2013年07月03日

7/3富山・電鉄石田 典誠堂書店

来週はバタバタ忙しくなりそうなので、昨日受け取ったナイアガラでの売り上げを懐にねじ込み、やや後ろめたく平日に遠出する。ところがまるで罰が当たったかのように、中央線は遅れ、上越新幹線の車内に一時間缶詰にされ、特急はくたかは遅れに遅れ…と、まるで不運のドミノ倒し。車内でドロドロ気分を腐らせながらも、当初の予定を大幅に組み直して、まずは蜃気楼と埋没林の街・魚津に午後二時に降り立つ。峻険な立山連峰は黒雲に隠れ気味で、海辺の白い街では熱気と湿気がタッグを組み、ドロリとした空気を充満させている。まずは電鉄魚津駅近くにある「桑山書店」の調査に向かう。しかしそこにあったのは、雄大な山々を背後にし、悠々とシャッターを下ろした古本屋さんの姿であった…シャッターの縁にはブロックが数個置かれ、がたつかぬよう押さえつけられている…つまり営業していない雰囲気満点である。
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そしてとても不安になる…目指すもう一軒が開いていなかったら、私はただ“古本屋蜃気楼”を見に来ただけに終わってしまう!ドキドキしながら駅へと戻り、富山地方鉄道、略称“地鉄”電車のシートに腰を下ろす。

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レールを激しく軋ませながら、八分で電鉄石田駅に到着する。古く小さな駅舎は木造モルタルだが、表から見ると三角屋根と三連の縦長スリット窓を持ち、車寄せと柱がタイルで化粧された昭和モダンなスタイル!魂がプルッと震えてしまう。ロータリーは灰色で箱庭のように小さく、短く荒涼とした駅前通りが西へと延びる。そこに数歩踏み入ると、左手に割と大きな住宅兼店舗の古本屋さんが出現する。お願いだ、やっていてくれ!左には古いミッフィーと川崎のぼる『てんとう虫の歌』のイラストが入った、黄色い『小学館の学習雑誌』看板が架かり、右の軒下に『古書籍全般売買 新刊書籍 雑誌』とある店名看板が下がる。中は薄暗いが…サッシ扉に手を掛けると、軽くカラリと開いてくれた。しかし誰もいないので「すいませ〜ん」と声を上げてみる。するとすぐに左奥にあるガラス戸が開き、ご婦人がダラッと姿を現し「ハイ、なんでしょう?」。「あの、お店はやってますか?」「やってますよ」「では見させていただきます」「どうぞ」と電気を点けてくれた。ちょっとご婦人が面倒くさがってるような感じなので、素早く手早く見ることにしよう。お店は横長で、右半分は壁棚に囲まれ、フロアにはちょっと背の低い木製平台付き棚と、大きなこれも木製の旧式な平台が置かれている。通路にはダンボール箱がいくつも置かれ、主に文庫が詰められている。左半分には板の間が広がり、そこには横積み本タワーと額装浮世絵がひしめいている。奥壁と左壁の一部に本棚、入口左横には和本の入ったガラスケースと本棚が置かれている。入口右横には100均文庫…素早く見ているつもりなのだが、古めの文庫と80年代ソノラマ&コバルト文庫がスピードを鈍らせて行く…。さらに70〜80年代コミックが続き、そのまま右壁にも。フロア平台には、雑誌・児童書・ビジュアルムックが置かれ、フロア棚には色褪せたノベルスがズラズラと並ぶ。右壁奥には文学全集が集まり、奥壁には児童文学・児童書・ノベルス・実用ノベルス・日本文学&大衆文学・社会・学術・辞書・歴史・文学評論と続く。向かいには学術本を中心にしながらも、所々に日本文学・児童文学・実用などがチラホラ。左半分の板の間ゾーンは、壁棚に富山・立山・黒部・魚津などの箱入郷土本がギッシリ。入口左横には主に美術と歴史が並んでいる。右と左でその性質を大きく異にしたお店である。右は時間が少し停まり気味で、80年代前後の本が多く並ぶ。左は格調高い歴史郷土の古書店と行った趣き。値段も左はしっかり値で、右はもっぱら安値となっている。素早く素早くと、とにかく本を考え込まずに抱え込み、板の間に座るご婦人に精算をお願いする。すると一抱えの本を目にして「あら、ありがとうございます!今計算しますね」と声のトーンが高くなる、そして「お店、いらしたの初めてですよね?どちらから?」東京から来たことを告げ、「開いていてよかったです」と本心を伝えると、「ホント、私も開けてなかったりするんで、よかったわぁ〜。また近くに来たら寄って下さいね」と最終的にはとてもフレンドリーに。苦労して来て、よかった!ポプラ社文庫「名探偵ホームズ」シリーズ六冊、春陽文庫「若さま侍捕物手帳 五月雨ごろし/城昌幸」平凡社カラー新書「ウィスキー讃歌/田村隆一」双葉新書「雀鬼五十番勝負/阿佐田哲也」桃園新書「釘師放浪記/牛次郎」ロマン・ブックス「濡れた心/多岐川恭」ソノラマ文庫「ショック! 夢見る機械/加納一朗」ひばり書房「ぼくらは少年探偵団/村島一郎」を購入。

帰りは、一時間に一本ペースの地鉄が行ってしまったばかりなので、一キロほど東のJR黒部駅までテクテク歩く。途中、水田に囲まれた一本道で、小学生女児三人に、結わいた頭をガン見される。よほど珍しかったらしい…。

そして本日の珍品収穫はこの「ぼくらは少年探偵団」1976年刊で200円。こう言う本は、えてして探偵クイズなどでお茶を濁した本が多いのだが、なんとこの一冊は本格的に“少年探偵団”を結成するための指南書なのである!入団試験、組織編成、適性&詳細な役割分担、捜査&情報収集方法、警察機構の説明などなど…本当に正義として、悪の犯罪に対抗するための本…ここまでしっかりやっている探偵団があったら、とても恐いと思います…。
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表紙はジュニア探偵小説の雰囲気満点!グラビアページも大伴昌司顔負けのケレン味が!


posted by tokusan at 22:21| Comment(2) | TrackBack(0) | 中部 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
古本屋ツアーさま

 この日のブログ文面の最後に紹介されました「少年探偵団」の言葉、これを眼にしただけで一挙に、遠い昔に飛翔して仕舞いました。そうです、あの歌声です。

> ぼ、ぼ、僕らは少年探偵團、----勇気凛凛、
> 瑠璃の色----望みに燃える呼び声は、朝焼け空に
> コダマする、ぼ、ぼ、僕らは少年探偵團!!

 ネット上に展開しております著名な動画共有サイトを渉猟致しますと、おお、これは何と云う事でしょうか、直ちに、あの懐かしの歌声が的中し、画面に浮上して来たのであります。

 そうです、昭和31年に公開された映画の主題歌だったのです。歌詞もメロディーも、確かにあの頃の儘でした。言及されています図書は昭和51年の出版ですが、元歌は確かに「昭和31年」でした。
 いや、古本屋ツアー氏が、探偵団の同志でいらしたとは、全く存じ上げませんでした。不勉強の至り、失礼しました。昨年末、12月の下北沢の酒場と云いますか、ブックカフェでの会合を解約して仕舞ったのが、尽く尽く悔やまれます。
 また、面白い話題を提供して下さい。お元気で。
Posted by Yozakura at 2013年07月07日 20:13
この本が出た時代は、団次郎が怪人二十面相役で、キャロライン洋子の兄が小林少年役の、『少年探偵団』がテレビ放送されていた頃でしょう。歌は『BD7』を連呼するものでした。私はポプラ社の少年探偵派だったので、どうも馴染めなかった覚えがあります。だからどちらかと言うと、その昔の少年探偵団の歌の方が、リアルタイムでは決して接していないのに、妙に懐かしかったりします。さらに言ってしまえば、少年探偵団ではなく、ルンペンの子等で組織された“別働隊”にとても入りたかったのを、今でもちゃんと覚えています…。
Posted by tokusan at 2013年07月08日 18:59
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