2012年12月09日

12/9愛知・犬山で城下町の二店!

一夜明けて目覚めればまだ大阪。今日は単独行動で帰還することにして、年初の約束(2012/01/07参照)で今年訪れなければいけない古本屋さんの最後の一店、「五っ葉文庫」を目指すのだ!節約のため普通列車を乗り継いで犬山まで行くつもりなのだが、大阪駅に着くとJR京都線が人身事故で停まっており(大阪〜京都間)、出端をガッキリ挫かれる。こりゃ一体どうしたらいいんだ?と散々慌てた後に、阪急電車で京都へと向かうことに。そしてようやく乗れたJR京都線で米原へ。次にJR東海道線で岐阜に到着。痛いほどの冷風と降り始めた雪に出迎えられ、ここからは名鉄各務原線・犬山線に乗り換える…これで最後だな…。二両編成の、小さな駅が連続する路線を楽しみ四時間半をかけて、やっと犬山に到着する…。

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●犬山「五っ葉文庫」
犬山は古い城下の面影を所々に留めている、意外に大きな郊外の街である。西口に出てロータリーから脱出し、すぐの『犬山駅西口交差点』を南へ。400mほど歩いたらGS『エッソ』横の細い脇道に入り込んで西へ。居並ぶ古い屋敷や、年季の入り過ぎた木造家屋に引き込まれながら奥まで進んで、そこを再び南へ。冷た過ぎる風に早くも凍えながら前進すると、左手に黄色と白の縞模様にペイントされた小屋が現れ、そこに『キマワリ荘』の看板が出ている。横に広がる敷地には、横長の、これも年季の入った木造モルタル長屋が建っており、ブロック塀の横にセーラー服女の立看板と「五っ葉文庫」の小さな看板を発見する。『このおく』の指示通りに、小石をジャギジャギ踏み付けて、ブロック塀と建物の間の細い道を、これでもか!と奥に入り込んで行く。不法侵入してるんじゃないか?と思うくらい、プライベートな敷地に入り込んで行く。ひと際狭い部分を通り抜けると、外に小さな簀子の置かれたガラス戸の玄関があり、どうやらこれが『キマワリ荘』の入口。がたつく戸を開けて靴を脱ぎ、中に上がり込むと廊下があり、左前方に早速「五っ葉文庫」の入口が。アパートの一室を店舗として使用している感が丸出しで、ナイスなお店となっている。隣りの部屋から聞こえて来る話し声から察するに、店主の古沢氏はそこにいるようだ。まずは入口左横の廊下に出された、二本の100均棚を覗き込む。一本はコミック、もう一本は単行本を上に乗せた文庫棚である。その時古沢氏が後から出て来て「いらっしゃいませ。どうぞゆっくり見てって下さい」とニコヤカに甲高く声を掛けてくれた…これはどうやら気付かれていない!よし、そうと判れば、このまま普通のお客さんとして振る舞おう!文庫を抜き取って中に入ると、店内は白い空間で、まずは細い通路で始まっている。左側だけが本棚になっており、作家50音順にカルト系コミックがドッと並ぶ。間に美少女コミックや大物作家も貪欲に挟み込んでいる。正面壁には、右から水木しげる・児童コミック・怪奇少女漫画棚、隣りにゲーム・プラモ・児童絵本(キャラクター物)・アニメムックの棚が続き、次はこのお店のキモとも言える“痕跡本”陳列棚が登場!天板には自著を飾り、ガラスの向こうに一見普通の本と変わりない十五冊ほどの本が、“痕跡”の説明付きで、美術作品のように静かに美しく飾られている。左端にはリトルプレスや新刊棚がある。ここまで来ると、すでに白い小部屋の内部となり、右壁にカウンターカルチャー・アングラ・新興宗教・麻原彰晃・八切止夫・サブカル・根本敬・みうらじゅん・現代思想&文化・ホームレス・非行・革命・海外文学&日本文学文庫・ちくま文庫・幻冬舎アウトロー文庫・日本文学・海外幻想文学・映画・音楽・建築・写真・オカルト・ファンタジー画集・フェティッシュ・写真集・ホモ関連となっている。内装も見た目も爽やかでお洒落だが、中身はドロドロデロデロ…。奥壁には絶版漫画(宮谷一彦が結構揃っている!「ブラックジャック4巻」『植物人間』が載ってる初版が!)・児童入門書・性愛・エロ・エロ劇画・絶版少女漫画・70年代少女関連。左のラックには今までの流れを踏まえた、洋書絵本・アート絵本・児童文学・コミックが飾られている。噂に違わぬ特殊な濃厚さを持っている。中野「タコシェ」(2008/06/18参照)や神保町「マニタ書房」(2012/10/27参照)と同族の匂いを発しているが、見せるセンスと負のセンスが絶妙なバランスを築いており、すべてを素晴らしいものとする魔法が、端から端までしっかりと掛けられている!値段はちょい安〜ちょい高。プレミア値付けの本も多い。本を手にして一旦廊下に出て、隣りの部屋にいる古沢氏に声を掛けて精算していただく。「寒いのにありがとうございます。今、上のギャラリーで作品展を開いている作家さんたちが来ていて、もてなしているところなんですよ。よろしかったら、一緒にお茶でもいかがですか?」と誘われるが、これ以上の接触は確実に正体が露見してしまうので、涙を飲んで辞去する。ベップ出版「少年児雷也/杉浦茂」幻冬舎アウトロー文庫「仁義なき戦い/笠原和夫」集英社文庫「モンマルトル日記/辻邦夫」春陽文庫「花の真実/小林のぶ」を購入。よし、今度来る時は取って置きの“痕跡本”を持ち出して、買い取ってもらうとするか。

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●犬山「椙山書店」
『キマワリ荘』の敷地を出て、古い街並の中を北に向かい大通りまで出る。ここは駅西口から真っ直ぐ西に400mほど来た地点。さらに西に進んで、謎の『忍術道場』前を興味津々通り過ぎて『本町交差点』。ここから南に向かうと、道の両側に歩道屋根の架かる商店街…しかしそのほとんどはシャッターを固く閉ざしており、プラスチックの飾り花だけが寂しく風に揺らめいている。東側の歩道を進み、一旦屋根が途切れて再び屋根が復活すると、まるで洞窟のような古本屋さんが姿を現した!ここ、これはっ!道路際に出された『古本』の看板に気付かぬほどの、入口の向こうに薄暗く長く延びる、妖気を発する古本通路が見えているのだ!逸る気持ちをぐっと抑えて、まずは二本の50均店頭文庫棚に目を凝らす。うっ、本が二重に並んでいる…時間が無いので表側を見るだけに留めておく。その周囲には、すべて50均のノベルス・雑誌・BLノベルスの箱など。良しっ、本番だ!勇んで中に飛び込むと、右に十一本の高い天井まで届く日本文学文庫棚が並び、表の棚同様ここも二重に本を並べている。品切れや絶版が多く目につき、自然と心臓の鼓動が早くなる…。左の壁棚はポケミスから始まり、海外ミステリ&SF文庫・海外文学文庫・100均単行本・実用・オカルトノベルス・趣味・タレント・文化・辞書類・日本文学・歴史小説・プレミア文学&郷土本・斎藤茂吉・詩集、そして後は少女漫画ゾーンとなり、最奥の部分は大量のLPレコードと音楽CDが並んでいる…ポケミスが安いぞ!天井近くの棚が見えない!気になるところは時間の許す限り奥もチェックだ!などと次第に深みにはまり、時間がどんどん過ぎて行ってしまう…。文庫棚の裏には、二本の長く歪な古本通路が存在し、真ん中は少年&青年コミックだらけ、右端は美術・鉄道・雑誌各種・映画パンフ・アイドル系写真集が集まっている。正面奥(本当に遠い)帳場前には、音楽CDと共に絶版漫画・貸本漫画が並ぶ棚があり、コミック文庫棚の裏にはしっかりとアダルト空間が隠されていた。部屋のようなカウンター帳場では、壮年夫婦が斜め上のテレビを見上げ、楽しそうに笑いながら番組に突っ込みを入れている。だがその周囲には、ビニールに入れられた高額絶版漫画や映画パンフが、無数に飾られているのだ。プレミア絶版漫画やプレミア映画パンフ以外はみんな安く、古めの本も多くドキドキワクワク楽しめる。単行本は数が少ないが、文庫に見果てぬ夢あり!それにポケミス棚が中々魅力的だ…。結局ハヤカワポケミス「気ちがい〔サイコ〕/ロバート・ブロック」「O・S・S・117号 ガラスの眼/ジャン・ブリュース」、田中小実昌訳の「笑ってくたばる奴もいる」「カラスは数をかぞえない」共にA・A・フェア、さらに河出新書「若き日の旅/井伏鱒二編」春陽文庫「裂けた背景/山村正夫」を購入。…あぁ、文庫棚の奥側を、すべてじっくり見てみたい…。

犬山、楽しかった!こっそり約束も果たせたので、言うことなしの遠征になった。ここには後一軒古本屋さんがあるようなので、次回ツアーで訪れたときは、“痕跡本”を買い取ってもらいつつ、文庫棚の奥も漁りつつ楽しむことにしよう。さて、もう帰らなければ…ここからは、どうやって帰れば良いのだろうか?大阪から来たので、ここがどの辺にあるかもいまいち理解してなかったりするのだ…。

※webマガジン『ゴーイングマガジン』で連載中の『均一台三段目の三番目の古本』第九冊目が更新になりました。上記の長い文章でお疲れでなければ、さらにこちらもどうぞ!「やはり蘇じゃのう〜」にご注目を!

posted by tokusan at 21:40| Comment(4) | TrackBack(0) | 中部 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こちらの古本屋は夏青春18切符で訪れただけに、懐かしく拝読しました。レコードなどもあった古本屋の斜め向かいに地元商店街のサロンみたいなコーナーがあって、大震災復興支援もかねて古本チャリティコーナーみたいなものもあったなと思い出しました。
今冬は、青春18切符ではなくて、北海道&東日本パスで、貴兄ブログで知った潮来のあの古本コーナーを見て、それから佐貫方面の「兄弟」コーナーを見たりする程度にしようかと思っています。
Posted by 古本虫がさまよう at 2012年12月10日 05:24
ぎゃああ!せっかくお越し頂いたのに申し訳ありませんでした…。見覚えのある方だな、とは思ったのですが…。実は犬山、あともう1件ではなく、もう2件(駅前のbooklifeさん入れると3件)古本屋があります。またお超しになられる際は、是非ともご案内させて頂きます故…。でも、古ツアさんに来て頂いて、ようやく古本屋になれた気がします。本当にありがとうございました!!!
Posted by 五っ葉文庫 at 2012年12月11日 00:25
古本虫がさまよう様。そういえば「椙山書店」の扉に集めた本はチャリティーで、みたいなことが書いてありました。冬の青春18きっぷ、私は何処に行こうか、まだ決めかねております。もうちょっと、期間が長いといいですよねぇ…。
Posted by tokusan at 2012年12月11日 20:00
五っ葉文庫様。先日は失礼いたしました。お店、良いお店じゃないですか!ちょっと感動しました。もうとっくにしっかり古本屋さんですよ!次回行く時はしっかり名乗りをあげますので、持参した痕跡本の鑑定をよろしくお願いします!他の古本屋さんも、楽しみにしております。
Posted by tokusan at 2012年12月11日 20:03
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