右手裏町に、それでも飲屋街が展開するの見ながら、ほどなくして『立町復興ふれあい商店街』に到着する。縦長の駐車場的スペースにプレハブのお店が四列連なり、仮の商店街を形成しているのだ。入口に立つスタッフさんに「古本市やってま〜す」と声を掛けられ、スルスルと中へ。すると入って直ぐのテントに下に、早速四箱(箱の範疇はみな越えている…)が長テーブルの上に展開!
すでに顔見知りの「亡羊堂」にて角川文庫「横溝正史読本/小林信彦」を、「RAINBOWBOOKS」にて国枝史郎伝奇文庫「十二神貝十郎手柄話」を購入…何と言うスタートなのか。奥にひっそりとあった、「いらっしゃいませ」が可愛い少年と古い駄玩具を売る老人の二箱を覗き込んでから、再び通りへ。途中50〜100均の長テーブル二台分古本バザーを眺めてから、東にある『アイトピア通り商店街』に進む。南北に走る道沿いに、人だかりのある店頭会場が二ヶ所見えている。全部合わせて十箱ほどで、「くものす洞」にて中央公論新社「東北おやつ紀行/市川慎子」を、「駄々猫舎」で創元推理文庫「墓標なき墓/高城高」を購入。それにしても仙台から参戦の「鉄塔文庫」(2012/06/22参照)は、一箱古本市にあるまじき硬さを誇っていた…。あっけなく見終わってしまったが、スタッフ&店主さんたちが何ともフレンドリーで、大変和やかな古本市である。
最後に同じ通りにある、昨日オープンしたばかりの「石巻 まちの本棚」を見に行く。元書店を柔らかな木材で内装したコミュニティスペースは、板の間と右に壁棚を擁し、テーマごとやゲストがセレクトした本をびっしりと並べている。一瞬不埒にもサンダルのまま上がろうとしてしまい、ぐっと踏みとどまって事無きを得る。本は『一箱本送り隊』の尽力により集まったもので、本によっては送り主やコメントの書かれた紙片が挟み込まれている。…とここまで来たら、このイベント影の主催者・南陀楼綾繁氏に会えると思っていたのだが、残念ながら会えずじまい。それにしてもこの地に来て実感したのだが、南陀楼氏の石巻に関わる一連の活動には、ただただ頭を垂れるしか無い。本と言うツールを媒介として、たとえ人が少なくても、街が衰退して行く一方でも、その地を耕し、種を蒔き、水をやり続けている。それはムダなようでいて決してムダには終わらない、とても地道なチャレンジなのである。新藤兼人の映画『裸の島』のような、水の無い島に本土から水を運び、萎びた作物に水を愚直にやり続ける…そんな地道な作業を連想してしまうのだ。そしてその作業は、まず「まちの本棚」として結実した。後で私が出没したことを聞き付け、電話を掛けて来てくれた南陀楼氏によると、いずれはここでも古本を販売するとのことである。その暁には、必ず石巻を再訪し、今回訪れることの叶わなかった『石ノ森萬画館』と共に巡るつもりである。それまでさらば、石巻&石森先生!
またもや仙石線ルートで仙台に戻り、一目散に「火星の庭」(2008/05/24参照)へ。今日こそは前野さんに、一ノ関のナゾの古本屋について聞き込まねばならぬのだ!慌ててカレーの匂い漂うお店に飛び込むと、あぁっ!今日は優しいダンナさんしかいないじゃないか!肩を落としながらも、取りあえずは本棚を眺めて行く…ぬぬっ、奥の本棚で探していた講談社「のらくろ捕物帳/田河水泡」を発見。高いかな?…恐る恐る値段を見ると、この本にしてはリーズナブルな3000円!ひゃっほうと購入を決意して鷲掴みにする。河出文庫「パノラマニア十蘭/久生十蘭」300円と共に購入…あぁ、仙台には古本を買いに来たわけじゃなかったのに…。

