●近鉄富田「万代書店 四日市店」
改札を抜けたら、『駅前通り』→『富田中央通り』と一キロほど南東に下り、『国道一号』を南西下する。大きな陸橋を越えたなら、左手に『古着』『古本』の巨大看板を持つ、軍事施設のようなカマボコ型の建物。広い駐車場を突っ切って中に入ると、古着・ゲーム・カード・おもちゃ・駄菓子・楽器・CD・DVD・アダルトの迷路!古本は、古本はと隅々まで目を凝らし、幽鬼のように広い店内を彷徨うが、あったのは小さなコミック売場だけ…何とこのお店には古本売場が無いのである。表の巨大過ぎる『古本』の文字に完全に裏切られ、お店から呆然と脱出…すべての「万代書店」がこうでないことを願いつつも、これ以上南に下るのは危険と判断し、すぐさま名古屋に舞い戻る。
名古屋では、駅近くの『国鉄会館』にあるはずの、アート系の古本屋さんを訪ねてみたが、何処にもそんなお店は見当たらない。何故だ!と頭を抱えつつも、すぐさま気持ちを切り換えて、五年前の「名古屋古本屋ロード」(2008/06/15参照)の続きを、ようやく実行に移すことにする。
●上前津「海星堂書店 北店」
名城線『10番出口』の階段を駆け上がれば、大きな『上前津交差点』。その北東際、交差点に向かってカーブを描く白いマンション一階で、古本屋さんが陽を浴びていた。緑の日除けの下に大きく展開する壁棚は、文庫本と単行本が主。単行本には戦争関連が多く見られる。足下には文庫・コミックの詰まった箱が並んでいる。入口右横の小さな新書棚から一冊掴み、万引き防止ゲートを擦り抜けて薄暗い店内へ。中は天井までの棚が立ち、少し鬱蒼としているが、通路は充分に確保されている。壁際ははすべて本棚で、真ん中に背中合わせの棚が二本。フロアは奥が少し狭まっている。入口左横に帳場があり、男性二人が頭だけを見せ忙しく働いている。おぉっ!入口右横に、中日ドラゴンズ選手サイン色紙やカード類を発見!…ここが名古屋であることを直に感じ取れた瞬間であった。壁際は一般文庫・時代劇文庫と新しめな本が並び、多めの絶版漫画、そして奥に雑誌と美術が収まっている。向かいはかなりマニアックな並びで、探偵小説・ジュブナイル・幻想文学・海外ミステリ・絶版文庫・ちくま文庫・プロレス・野球・格闘技・性愛・エロ・オカルト・映画・テレビ・タレントなど。棚下にはたくさんのダンボールが並び、雑誌付録・VHS・コミック・雑誌などが入れられている。真ん中の通路手前側にDVDが集まり、奥右側に歴史・文学評論・文明・哲学・社会学、左側には戦争関連が大集合。奥壁は雑誌が並び、左端は完全なるアダルト通路となっている。一般雑本・マニアック本・アダルトで成り立っており、マニアック部門とその周辺では珍しい本たちが目を楽しませてくれる。古めな本が多いのもまた楽しい。一般的な本の値はちょい安〜普通だが、プレミア本はしっかり高値が付けられている。しかし東京より、安い設定のプレミア本もチラホラ。作品社「ギャグ狂殺人事件/ビートたけし」創元推理文庫「危険な乗客/トマス・ウォルシュ」を購入。
●上前津「海星堂書店 南店」
続いて交差点を南に下れば、東側歩道にすぐ同名の古本屋さんを発見することになる。こちらは小さなビルの一・二階が店舗となっており、一階入口部分にはしっかりした安売り本スペースが造られている。壁棚には単行本と雑誌類が並び、背中合わせのラックには文庫・単行本・ノベルス・コミックが並ぶ。値段は100〜500円で、目を皿にすると良い本が多く紛れ込んでいるのが目について来る。中々秀逸な店頭棚だ…むっ、ビッケ本発見!などと結局四冊も引っ掴んで奥の店内へ進む。入口は左右二ヶ所あり、構造は“U”字型なので、左右通路の行き来は店外かレジ前でしか出来ない。ちなみに左側はアイドル・グラビア誌・アダルトの桃色通路となっている。右側通路は、壁棚が将棋・風俗・社会など多ジャンルが集まる細い棚から始まり、ハヤカワ文庫・創元推理&SF文庫・ちくま文庫・ポケミス・探偵小説・幻想文学・アングラ・博物学・音楽・美術・写真・犯罪・アウトロー・鉄道・性愛・人文・歴史と続く。奥はその周囲を細い回廊にした帳場があり、男性が前後に収まっている。ぬぬっ!背後の壁には『ポケミス揃い 100万円』なんて恐ろしい品物が!通路棚には、絶版漫画・児童書・スポーツ(相撲充実)・東海郷土・芸能・竹中労・平岡正明・テレビ・オカルト・タレント・アイドルなど。足下の雑誌箱は、とてもプロレス雑誌に偏重している気がする。こちらもまたマニアックで良い本が多く見られる。値段はやはりしっかり。それでもこれなら安めなはず!と店内でも一冊ギュッと掴み、評論社「ビッケと空とぶバイキング船/ルーネル・ヨンソン」暮しの手帖社「「暮しの手帖」とわたし/大橋鎮子」ソノラマ文庫「透明少年/加納一朗」講談社X文庫「死霊のえじき/ジョージ・A・ロメロ」ちくま文庫「怪奇探偵小説名作選 香山滋集 魔境原人」を購入…こんなに買うはずじゃなかったのに…。二階の階段を上がると、映画パンフの積み上がった瓦のような山に驚き、店内にもまだまだ映画パンフ、そして映画本・ポスター・映画雑誌・VHS・DVDだらけ。単行本は主に右側通路に集中している。また左壁棚は映画とは関係無く、兵器関連の雑誌で埋まっている。
荷物を重くして東京に戻りながら、五年を経てつながった「名古屋古本屋ロード」について考える。まだ「飯島書店」をツアーしてないし、「亜希書房」の消息も確かめなければ…あぁ、名古屋の古本道。それはようやく始まる、新たな長い旅のスタートであろうか。


現在は『日本の古本屋』サイトでの通販のみだそうです。
他はすべてブックオフさんと万代・manyou書店だけです。まあ、ブックオフさんが各市にあって、なんとか本のリサイクルをしてくれていますけど、もしこれがなかったらどうなったのかと思います。