最初から負けを覚悟して、地下鉄の階段を上がって行く…猪木に聞かれたら確実に頬を張られてしまいそうだが、私の敗北決定は動かし難い事実なのである。日比谷線の『A4出口』から出て、東に見える汚らしく素敵な煉瓦高架に沿って南に進んで行く。小さな飲食店が両側に連なる、昭和を滲ませた印象的な通りである。ずんずん進んで行くと、右手に『帝国ホテル』のハイソな姿が見えて来る。そちらに奪われた視線を早々に取り返し、ホテルの向かいにある黒いビルを見る。その一階に近付くと、二階への階段とビル内に入り込む通路に挟まれた、小さな一軒のお店に気付くこととなる。ここは浮世絵専門の古書店である。元々浮世絵を買う気は無い…と言うか、買う覚悟も甲斐性も無いのである…。しかしもしかしたら、古本も少しは売っているかもしれない…あの上野広小路「文行堂」(2010/12/27参照)の例だってあるのだから…。そう祈っての、負けを覚悟のツアーなのである。お店は通路のような細さでガラス張り。角の丸い部分がショウウィンドウになっており、竹久夢二の『港屋』の版画と、可愛い大津絵が飾られている。ドア上の光る看板文字の下を潜って、店内にそっと滑り込む。…あぁ、やっぱり、本当に浮世絵しかないや…古本は何処にも…。左側のガラス際には、105円の浮世絵絵葉書ラックが二台置かれ、その奥に大量の浮世絵を収納した横長のラックが置かれている。入口側は大体2100円のお土産用複製印刷浮世絵で、奥側が大体10500円の複製木版浮世絵となっている。中央には台があり、浮世絵をじっくり吟味する時に活躍しそうな大きさである。下はマップケースのような引き出しがたくさん並んでいる。奥が少し広くなる手前の壁には、様々な浮世絵グッズやカタログ類が並ぶ。右壁沿いにも大きなラックがあり、ここには高値の本物の浮世絵が美しく古さを発揮し、艶然と収まっている。壁には藤田嗣治や熊谷守一もあり。…やはりちゃんと覚悟が無いと買える代物ではない。早々に完敗である。しかし何も買わないのはちょっと寂しいので、入口近くにしゃがみ込み、広重・国芳・雪岱の絵葉書を買うことにする。奥の事務所スペースに座る禿頭の老紳士に恐る恐る声を掛けると、優しい笑顔が爆発し、とてもフレンドリーに応対!しっかりと一人のお客として扱ってくれたことに、痛く感動する。そして彼の声が、スリムクラブ・真栄田に激似なことにも!何か非常に得した気分になり、清々しくお店を後にする。しかしそれでもいつものように古本には接したいので、銀座までテクテク歩いて「奥村書店」(2010/03/16参照)へ。洋泉社歴史新書「真説・柳生一族/渡辺誠」を購入する。
いよいよ五日後の12/16に迫った受動的イベント『選挙に行って、一日赤いドリルで管を巻く!』で配布する特典ペーパーが完成!B4サイズで文字がギュウギュウ!「古書赤いドリル」那須氏が『あらかじめ〈触れ合い〉を失われた「ぶらり途中下車の〈古本〉旅」』を、私が『ドリルと私』を脱稿。内容は、オッサン二人がお互いを褒めちぎり合う、素敵なものになっております!当日手に取っていただき、ぐっと読み込んでいただければ嬉しい限りです。さらに当日は、残っている『古本屋レクイエム』や、つい最近家の中で10部ほど発掘した『高円寺全古書店巡り』の半分の記事を担当したフリーペーパー『こ・ら・ぼんvol.4』も持って行きます。ご希望の方は酔っぱらっている私にお申し出ください!
さらに明日、岡崎武志氏と私の対談を掲載した、北條一浩著「わたしのブックストア/アスペクト」が発売になります。こちらもどうぞよろしくお願いいたします!


先日、このブログを訪問し初見参の挨拶を済ませた者です。予てより古本ツアー氏が企画なさった12月16日歳末選挙・記念協賛行事であります
「一日、赤いドリルで飲んだ暮れて管を巻く」
の日取りが迫って参りました。
ご準備も実に宜しく、着々と進行しつつある模様で何よりです。当方も先約の通り、「下北沢・赤いドリル」まで伺候の予定であります。
御逢い出来ますのを楽しみにしております。お元気で。
書き込みを拝見しました。返信、有難う御座います。
実は、選挙の投票は済ませたのですが、それとは全く別個の用件が未決の儘、手元に残されており、その事実を完全に忘却していました。
その解決に向けて奔走するうちに相当な時間が経過して仕舞いました。自宅から下北沢まで到着するには、結構な時間がかかります。
申し訳ありません。私のミスです。失念です。
折角、歓迎のお言葉も頂戴したと云うのに、訪問できなくなりました。どうも失礼しました。亦、機会が有れば、下北沢の裏通りの古書店までお邪魔します。
お元気で。