今日は慌ただしい戻り日。しかしとことん北海道の古本屋さんにがっつくために、少ない時間で札幌から学園都市線。街の上を走る高架はやがて地上に下り、およそ十六分で目的駅に着いてしまう。誰もいない改札を通って西側に出ると、平坦な広い直線道で出来た、北国の長閑な住宅街であった。すぐ前の道を、北西にズンズカ歩き続ける。500m弱で信号機のある車通りの多い交差点。ここからは通りを北へ。すると左手に、様々な物品を満載するスチール棚に囲まれた、白い二階建てのリサイクル店が見えて来た…えっ、ここなのか?真ん中の入口横では『営業中』の電光掲示板が輝き、あっ!その下に『本』と大きく書かれた立看板がある!それに二階窓にはちょっと乱れてはいるが、確かに古本らしき影が見えている…やはりここで合っているようだ。躊躇している暇も惜しいので、すぐに店内に突撃する。物品が押し寄せ取り囲む入口から店内に進むと、人の気配は無く、目の前に薄暗くごちゃついた通路が何本も展開している。確かに本の山が所々に築かれてはいるが、どうも売り物的気配が感じられない…。さらに通路をうろついていると、背後に何かの気配を感じ取る。振り向くと、そこには年老いたシーズー犬の姿があり、こちらをつぶらな瞳で見上げている。ここの子か?可愛いな、と頭を撫でてさらに通路をウロウロ…シーズーもその後をヨタヨタと付いて来る。古本探しの道行きに、白灰柄の可愛い相棒が出来てしまった…。しかし古本はやはり、所々に単発的に無秩序に積まれているだけなのである。これは二階がメインの古本売場と言うことなのか?そう考え、入口左横から上に折り返して延びる、ここも物品が迫り来る階段を上がってみることにする。シーズーは階段下でピタッと止まり、しばしのお別れ…さらば、相棒よ!二階にたどり着くと、かなり荒れて倉庫化しているようだが、広いフロアに五本の長い古本通路が並んでいた。やはりここだったか!床には、着物・掃除用具・カバン類・ダンボール・額・人体模型などが散乱し、一応通れはするがイカした状況になっている。戦争・歴史・北海道関連・文学評論・エロ・犯罪・映画・食・経済・農業・近代史・詩歌句・中国・ロシアなどが、どうにか掬い取れたジャンルで、カオス化した棚も多い。しかも通路の奥はほぼ暗闇となっており(進入するとチャイムが鳴り響く)、その全貌を掴むのは非常に難事である。棚には古い本も多いので、苦労して見て行くのも中々に楽しい。値段はしっかりな傾向。通路をくまなく歩いて、どうにか一冊選んで階下へ戻る。おっ、シーズーが待っていてくれた。それにご婦人が出現している!「すみません、これをいただけますか?」「ハイいらっしゃい。…あら?これ何処にあった本かしら?」「あ、二階の本棚から…」「あら!あなた二階にいらしたの?今、二階はやっていないのよ」「ええぇっ!」「ネット販売用なのよ。あぁ、いつもは階段の入口に紐を掛けとくんだけど、今日は忘れちゃってたのね」「わわっ!それは申し訳ありませんでした」「でも、全然気付かなかったわ。どのくらいいらしたの?」「に、二十分くらいでしょうか…すみません!」「暗くて見辛かったでしょう。それに片付けてないし」「いえ、本当にすみませんでした」と、とにかく驚愕の事実に平謝りを繰り返す。しかしご婦人は、「いいのよ」と笑って許してくれ、その懐の深さに大いに感謝しまくる。それにしても、不法侵入ではあるが、期せずして事務書店ツアーをしてしまったのか…。本も快く売っていただき、「ネットでたくさん売ってるからね」の笑顔に送り出される。あまりにもおっちょこちょいな失態を、優しく包んで許してくれた、大きな心が嬉しかった。講談社「探偵小説五十年/横溝正史」を購入。
2013年09月01日
9/1北海道・百合が原 ARS書店
今日は慌ただしい戻り日。しかしとことん北海道の古本屋さんにがっつくために、少ない時間で札幌から学園都市線。街の上を走る高架はやがて地上に下り、およそ十六分で目的駅に着いてしまう。誰もいない改札を通って西側に出ると、平坦な広い直線道で出来た、北国の長閑な住宅街であった。すぐ前の道を、北西にズンズカ歩き続ける。500m弱で信号機のある車通りの多い交差点。ここからは通りを北へ。すると左手に、様々な物品を満載するスチール棚に囲まれた、白い二階建てのリサイクル店が見えて来た…えっ、ここなのか?真ん中の入口横では『営業中』の電光掲示板が輝き、あっ!その下に『本』と大きく書かれた立看板がある!それに二階窓にはちょっと乱れてはいるが、確かに古本らしき影が見えている…やはりここで合っているようだ。躊躇している暇も惜しいので、すぐに店内に突撃する。物品が押し寄せ取り囲む入口から店内に進むと、人の気配は無く、目の前に薄暗くごちゃついた通路が何本も展開している。確かに本の山が所々に築かれてはいるが、どうも売り物的気配が感じられない…。さらに通路をうろついていると、背後に何かの気配を感じ取る。振り向くと、そこには年老いたシーズー犬の姿があり、こちらをつぶらな瞳で見上げている。ここの子か?可愛いな、と頭を撫でてさらに通路をウロウロ…シーズーもその後をヨタヨタと付いて来る。古本探しの道行きに、白灰柄の可愛い相棒が出来てしまった…。しかし古本はやはり、所々に単発的に無秩序に積まれているだけなのである。これは二階がメインの古本売場と言うことなのか?そう考え、入口左横から上に折り返して延びる、ここも物品が迫り来る階段を上がってみることにする。シーズーは階段下でピタッと止まり、しばしのお別れ…さらば、相棒よ!二階にたどり着くと、かなり荒れて倉庫化しているようだが、広いフロアに五本の長い古本通路が並んでいた。やはりここだったか!床には、着物・掃除用具・カバン類・ダンボール・額・人体模型などが散乱し、一応通れはするがイカした状況になっている。戦争・歴史・北海道関連・文学評論・エロ・犯罪・映画・食・経済・農業・近代史・詩歌句・中国・ロシアなどが、どうにか掬い取れたジャンルで、カオス化した棚も多い。しかも通路の奥はほぼ暗闇となっており(進入するとチャイムが鳴り響く)、その全貌を掴むのは非常に難事である。棚には古い本も多いので、苦労して見て行くのも中々に楽しい。値段はしっかりな傾向。通路をくまなく歩いて、どうにか一冊選んで階下へ戻る。おっ、シーズーが待っていてくれた。それにご婦人が出現している!「すみません、これをいただけますか?」「ハイいらっしゃい。…あら?これ何処にあった本かしら?」「あ、二階の本棚から…」「あら!あなた二階にいらしたの?今、二階はやっていないのよ」「ええぇっ!」「ネット販売用なのよ。あぁ、いつもは階段の入口に紐を掛けとくんだけど、今日は忘れちゃってたのね」「わわっ!それは申し訳ありませんでした」「でも、全然気付かなかったわ。どのくらいいらしたの?」「に、二十分くらいでしょうか…すみません!」「暗くて見辛かったでしょう。それに片付けてないし」「いえ、本当にすみませんでした」と、とにかく驚愕の事実に平謝りを繰り返す。しかしご婦人は、「いいのよ」と笑って許してくれ、その懐の深さに大いに感謝しまくる。それにしても、不法侵入ではあるが、期せずして事務書店ツアーをしてしまったのか…。本も快く売っていただき、「ネットでたくさん売ってるからね」の笑顔に送り出される。あまりにもおっちょこちょいな失態を、優しく包んで許してくれた、大きな心が嬉しかった。講談社「探偵小説五十年/横溝正史」を購入。
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首都圏は猛暑猛暑。土曜日曜と渋谷古書センター、高円寺神保町古書会館、浦和の古本市、金町の書肆久遠などを廻ったものの…。金町でいつもあった古本屋が一軒消えているかのような…。