様々なくびきを断ち切って、逃亡するようにして東京を離れたら、いつの間にか豊橋に。東口に出て、空中広場から直接路面電車(豊橋鉄道市内線)の始発駅へと下りる。すぐに新型の車両が滑り込んで来たので、150円を払い座席に腰を落ち着ける。路面電車にあるまじき力強い加速で走り出したかと思ったら、そのまま結構なスピードで市内を走り抜けて行く。イスラム様式の市役所や、古い民家の軒先や、架線で区切られた青空を見上げていると、古い時代の裂け目に落ち込んだ錯覚に襲われる。電車はほとんど住宅街の中まで入って行き、二十分ほどで目的の電停着。電車のお尻を見送り、道路中央の狭い島に立って、しばらくは信号待ち。『井原電停交差点』から、分岐する軌道に沿って南へ進む。200mも進んで次の信号が見えたら、左手に白い古本屋さんが見えて来た。大きな下見板張り風のお店は、青いプラ日除けを持ち、二階は住居となっているようだ。広めの駐車場を備え、複数の看板も設置し、中規模のリサイクル古書店な風貌である。が、角に造られた手動扉をスライドさせると、そこはちょっと広めで雑然とした古本屋さんであった…心の中で思わずガッツポーズ!奥の鏡の壁をバックにした帳場には誰の姿も見えないが、しばらくしてご婦人が「いらっしゃいませ」と現れ、すぐに白髪の大木こだま風店主へとバトンタッチ。その店主も柔らかな声で歌うように「いらっしゃ〜い」。壁面は本棚で、右壁にガラスケースを備えた長い帳場がある。フロアには背中合わせの本棚が手前と奥に置かれ、左壁には逆“コ”の字で造られた小空間が三つ連続している。そして入口付近には、未整理本の山々…もはや私には見慣れた光景であるが、後から入って来たお客さんは「うへ〜、こりゃすげぇな」と思わず口に出していた。入口右横は、実用・選書・ノンフィクション・ムック類が集まり、途中からゲームソフトの棚に変貌する。棚下にはみっしりとゲーム攻略本の姿。向かいにはミステリ&エンタメ文庫・時代劇文庫が収まり、下にはアダルト雑誌が平積みとなっている。中央通路はアダルト・美少女コミック・コミックで、最奥は通路棚に映画・文学評論・思想・渡辺華山・将棋・囲碁・新書・日本文学・句集が並ぶ。奥壁は植物・自然・トヨタ関連・全集・音楽・宗教・澁澤龍彦・美術・工芸・趣味・民俗学・三島由紀夫・雑本的文庫棚・戦争・美術と並び、斜めに帳場の後ろに回り込んで行く棚には静岡・東海関連の本が学術書を中心にビッシリ。入口左横からは、箱入本・戦争・大判ビジュアル本がまずは並び、小さな岩波文庫棚を経てコミックゾーン、最奥に日本純文学文庫と絶版漫画が揃って行く。絶版漫画は少年漫画以外にも劇画が充実!粒揃いで見応えがあり、しかも安いとは!思わず大量購入しそうになるが、自制してどうにか切り抜ける。全体としては、ほどほどに古い本があって楽しめる展開。安めなのが嬉しいが、良い本にはちゃんと値付けされているものも。なんだかんだで六冊を手にして、微妙に古いゲームソフトで固められた帳場へ。「ハイ、ありがとう」と軽やかに精算していただく。甲文社「寺田寅彦の追憶/中谷宇吉郎」桃源社「ロスト・ワールド(前世紀)全/手塚治虫」角川文庫「乳房喪失/中城ふみ子」(これが本日一番の収穫か!)新潮文庫「暢気眼鏡」「虫のいろいろ」共に尾崎一雄、学研M文庫「後方見聞録/加藤郁乎」を購入。
腹を空かせながら駅まで路面電車で引き返し、西口に抜けて二年半ぶりの「東光堂」(2010/08/26参照)も。UP選書「分裂病と人類/中井久夫」カラーブックス「食虫植物/山川学三郎」「混浴温泉/藤嶽彰英」を計600円で購入し、今回は早口で愛想の良いおばさまと世間話を少々。お店が雑然としているのを、しきりと照れているのがプリティーであった。


昨年、反町の神奈川古書会館イベントのトイレで隣り合った際、「書き込みのあるユーズド学習用問題集が役に立つ・・」とかくだらんことを話しかけた現私塾経営者(数年後地域コミュニティ志向古本屋立ち上げ予定)の飯田(55歳)です。
手前生まれも育ちも先祖代々相州は海老名の国分、大山街道の辻の宿場でごぜーやす。以後、お見知りおきを。
さて、今回の記事とは縁もゆかりもござんせんが、手前の塾から歩いて10分の『読書は思考力を育てる!知恵と知識の宝庫!』がキャッチの「えびな平和書房」(2010 8/6記事、広島原爆投下の日!)の現状報告させて頂きます。
開店率5割あるかどうかの状況下に5回ほど店内侵入しました。先月の大雪翌日には好々爺的店主が店頭の雪かきしているのまで目撃。
話しかけてみるとかなりの話好き風。ツアーのことも話すと、「そんな話聞きましたが、私はパソコンは・・」とのこと。県内某私立高校教諭退職後古本屋を始めたとか。「ま、道楽ですな」との言葉に思わす手前は店内を見回し、納得。「憲法9条の会」の活動でやむなく店を休むことが多いとか。店内ややレフトな棚状況に、これも納得。
しかし、小山さんは海老名駅から平和書房さんまで歩いて行ったんですか。ツアーというより「古本屋トレイルラン・イン・ジャパン」ですな、ほんとに。では、また報告します。
*昨日東京西部古書会館、押すな押すなの「好書会」に行きました。平均年齢70前後の好々爺とはいえない古本ハンタージジイどものパワーに負けずに35冊で約7千円と大収穫でした。もちろん全部ザックに入れて厚木の自宅まで持ち帰りました。「金子光春自伝」初版100円。
そうそう、帰途に高円寺駅前の「都丸書店」に寄りました。人文系と社会科学系の二店に分かれた超硬派の棚展開。ただ、ひたすらこうべをたれるのみでした。「花田清輝評論集ー岩波文庫」200円。