2013年03月19日

3/19静岡・桜橋 清水書店

早くに家を出て、みどりの窓口で青春18きっぷを購入したなら、そのまま電車に飛び乗って東海道線で三時間半。草薙駅で静岡鉄道に乗り換えて、古庄駅で下車する。北口から町中に入り込んで、『県道74号』を北西へ。『沓谷五丁目交差点』で西南に向かい二キロ強。『唐瀬街道』にようやく入って、そこからさらに北西へ二キロ…片道五キロの行程である。こんな距離を歩かねばならぬのは、『唐瀬街道』と至近の駅の間に『谷津山』が横たわっているためである…とにかくヒドい遠回りをして、目的のお店である「福代書店」にたどり着くと…ノゥッ!お店は市議立候補者の選挙事務所となっていた。何とムゴい…たくさん歩いて来たのに…。激しく打ちのめされながら、来た道を力無く引き返して行く。そしてズタズタに引き裂かれた古本心を癒すために、街道沿いにあった「リサイクルバンク館」に飛び込んでみる。
recycle_bankkan.jpg
店頭に古道具を並べたワゴンが多数展開しており、『もしや古本も…』と希望を抱かせてくれる店構えだったのである。入口近くに座って煙草をふかす、イナガキタルホ風おばあさんに挨拶をし、店内の古道具迷宮に彷徨い入る。そしてどうにか箪笥の片隅に置かれた、カルタなどと共に十冊ほど古本が並んでいるのを発見する。ペーパーバック・岡本かのこ・源氏鶏太・児童文学…選択肢は極端に少ないが、東西五月社「少女世界名作全集 日本編/川端康成」を手にして通路をさらに彷徨うと、イナガキおばあさんが「何かお探しですか?」と声を掛けて来た。すかさず持っていた本を掲げ「こうゆう古い本がないかなぁと思って…」と彼女の方に近付くと「古本はたくさんあるけど、今店に並べてないのよ。この間たくさん並べたら棚が落ちちゃって、『古本はダメだ』ってことになったの」と残念なエピソードを語る。「少しずつ出すから、また見に来てちょうだい」と言われて、見には来たいが二度と来ない可能性大…意外にしっかりした値を告げられ、前述の本を購入する。

一応古本は買えたのだが、どうも収まりが悪い気がする。ヒイハア駅まで戻り、再び静岡鉄道に乗って桜橋駅で下車。駅上にある『桜橋交差点』から『県道198号』をひたすら南に下って行く。駅からおよそ一・五キロ。『バーミヤン』を過ぎて『庄福町交差点』で西に入ると、もはや夕陽の照り返しが眩し過ぎる、緩やかな坂道の間延びした商店街風な通り。ここを200mも進めば。清水からそのまま曳家して来たようなお店が建っていた。
shimizu_shoten2013.jpg
2010/05/04に訪れたお店であるが、清水店はいつの間にか閉店し、この駅からとても離れた地で営業を継続していたのである。早速緑の日除けを潜って中に入ると、スッキリして素っ気なく、尚かつ奥の帳場には誰もおらず無人であった…近くに店主はいるのだろうか?すぐに戻って来るのだろうか?左右両壁は天井までの本棚で、真ん中には足下が広がった天井までの背中合わせの棚が縦に二本置かれている。入口側と帳場側、共に棚脇棚が設置されている。また左側通路の入口側には、棚と脚立あり。広さは清水店の半分くらいか。右壁一面はコミックで、奥にアダルト。通路棚にはミステリ&エンタメ・海外文学・ミステリ文庫・ノベルス・コミック・アダルト。棚脇には、入口側にハーレクインと児童文学ノベルス、帳場側に海外文学文庫と美術図録が並んでいる。左側通路の通路棚には、児童文学・実用ノベルス・カルチャー雑本・日本純文学文庫・海外文学文庫。入口側棚にも海外文学文庫が並び、左壁に戦争・ノンフィクション・東洋文庫・歴史・文学・思想・科学・天文学・自然・時代劇文庫・日本文学文庫・新書…以前と同じように、本に値段は付けられていないので、またもその場で値付けするシステムなのだろう…しかも嬉しい安値で。しかし私は、古本を手にして途方に暮れている。結局誰も姿を見せないのだ。取りあえず「すいませ〜ん」と帳場の背後のサッシ扉方向に呼び掛けてみる。何度も何度も。次第にボリュームを大きくし、かなりの大声で叫んでいるのだが、何の反応も無い…。おぉ、買いたい古本を持ったまま日が暮れて、私は帰れなくなってしまうのか…。このお店は家の前に建っているので、一旦外に出て家のチャイムを押すべきか、それとも伝言メモとある程度のお金を置いて立ち去るべきか。などと考えつつも、「すいませ〜ん」を間歇的に発し続けていたら、ようやく店主がサッシの向こう側に顔を出してくれた。「す、すいません。洗濯物を取り込んでいたので…すみません!あの、誰もいない場合は、裏の家のピンポンを押すか、この電話で“1#”を押せば家とつながりますので」…書いておいて欲しかった…。そしてようやく本を差し出し精算してもらう。店主は一冊一冊評しながら、ほとんどが100〜200円の値付け。お宝本が混ざっているので、やはり店主に値付けしていただいて、本当に良かった。エール出版社「タレント残酷物語/竹中労」(100円!連日のどひゃっほうである)幸洋出版「仮面を剥ぐ/竹中労」大和出版「遊ばない人間に仕事ができるか/田邊茂一」北海道教育社「札幌青春街図」日本評論社「ルービック・キューブ免許皆伝/島内剛一」光文社文庫「戻り川心中/連城三紀彦」を購入。

ここまで来て良かった。そう思わせてくれる収穫であった。しかし今日はたくさん歩いた。後は最後の一歩きで、JR清水駅までトボトボ…あっ!メーターを振り切った古本屋さん「エンゼル書店」(2010/05/04参照)が看板を下ろしてしまっている!ショックだなぁ…。

posted by tokusan at 23:05| Comment(4) | TrackBack(0) | 中部 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
静岡ですか。こちらは東日本パスなので、とりあえず、今日は黒磯白線文庫などへ。夜帰宅してNHKテレビ(7・30分-)を見ていたら関西の「青空文庫」(古本屋)が紹介されていました。貴ブログをチェックすると、ちゃんと訪問ずみ。小生も昔行ったことがあるかもしれませんが記憶にありませんでした。
白線文庫に始まり青空文庫という一日でした。店主が20代の女性、89歳の男性、古本屋もいろいろとありですが、いつまで行脚できることやら。
Posted by 古本虫がさまよう at 2013年03月20日 21:47
白線文庫詣で、ごくろうさまです。ずいぶんとお店の中が変わったらしいので、見に行かなければ…と思っているのですが。「青空書房」さんは、大晦日にも開いており、救われた思い出があります。独特なメッセージポップが、まるでアウトサイダーアートのようで、とても素敵でした。いつまでもお元気で続けていただき、100才越えてもぜひ古本屋を!と思わずにはいられません。
Posted by tokusan at 2013年03月20日 23:01
本年、二回清水書店を訪ねましたが、二回とも振られました。
一度は午前、もう一度は午後でしたが、シャッターは開かず。ちょっと嫌な予感がします。
Posted by 杉江松恋 at 2019年08月30日 21:11
杉江松恋様。うわぁ、それはちょっと困りますね。まだまだ雑本の棚の中に、良い本が安値で眠っていそうなお店なんですが。せめて静鉄の旅をお楽しみいただければ幸いです。
Posted by 古ツア at 2019年08月31日 17:17
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