2013年03月02日

3/1静岡・静岡 一冊 萬字亭

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午後がパカッと空いたので、チャンレジのつもりで高速バスにて静岡へ向かう。鉄道より料金が500円ほど安いのである。新宿駅西口の高速バスターミナルでチケットを買い、そのまま表の停留所でバスに飛び込む。曇り空の下の灰色の景色の中を走りに走り、乗客のため息を車内に溜め込みながら、三時間半。午後六時の静岡は土砂降りの雨であった。駅売店で傘を買い、白い柱が林立する駅南口ロータリーに出る。それを左から大きく回り込み、線路沿いに東へ向かう。道路がまるで川のようで、傘をささぬ雨合羽の人が多いのにも驚かされる。500mほどで、中央に緑地帯を持つ『久能街道』に出るので、そこを南へ。二つ目の信号『八幡二丁目北交差点』を過ぎると、右手敷地の奥まった所に建っている新築住宅の一階が、小さな古本屋さんとなっていた。藤枝在住の方からタレコミのあったお店である。営業時間が午後遅くから夜までのようなので、この時間の訪問と相成った。店頭左側に棚はあるが、本は一冊も並んでいない。入口両脇に『ふる本屋』と書かれた板と店名立看板が置かれている。明るい店内に人影は無いのだが、遠慮はせずにカラッと中へ入り込む。コンクリ土間の簡素な空間で、壁にはぐるっと本棚が設えられ、真ん中に背中合わせの棚が一本。右側の通路の方が広くなっており、平台と自転車が置かれている。右奥に小さな帳場があり、その後ろに住宅への入口がある。通路や棚下には横積み本がドバドバと…それにしても何かおかしい…。お店は新しいのだが、並んでいる本が妙に古いのだ。状態の良くないものも見受けられるが、ググッと魂が引き寄せられ、“何かありそうだぞ”のアラームが脳内でけたたましく鳴り響き始めているのだ…。右壁は日本文学・数学・児童文学・ノベルス・創元推理文庫・コミック・ハヤカワポケミス・日本文学文庫。帳場の真後ろには小さな辞書棚あり。平台にはコミック・ノベルス・推理小説が派手に山積みされている。真ん中の棚には、実用ノベルス・ノベルス・実用書・新書・ガイド・ビジュアル本・ペーパーバック・HOW TO本・児童文学・児童書・コミック・海外文学がカオスに収まっている。入口左横は積み上がるコミック箱で見難いが、官能文庫・ノベルス・ハヤカワ文庫・ティーンズ文庫などがチラチラ見えている。左壁には、新潮文庫・角川文庫・スポーツ指導書・創元推理文庫・春陽文庫(少々)・岩波文庫・コミックとなっている。奥壁は時代劇文庫専門棚の気配……うわわっ!気付いたら十二冊の本を抱え込んでしまっているじゃないか!一体俺はどうしちまったんだ…?この状態が如実に物語っているのは、面白く珍しい本が多かったと言うことである。70年代前後の本がほとんどの、摩訶不思議なお店なのである。なので自然とウハウハが止まらなくなります。さらにかなり安い!高速バスに乗ってちょっと寂しい気持ちになりながらも、ここまで来た甲斐があったと言うものだ。ようやく奥から出て来た川口順子似のご婦人に、ペコッとお辞儀をしながら「これをください」と本の山を差し出す。すると「あぁ〜、汚い古い本ですみませんね」と恥ずかしがりながら本を拭き始めた。さらに値段を確認しながら「昔の値段だわ。もっと安くしなきゃ」と次々値引きを開始!何だかおかしなことになってきたぞ。聞けばご婦人のお母様が、昭和五十年過ぎまで古本屋さんをやっておられ、それをそのままご婦人が受け継いだのはいいがお店は結局閉めることになり、本はそのまま放置していたそうである。それを、去年改めてお店を造り販売を始めたというのが、この不思議なお店の真相であった。う〜む、夢のような『昭和五十年代古本屋冷凍保存』である!長い眠りから覚めたこのお店に出会えたことを感謝し、創元推理文庫「カジノ殺人事件/ヴァン・ダイン」「霧の国/コナン・ドイル」(SF)「盲目の理髪師/ディクスン・カー」「チョルフォント荘の恐怖/F・W・クロフツ」「創元推理文庫/解説目録1980・6」春陽文庫「君は花の如く/藤沢桓夫」「サラリーマン奮戦す/笠原良三」博文館文庫「通俗三國誌 第三巻」(巻末の広告にシビれまくり!)白泉社ヒロインブック「はみだしッ子語録/三原順」ワニブックス「プロレスを10倍楽しく見る方法/アブドーラ・ザ・ブッチャー」あかね書房「見えない殺人犯/ウィリアム・アイリッシュ」「怪奇植物トリフィド/ウィンダム」を購入。結局合計1230円となったので、ほぼ100均に。ありがとうございました!古本を濡れないように大事に抱え、駅へバシャバシャと引き返し、夜の東海道線に、ふぅと腰を落ち着け、雨と共に東京へ向かう。…あぁ、やっぱり旅は、バスより電車が良いなぁ。
posted by tokusan at 00:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 中部 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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