2013年02月09日

2/9岩手・宮古 春夏冬書房

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『ウィークエンドパス』の上位パス『スリーデーパス』を入手して、一路北へ。航続距離が延び、北海道の尻尾まで行けるのは何とも有り難いことである。盛岡から抹茶ツートンカラーの、二両編成ディーゼルカー・山田線に乗り換える。快速には『リアス』と言う良い名がつけられている。東の太平洋に向かって、最初は住宅の間を雪を舞い上げ汽笛を『プィ〜』と鳴らし走り始める。車内は三連休の初日なので、少し混雑しているらしい。およそ十分で都市部の辺縁を離れたら、後は徹底的に雪で真っ白な山間を走り続けて行く。駅間は長く、幾つもの暗く短いトンネルを潜り抜ける。しかし、海に近付くにつれ、雪は意外なほど少なくなって行くのだ。およそ二時間後に、宮古駅に着く。有人改札を通って小さな駅舎から出ると、新しく整備された駅前が山をバックに広がっている。吹き荒ぶ針のような冷風を身に受けて、北に向かって歩き始める。すぐの交差点際にある銀行の敷地内には、真新しい『津波到達地』の碑が建てられていた…宮古港に注ぎ込む閉伊川沿いに長々と続く防波堤を越え、およそ一キロを黒い海水が蹂躙した記憶である。自然の猛威に強烈な畏怖を覚え、今は寒さに身を震わせながら北へと歩き続ける。500mも進めば、右手に今日は閉まっている『宮古市魚菜市場』が見え、道は急激に西に折れ曲がる。道なりにそのまま西へ進んで行けば、右手に去年新しく開店した古本屋さんが現れる。ちなみに色々調べてみたのだが、宮古に古本屋さんがあったと言う記録は、どうしても見つけることが出来なかった。岩手県は元々古本屋さんが少なく、昔から盛岡に集中していたそうである。なのでもしかしたらこのお店が、宮古初の古本屋さんなのかもしれないのだ(過去に宮古の古本屋さんをご存知の方は、ぜひ情報をお寄せ下さい)。が、しかし!ここは残念なことにコミックの専門店なのである。古本修羅としては物足りないこと必至だが、それでもこの地に、大震災被災後に出来た古本屋さん!この目でしっかりと確かめるのが、私に課せられた役目なのである(あくまでも自主的に)!中に入って出迎えてくれたのは、武骨な石油ストーブの暖かさ。うむ、本当にコミックばかりだ。店内は広く縦長で、左側手前に帳場兼作業場とコミック揃いの山。壁際は本棚で、右壁の前後にはガチャガチャ群が置かれている。真ん中に背の低い背中合わせの本棚が二本連なっている。右を見ても左を見てもコミック…。尚帳場横には大きなテーブル席があり、訪れた人の交流スペースとなっている。マンガマンガと奥へ進むと、最奥には暖簾で隠されたアダルトスペースもしっかりと作られていた。さて、果たして何か買えるのか?と踵を返すと、目に入ったのは棚脇の小さなスチール棚!おぉぉ!これは何と、100均文庫棚ではないかっ!コミック専門店なのに、古本を置いてくれてありがとう!と二重に並んだ三段を物色する。ミステリ系文庫が中心で、教養文庫「鎌倉・三浦半島の旅/渋江二郎編著」ハヤカワ文庫「宇宙の戦士/ロバート・A・ハインライン」をどうにか購入する。

この後は、ブラブラと街を散策し、次第に東の河口付近まで足を延ばす。進めば進むほど、街路が新しくなって行くのが空恐ろしい。新しい信号・更地・工事中の建物・放置された廃墟…様々な異なる時間の流れを、この街は内包してしまっている。しかし荒涼とした感じは漂うが、街は少しずつその傷を治しつつあるのだろう。防波堤の向こうの漁船に止まった、たくさんのカラス、それに道路とほぼ同じ高さの水面を見ていたらとても寂しくなり、駅方面にトボトボと引き返す。その駅前に、三角形の小さな街の本屋さんが、風情をたたえてちょこんと建っていた…。

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●おまけ「増坂書店」
建物の形通り中も小さな三角形で、どうも雑誌・コミック・時代劇文庫以外は、妙に古臭い80年代前後の本が多い。フムフムと楽しく眺めていると、児童文学のコーナーで、偕成社「鉄仮面/原作・大デューマ 高木彬光」を見つけたので、喜んで購入することに!すると三角形の鋭角に潜んでいたおばあさんは、古い本で申し訳ないと180円を値引きしてくれた。ありがとうございます!

こんなわけで、どうにか街の人々の営みの一端に触れ、ようやくひとつのツアーの形になった気が…よし、後はまた長時間の電車移動で、家へと帰るだけだ。初の宮古に感謝を捧げつつ、しばらくは駅の待合室で、電車が来るのを待ち続ける…。

posted by tokusan at 22:43| Comment(2) | TrackBack(0) | 東北 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いつも精力的なご活動、お疲れ様です。
かつて宮古には「ブックマート宮古店」「ブックマート長町店」と、2件の新古書店がありました。私は2008年10月27日に訪問していて、その時のことをブログに写真入りで紹介しておりますので、よろしければご覧ください。
http://d.hatena.ne.jp/shirokuni/20081119

先程両店に電話をかけてみたら「現在使われておりません」となっていたので閉店した模様です。やはり震災の影響なのでしょうか……
それにしても希有な三陸沿岸の古本屋を発見するとはさすが古ツアさんです!

さてついでながらタレコミです。もうご存じかもしれませんが、3月31日に土浦駅前に「つちうら古書倶楽部」が開店予定。れんが堂書店さんが胴元で、関東一円の古本屋20店ほどが、古書モール形式で棚を展開する予定です。オープニングイベントとして、常設棚に加えて古本市も開催されます。私は出店しないので、せめて宣伝だけでもと思いいいふらしてます。お楽しみに!
Posted by かぴぱら堂 at 2013年02月10日 12:46
情報ありがとうございます。そうですか、以前は『ブックマート』があったんですか。やはり撤退ですかねぇ。いくつかの新刊書店は、不死鳥の如く営業をしていましたが…。

「つちうら古書倶楽部」のタレコミもありがとうございます。実はすでに「れんが堂」さんが、自身でタレこまれておりましたが、正確なオープン日は知りませんでした。オープン初日に駆け付けられるよう、調整しておきます!
Posted by tokusan at 2013年02月10日 17:56
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