2013年09月27日

9/27静岡・大場 ブックハウス

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秋晴れの青空に誘惑されて、午前のうちに東海道線で三島駅。隣接する伊豆箱根鉄道・駿豆線のボックスシートに身を沈め、伊豆の住宅街を縦に斜めに走って行く。水田と山並みが見え始めたと思ったら、もう目的駅に到着してしまった。修善寺はまだ遠い…。東口から出て南に歩き、踏切から延び続ける車通りの多い『県道136号』を、黙々と東南に歩き続ける。人通りは少ないが、寂しいわけではなく、長閑な田舎町を楽しみながらテクテク。いくつもの水路や川を越え、建設中の『東駿河湾環状道路』下を潜ったら、上り坂が始まる。ほどなくして丘の上に至ると、『岐れ道』と言う素朴な良い名の交差点があり、五本の道がクロスしている。真新しく大きな町役場に見下ろされながら、県道をまだまだ東南に歩み続ける。やがて坂道を下り、子供たちが奇声と砂埃を上げる小学校脇を過ぎたら、再びの上り坂。どうにか頂上の切り通しをを抜けて坂道を下り始める。…この辺りまでで二キロ強…ダラダラと流れ落ちながらカーブを大きく曲がり込むと、道の両側に商店が短く連なっており、突然鄙びた商店街が現れた印象。しかしお店の半分はシャッターを下ろしており、多少ゴーストタウンのようでもある。しかし!右側中ほどにあるお店の立看板に、強烈に視線が吸引されてしまうのだ!『中古本 格安』とあり、パトランプまで付いている。渋いお店だ。両脇がスナックなのがまたいいじゃないか。店頭には二台の廉価コミックワゴンと、カバー無しコミックワゴンが一台、それに錆び付いたラックがひとつ置かれている。サッシガラスの『年中安売』『中古本専門店』が、お店の味わいを深くしている。店内は木製の壁棚と真ん中に背中合わせの棚、それぞれ腰の辺りから短い平台が飛び出し、下半分は戸棚となっている。昭和四十年代の什器を、丁寧に使い続けているようだ。右奥の小さな帳場では、小さく丸まり片膝を立てた雑誌を読む作業服の男性が「いらーっしゃい」と妙なイントネーションで迎え入れてくれた。右側通路はすべてコミックで、絶版も少々。90年代前後のものが多いようだ。左側通路は、壁棚に時代劇文庫がびっしりと並び、棚下部と平台にミステリ&アクション&バイオレンス&官能文庫。こちらも80〜90年代が主である。向かいはアダルト・実用・コミックとなっている。そしてこのお店の面白いところは、棚下部の戸棚にあった!戸はキッチリ閉められているのだが、何人かの作家名と共に『ご自由に開けてごらん下さい』と表記されているのだ!一応店主に「開けてみてもいいですか?」と聞いてみると「どうぞどうぞ」と表情を動かさずに返答。コミック棚の下は絶版漫画が少々と揃いのブロックが収まっており、文庫棚の下には石川達三・山本周五郎・山手樹一郎・吉川英治・柴田錬三郎・松本清張・山田風太郎・早乙女貢・有吉佐和子・瀬戸内晴美らの、古めの単行本とノベルスが並んでいた。何かありそうだが…無かった…。昭和四十〜六十年代の大衆に狙いを絞ったかのようなお店である。値段はちょい安。こんな辺鄙な場所で、居住まい正しくきちっと営業されているのには、大変感服いたしました!文藝春秋社「わたしの吉川英治 その書簡と追憶」ちくま文庫「エロ街道を行く/松沢呉一」(このお店唯一のちくま文庫で、官能コーナーにあり)を購入。古本修羅の心を慰める獲物は無かったが、お店に来られた達成感を胸に、来た道を逆戻りする。

posted by tokusan at 18:25| Comment(2) | TrackBack(0) | 中部 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
過日私も静岡に。水曜文庫で店内のチラシを見ると、10月19-20に「水曜文庫」「あべの古書店」「山羊文庫」「壁と卵」など静岡などの古本屋4軒による古本市が旧家鈴木邸・登録有形文化財)で開催されるとのこと。また、静岡市内に、この古本市にも出展する「壁と卵」という古本屋が、この6月に誕生していたとのこと。写真関連の本などを扱っているとのことです。
Posted by 古本虫がさまよう at 2013年09月28日 21:15
おぉ、タイミングが合えば、ぜひとも行ってみたいイベント!「壁と卵」さんはまだツアー出来ていませんが、専門店的なので要注目ですよね。東静岡にも棚があるらしいので、いつか合わせて巡ろうと思っています。「山羊文庫」さんも、早く沼津にお店を開いてくれないかなと、常々願っている次第。静岡の古本屋さん事情が、少しずつ動き始めている気配…。
Posted by tokusan at 2013年09月30日 07:46
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