本文学・海外文学・詩歌句・選書・宗教・オカルト・科学・東洋文庫・古典文学・文芸&思想&美術誌・新書・ノベルス・語学・ペーパーバック・辞書類。奥側には、戦争・近現代史・歴史・美術図録・茶道・書道・工芸・美術作品集・写真・写真集…棚も本の数もとにかく膨大である。そして帳場横にはさらに二階への階段がっ!本があちこちに積まれ、カクカク曲がる階段をコツコツ上へ。おぉ、本運搬用の小型エレベーターが付いているのか…。うわぁ〜、二階も恐ろしく広くて乱雑だぁ…。壁棚は本棚、上がり口近くに横向きの本棚が二本あり、メインは背中合わせの棚が縦置きで六本。右手前奥に、一階同様大量の本に囲まれた帳場があり、オヤジさんが腕組みをして座っている。二階は学術&研究本・箱入り本・古い本が多いようだ。会社史・産業史・歴史・郷土(岡山・広島)・本&古本・考古学・医学・数学・宗教・古典文学・社会学・日本文学・日本近代文学・詩歌句・海外文学・文学評論・美術・山岳・登山・食・冒険・天文・地学・植物・鳥類・動物・昆虫などなど。店内の構造が複雑で、通路の本数がただ事ではなかったので、ゾーンごとのジャンルを覚えるのが精一杯だった…。蔵書数がとにかく多く、全体的に硬めで真面目な傾向。しかし迷宮のように広い店内を冒険するのは、やはり楽しくて仕方無い。値段は普通〜ちょい高で、二階の本はやはり高めな感じである。オヤジさんに精算は一階でするのか聞いてみると、二階でも大丈夫とのこと。遠慮なくオヤジさんに本を手渡すことにする。ちくま文庫「城昌幸集」あまとりあ社「地獄の野良犬ども/村岡藤里」遊友出版「列島書店地図/新文化編集部編」を購入。…あれ?藤田まことの本を買ったはずなのだが、袋にはいっていないし、勘定にも入っていない……店内の何処かに置き忘れたのか?それともレジで忘れられちゃったのか…残念!

つい先日の「古本の雑誌」の座談会で、「岡山に行くなら万歩(万歩書店)に行けってことですね」と自ら発言していたのに、近寄ることも出来ず…それはひとえに「長山書店」がスゴかったため…。岡山&倉敷、要再訪!しかしこれで、今年必ず訪ねるべきお店は、犬山の「五つ葉文庫」のみとなった。どうにかして、早めに行かねば…。そして帰りの新幹線、地震による停電で、しばらく車内に閉じ込められる体験をしてしまう。幸いにも十分ほどで動き出したが、あのちょっと薄暗い空間に、一時間も二時間も閉じ込められるのは、願い下げだなぁ…。
posted by tokusan at 21:46| Comment(10) | TrackBack(0) | 中国・四国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ぼくも蟲文庫、行ったばかりなので、途中のアクセスの描写、目に見えるようです。しかし、巧いこと書くなあ。そうそう、そうですよ。
Posted by 岡崎武志 at 2012年11月24日 22:40
本日から30日まで新宿西口地下で古本市、記事を期待しています。
Posted by 下新庄3丁目 at 2012年11月25日 01:54
万歩書店には行ったことがありますが蟲文庫はまだ。長山書店もあるのですか。知りませんでした。五ッ葉さんはこの夏行きました。その近くにちょっとした古本屋さんがあることを教えてもらいました。犬山駅前には小さなセコハン古本屋も。少なくとも三軒ありました。昨日、今日と蚤の市に白線文庫さんや十数軒古本屋が参加しているそうですが…。
Posted by 古本虫がさまよう at 2012年11月25日 05:57
岡崎武志様。褒め過ぎです!そして、サンデー毎日の古本屋さん特集ページ、楽しみにしております!それにしても倉敷は衝撃的な街並でした。秩父や月江寺とはまた違った、異空間ですね。何度でも訪れたいと、思わせてくれます。
Posted by tokusan at 2012年11月25日 21:55
下新庄3丁目様。毎度情報ありがとうございます。しかし!この西口地下の古本市は2008/11/28レに一度レポートしているので、すみませんがツアーすることはありません。基本的によほどの変化や特殊な事情が無ければ、同じ店や同じ市はツアーしないと決めておりますもので。勝手なルールで申し訳ございません…。しかしこれに懲りずに、また新たなタレコミを、ぜひともよろしくお願いいたします!
Posted by tokusan at 2012年11月25日 21:59
古本虫がさまよう様。「万歩書店」、次回は岡山店も倉敷店も行ってみなければ。犬山も古本屋さんが何店かあるようですね。どこまでレポート出来るかどうか…。
Posted by tokusan at 2012年11月25日 22:01
はじめまして、20年ほど前に学生だった私は岡山で毎日の様に古本屋めぐりをしていました 開店間もない蟲文庫なら記憶があります 古くてボロい建物、薄暗い店内には奇妙な音楽が流れていて、たしかお香が焚いてあったと思います 隙間だらけの本棚は主に幻想文学でまとめられていて面白そうな雰囲気は確かにありましたが、正直うす気味悪い感じの方が強く、入ってはいけない場所に足を踏み入れた気がしました 店主が若い女性だった事もちょっと曰くあり気な感じを高めていました 最近蟲文庫さんが出版した本を読んで別に怪しい人では無かったんだなと昔のちょっとしたトラウマが消えましたが、開店当初のあの独特な雰囲気はそれはそれで貴重な物だったのかもしれません
古ツアさんの記事、時々楽しく読ませてもらっています
Posted by 通りすがり at 2012年11月26日 12:03
昨今のトクさんは、激しく露出されておられますね。
当然、もれなく(たぶん)チェックしております。
人ごとながら、嬉しい気分いっぱいです。
一方、トクさんの背中がだんだん遠くなって、お声がけもできなくなったと、
相棒と話しております。

ご紹介の倉敷は、2年前の8月の終わりに「蟲文庫」へ行きました。
その時は、夏休み中の「はり紙」で残念でした。
大落胆しているその先に「長山書店」。あったんですねぇ。
まったく修行がたりません。

そして、今年も同じ夏に倉敷へ行きました。
リベンジどころか、「蟲文庫」周辺の居酒屋をハシゴしただけの腑抜け者。
言い訳ですが、あの界隈は夜になると、路地路地から強いお酒光線を放っており、
クラクラするんです。次回はしっかり回って来ます。
Posted by ポール・スター at 2012年11月26日 15:44
通りすがり様。開店当初の「蟲文庫」!それはとてもうらやましい!月日が経てば、お店も変化して行くのですね。またいつか、改めてお店を訪ねれば、きっと新しい発見があることでしょう。これからも古本屋さんを、よろしくお願いいたします。
Posted by tokusan at 2012年11月26日 22:33
ポール・スター様。何を言ってるんですか!私は変わらず、毎日古本屋さんを回っているだけですよ!見かけたら声なんかバンバン掛けて下さい。それにしても、倉敷のお酒光線、私も全身に浴びてみたいところです。次回倉敷に行くときは、ゆっくり出来るようせめて一泊しようかなと、思ったりします。でないと、とてももったいない気が!
Posted by tokusan at 2012年11月26日 22:37
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