予定通りに行動していかなければ、目的地到着時間が大幅に遅れてしまう!そんな危機感を抱き、昨日手に入れた週末パスを手にして、正確に午前六時に家を出る。普通列車を乗り継いで乗り継いで乗り継いで、七時間で宮城県…もはや疲れているのだが、段々この行程にも慣れて来た気がする。訓練を積み重ねて行けば、普通列車乗車航続距離を、もっと延ばせるようになるのだろうか?自身の伸びしろを信じたいところである…。東口の駅前は街路がキレイに整備されており、高い建物は見当たらず、郊外的な見通しの良さを誇っている。ロータリーから抜け出して東に歩いて行くと、頭上から突然轟く雷鳴。それを振り切るようにして『名取駅前交差点』で狭めな『国道4号』を南へ。気の抜けた商店街風街道を歩いて行く。Y字路を過ぎて500mほどの地点、左手にクリーム色の側壁を見せた古い商店建築が見えて来た…一階側壁は二年前と同じく、ブルーシートで応急処置されたままだが(2011/0715参照)、ヒビが入っていた部分は修復が施されている…何はともあれ営業を再開されていて、良かった良かった。通り側に張り出した緑の日除けは所々剥げ落ち、ワイルドなビジュアルと化している。埃に曇ったサッシ扉の前には、『古本・掛軸・古民芸品』とある黄色の立看板。『グワラララ』と豪快な音を出すサッシを引き開け中に入ると、そこは雑然と本が積み上がる古くカオスな空間。入ってすぐ左側に、ガラスケースと共に古道具&民芸品の高密度なスペース。左右の壁は本棚で、真ん中に背中合わせの棚が二本…しかし棚下には、微妙なバランスを保ち積み上がる本の山が胸高まで伸び、棚の1/2〜2/3を隠してしまっている。通路も人ひとり通るのがやっとの状態である。奥に小部屋を背後にした帳場があるのだが、真ん中に座る老高島忠夫風店主を中心として、古道具&古本が融合しつつ擂り鉢状に積み上がり、まるで物質化した後光のようである。右端通路は壁棚に、言葉・宗教・岩波新書・文庫少々・カラーブックス・歴史学術本・古い児童誌&学年誌・絶版漫画・雑誌付録。児童誌は棚下の山も形成しているので、上から下まですべて見てみたいものである。奥の横向きの棚には、俳句や郷土本など。向かいは東北・宮城・仙台・みちのく本で埋まっているようだ。棚脇棚には盆栽・民俗学・柳田國男・宮澤賢治など。真ん中通路に本の山を崩さぬよう、注意しながら身体を滑り込ませる。その時、雷鳴が店内にもゴロゴロゴロ…思わず古い天井をジッと見上げてしまう。この通路は見られる所がわずかで、日本文学・「アララギ」・刀・工芸・和本・文芸誌をどうにか確認。奥の棚脇には美術・江戸が集められている。奥からしか入れない左端通路は、掛軸と和本の聖地となっている。とにかく乱雑であるが、古い本が多く、興味津々で棚も山も眺め続けることが出来る。郷土本が充実し、山に紛れた古い映画雑誌&グラビア誌&児童雑誌が見所か。しかし本には値段が付いておらず、店主に聞いてみなければ判らぬ玉手箱方式。教文社「逸話秘話/田中貢太郎」をドキドキしながら購入する。
スコールのような大粒の雨にいじめられながら駅に戻って、最後の一ふんばりで仙台へ。西側にある『サンモール商店街』に急行し、今年も盛況の「Sendai Book Market」に滑り込む。各箱を覗き込んで本を買いつつ、わめぞ軍団・南陀楼綾繁氏・往来座瀬戸氏・荻原魚雷氏らに挨拶し、仙台で東京の人々と出会う不思議さと嬉しさを噛み締める。新潮社「松本竣介とその友人たち/村上善男」国書刊行会「Fiasko 大失敗/スタニスワフ・レム」中公文庫「私は鍵師/杉山章象」幻冬舎アウトロー文庫「仁義なき戦い/笠原和夫」角川文庫「自動巻時計の一日/田中小実昌」を計3750円で購入…意外に大物をガッツリ買ってしまったなと思いつつ、『文化☆横丁』の「鉄塔酒場」(2012/06/23参照)に飛び込み、ビールをぐいぐい呷る。…あぁ、もはや帰りたくなくなってきた…電車にも乗りたくなくなってきた…。

