●甲府「フリグリ」
駅南東およそ四キロの『イトーヨーカドー甲府昭和店』に隣接する、大きく真新しいリサイクルショップである。ちなみにお店のロゴは、完全にアニメ『フリクリ』のパクリである…。中は広く横長で、通常リサイクル品以外にも、アンティーク&古道具系統も扱っているようだ。入ってすぐ右にあるガラスケースに、009・仮面ライダー・マジンガーZ・バビル二世などの懐かしキャラ紙物類が飾られている。一応プレミア値が付いてはいるが、そう高くはない手頃な値段に好感を持つ。そのまま右に延びて行く白いレジカウンター前を進んで行くと、すぐに古本棚が出現する。頑丈そうな同型の木製棚が六本並び、左の四本に古本、後の二本にCD・ゲーム・レコードが放り込まれている。吉川英治全集・雑誌・絵本・児童文学・女性実用・コミック・小説・文庫(宮本輝多し)・実用…新しめの本ばかりで雑本的展開。なので値段は安いが食指は動かず…。軽く追い詰められつつあったのか、何故かレコードを漁る暴挙に出てしまう。LPにもEPにも真田広之が多いので、少し笑ってしまう。ジャケットが永遠に素敵なフィリップスレコード「また逢う日まで/尾崎紀世彦」を100円で購入してしまう。
●甲府「東天堂書店」
もっと古本に触れ合わなければ!と自転車を駆り、「明文堂」「風雪堂」(共に2009/05/04参照)に行ってみるが、残念なことにどちらもお休み…このまま帰るのはいくら何でも悲し過ぎる。そこで頭に浮かんだのは、先ほど「明文堂」に向かって『遊亀通り』を北上している時に『若松町交差点』手前で見かけた、更地に挟まれ枯れた蔦に絡まれ、廃墟同然の姿を通りに晒した看板建築の新刊書店であった。もしかしたら古い本が、そのまま棚に挿さっているかもしれない…そんな妄想的希望を胸に、お店を目指してルートを逆戻りして行く。息を弾ませて店前に到着し、ゴクリと唾を飲む。看板建築は、モルタルの装飾が華麗で、疑似バルコニーも素晴らしい。しかし蔦に隠された看板文字の下には、暗く淀んだ洞穴のようなお店の姿。店頭には新刊雑誌ラックと、絵本が一冊も入っていない空の鉄製回転ラック…どうせダメ元なのだ、と滑りの悪いサッシ扉を動かして店内へ。縦長で薄暗く古く時間が停まっており、逆に何故この状態でお店を開けているのか?と思ってしまうような空間である。棚上に連続する小さな採光窓が店内に光を注いでいる。左右の壁は造り付けの本棚で、下部はガラス戸の収納棚となっている。真ん中には雑誌ラック・雑誌台・平台付き本棚と続き、奥には雑然とした帳場がある。ニット帽にマスクを着けたオヤジさんが、ただただムッツリと座り込んでいる。通路手前の雑誌と右奥のアダルトには新刊も混ざり、しっかりと動いている気配が感じられる。しかしそれ以外は、つまりお店の2/3は、色褪せ埃を被り、もはや“死蔵”レベルの動かぬ本たちばかり…。入って右側の児童読物&絵本の棚は壮絶で、80年代前後の児童絵本の墓場と化してしまっている。棚もスゴいが、棚上&棚下の横積み部分が壮絶。懸命に掘り起こせば、何か見つかりそうな気もするが、新刊書店でそう言う行為をして良いものか…?それに続いて児童文学・実用・コミックなどが並ぶ。通路では、書類の山・ダンボール・重量感のある紙包み・多数の殺虫剤の缶が存在感を放っている。左側通路には歴史小説・日本文学・ノベルス・ガイド・地図・コミック・文庫。下のガラス戸棚の中にはストックっぽい本の影…気になるなぁ。どんな本が入ってるんだろうか?静かな緊張感溢れる店内を、『何かあるだろ何かあるだろ』と心の中で呪文を唱えつつ行ったり来たりして、三冊の児童文学を選び抜く。ズイッと差し出して精算をお願いすると、オヤジさんは後ろ向いて埃を払い、「300円」と一言。うはぁ!ありがとうございます!と言うわけで、古い本は100均で買える模様です。ポプラ社文庫 怪奇シリーズ「ゆうれい船/ハウフ他」(他はホフマンとシャミッソー)「ジキル博士とハイド氏/スティーブンソン」フォア文庫「第四惑星の反乱/R・シルヴァーバーグ」(うぉ!絵が柳柊二だ!)を購入。いつの日か、児童絵本の墓場に心置きなく挑んでみたいものである。
変化球な感じのツアーとなったが、自分としては大満足。帰りの車内、四人掛けシートにひとりで腰掛けながら、ビールで祝杯をあげる。車窓は春に向けて準備に余念のない、今はまだ枯木のようなぶどう畑の景色。

