2013年07月28日

7/28宮城・石巻 第2回石巻一箱古本市 二日目

早起きして午前九時には仙台。ホームに滑り込んだ瞬間に、仙石線への乗り換え時間が五分しかないことに気付き、サンダルをペタペタと高らかにペタつかせ、最上階の新幹線ホームから地下ホームまでを駆け下りる。仙石線は、仙台と石巻を結ぶ仙台湾沿いを東に走る二両編成のローカル線である。しかし途中、東日本大震災によって甚大な被害を受けた区間は未だ復旧しておらず、代行バスでそれを補っている。と言うわけで、路線は地下→住宅街→水田→山中と移動しつつ、右手に穏やかな海の気配。松島海岸駅で代行バスに乗り換え、レールとつかず離れずな関係で東へ進んで行く。奇岩と鏡面のような海と地層が美しい松島地区・ホタテ貝の山・宅地造成が進む高台・破壊されたままの駅や家や橋・放置された農地・稲穂茂れる水田・新築の家々・夏草に覆われた更地群…そんな景色が車窓にクルクル流れて四十分。矢本駅で再び仙石線に乗り込んで、十五分ほどで石巻着。東端の改札に向かうと、おぉ!様々な石ノ森章太郎…いや、私はあえて慣れ親しんだ“石森章太郎”と呼ばさせていただく!先生、お許しを!…そう、石巻に『石ノ森萬画館』を建立した名漫画家のキャラが、次々と目に飛び込んで来たのである!009・ライダー・ロボコン・エッちゃん・ゴレンジャー・ジュン…良く見ると、駅舎の屋根も石森キャラのオンパレード。新潟の水島新司、境港の水木しげるに負けじと、街は石森一色なのである!感動と、その親和性の高さに多少の気恥ずかしさを覚えながら、ロータリーから『駅前大通り』を南へ。通りにはFRP製のサイボーグ戦士像が続き、萬画館への道しるべとなっている。前方にこんもりとした『羽黒山』を見上げながら、西に延びて行く『立町大通り商店街』の歩道屋根の下に入り込んで行く。商店街の案内図を見ると、ほとんどのお店の名が消されてしまったシャッター商店街。人通りはあるのだが、石森キャラ以外は時が停まり、取り残されたような印象を抱いてしまう。
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右手裏町に、それでも飲屋街が展開するの見ながら、ほどなくして『立町復興ふれあい商店街』に到着する。縦長の駐車場的スペースにプレハブのお店が四列連なり、仮の商店街を形成しているのだ。入口に立つスタッフさんに「古本市やってま〜す」と声を掛けられ、スルスルと中へ。すると入って直ぐのテントに下に、早速四箱(箱の範疇はみな越えている…)が長テーブルの上に展開!
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すでに顔見知りの「亡羊堂」にて角川文庫「横溝正史読本/小林信彦」を、「RAINBOWBOOKS」にて国枝史郎伝奇文庫「十二神貝十郎手柄話」を購入…何と言うスタートなのか。奥にひっそりとあった、「いらっしゃいませ」が可愛い少年と古い駄玩具を売る老人の二箱を覗き込んでから、再び通りへ。途中50〜100均の長テーブル二台分古本バザーを眺めてから、東にある『アイトピア通り商店街』に進む。南北に走る道沿いに、人だかりのある店頭会場が二ヶ所見えている。全部合わせて十箱ほどで、「くものす洞」にて中央公論新社「東北おやつ紀行/市川慎子」を、「駄々猫舎」で創元推理文庫「墓標なき墓/高城高」を購入。それにしても仙台から参戦の「鉄塔文庫」(2012/06/22参照)は、一箱古本市にあるまじき硬さを誇っていた…。あっけなく見終わってしまったが、スタッフ&店主さんたちが何ともフレンドリーで、大変和やかな古本市である。

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最後に同じ通りにある、昨日オープンしたばかりの「石巻 まちの本棚」を見に行く。元書店を柔らかな木材で内装したコミュニティスペースは、板の間と右に壁棚を擁し、テーマごとやゲストがセレクトした本をびっしりと並べている。一瞬不埒にもサンダルのまま上がろうとしてしまい、ぐっと踏みとどまって事無きを得る。本は『一箱本送り隊』の尽力により集まったもので、本によっては送り主やコメントの書かれた紙片が挟み込まれている。…とここまで来たら、このイベント影の主催者・南陀楼綾繁氏に会えると思っていたのだが、残念ながら会えずじまい。それにしてもこの地に来て実感したのだが、南陀楼氏の石巻に関わる一連の活動には、ただただ頭を垂れるしか無い。本と言うツールを媒介として、たとえ人が少なくても、街が衰退して行く一方でも、その地を耕し、種を蒔き、水をやり続けている。それはムダなようでいて決してムダには終わらない、とても地道なチャレンジなのである。新藤兼人の映画『裸の島』のような、水の無い島に本土から水を運び、萎びた作物に水を愚直にやり続ける…そんな地道な作業を連想してしまうのだ。そしてその作業は、まず「まちの本棚」として結実した。後で私が出没したことを聞き付け、電話を掛けて来てくれた南陀楼氏によると、いずれはここでも古本を販売するとのことである。その暁には、必ず石巻を再訪し、今回訪れることの叶わなかった『石ノ森萬画館』と共に巡るつもりである。それまでさらば、石巻&石森先生!

またもや仙石線ルートで仙台に戻り、一目散に「火星の庭」(2008/05/24参照)へ。今日こそは前野さんに、一ノ関のナゾの古本屋について聞き込まねばならぬのだ!慌ててカレーの匂い漂うお店に飛び込むと、あぁっ!今日は優しいダンナさんしかいないじゃないか!肩を落としながらも、取りあえずは本棚を眺めて行く…ぬぬっ、奥の本棚で探していた講談社「のらくろ捕物帳/田河水泡」を発見。高いかな?…恐る恐る値段を見ると、この本にしてはリーズナブルな3000円!ひゃっほうと購入を決意して鷲掴みにする。河出文庫「パノラマニア十蘭/久生十蘭」300円と共に購入…あぁ、仙台には古本を買いに来たわけじゃなかったのに…。
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posted by tokusan at 21:06| Comment(4) | TrackBack(0) | 東北 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして!毎日ブログを楽しみに読んでます。一関の謎の古本屋ってダストボックスでは無いでしょうか?一関駅から厳美渓行きのバスに乗り高速の高架下を過ぎて5分位行った辺りのファミリーマートの横にプレハブ作りのカオスな店が有ります。探せばレアな本も見つかるかも知れませんし何より話し好きの店主との話しが醍醐味です 。是非とも一関に訪れた際には寄ってみては?
Posted by ゴン at 2013年07月29日 19:29
コメントありがとうございます。実はそのナゾのお店は「ダストボックス」さんじゃないんですよ。でも、ありがとうございます!おかげで「ダストボックス」さんにいずれ行く決心がつきました。ちゃんとお店やってるんですね。一ノ関に行くのが、また楽しみになりました!
Posted by tokusan at 2013年07月29日 20:04
名作「裸の島」に喩えてもらえるとは光栄至極です。古本販売はいずれ実現させますので、そうしたらまたツアーに来てください。あと、火星の庭の久美子さんはあの日、石巻にいたんですよ。
Posted by 南陀楼綾繁 at 2013年07月29日 20:58
南陀楼綾繁様。石巻、おつかれさまでした。お会い出来ずに残念でしたが、石巻を短時間とは言え楽しみましたので、また行くつもりです。段々南陀楼さんが殿山泰司に見えて来ました…。そして、「火星の庭」前野さん、この日同じ石巻にいたんですね。うハァ〜!日頃の行いが悪いせいだと思うので、精進して出直します!
Posted by tokusan at 2013年07月31日 23:27
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