古本屋さんについての文章をたっぷりと読みながら、古本屋さんへ向かっている…今や私の餡子は古本屋さんで一杯になってしまっている…。
豊橋で新幹線にサヨナラし、名鉄名古屋本線に乗り換える。矢作川を越え、同じ名の矢作駅で降り、平坦な住宅地の中を、古本屋さんを求めてヒタヒタ進む。しかしお店は残念ながら閉まっていた。バタバタと慌てて駅まで戻り、二駅だけ西へ…。地下の改札を通って南口に出ると、小さめのロータリー。そこから抜け出すように西に進むと交差点が現れ、巨大な『イトーヨーカドー』と金属工場が、巨大な姿を向かい合わせている。その間の殺風景な直線道を、南にヒタヒタ歩いて行く。街の1ブロックを占領するように、道の両側に大きな施設が連続し、600mほどでようやく次の交差点にたどり着く。そこから西に向かって行くと、次の交差点手前の街灯に、小さな「閑古堂」の看板を発見する。お店は何処だ?とキョロキョロすると、右手に緑屋根のロッジモドキな建物があり、どうやらこれが古本屋さんらしいのだ。歩道際に『古本 gallery』とある看板が立ち、ロッジ店の二階軒下にも大きく『Kankodo』の文字。大きな一階窓からは、本棚の姿が見えている。やっているのだろうか?そう思いながら敷地内に入り込み、『手作り陶器 古本 販売中』の立看板や、『2Fフリースペース』の壁看板を目にして、奥まった入口前へ。室内はコンクリと木で出来た広く洒落た空間で、正面&右奥が、陶器を飾ったギャラリースペースのようだ。奥から小柄なご婦人が現れたので、「こんにちは」「いらっしゃいませ」と挨拶を交わす。入口左横には安売り文庫台、ちょっと距離のある右横には。上段に三重に文庫を、下段にカルチャー&美術雑誌を収める棚が置かれている。一通り眺めてから、左側の縦長なメインフロアへ歩を進める。奥に文庫棚を下にした帳場があり、左壁一面は壁棚となっている。右壁一面は大きなボックス棚で、窓際には背の低い棚が連続する。フロアに本棚などは一切無く、『最後の晩餐』のような、長い木のテーブルがたくさんの椅子と共に置かれている。小さな集まりや講座などを行っているようである。右壁はすべて大判本で、ビジュアル本・美術作品集・美術写真集・美術図録が大量に並んでいる。足下には古い本や辞書、それに未整理本がチラホラと。窓下棚には、児童文学・絵本・古い文学全集が並び、左の大きな壁棚では映画・音楽・文学・社会・骨董・陶器・芸術・串田孫一・山岳・自然・海外文学・詩歌句・教育・文学評論・思想・本・読書・日本文学が続いて行く。ここは古い本も多く、所々に見所あり。帳場横には未整理本箱が積み上がり、その前に四面のセレクト文庫&新書ラックがひとつ置かれている。帳場棚には、文学を中心に中公文庫・岩波文庫・古い角川文庫が多く並んでいる。全般的に硬めで真面目だが、各ジャンルにはしっかりと深みを持たせたお店である。じっくり店内を二周はして、棚と己をしっかり向き合わせてみたくなる。値段は安め〜普通。村山書店「文壇の崩壊/十返肇」ダヴィッド社「謄写ハンドブック/若山八士」同光社「狐と狸 北海道の巻/熊王徳平」新潮文庫「魔像/林不忘」光文社文庫「父犀星の贈りもの/室生朝子」を購入するが、告げられたのは何だか安めなお値段。まとめ買いしたので、サービスしてくれたのだろうか?だとしたら、いや、だとしなくても感謝である。駅に戻るともう気温が急激に下がった夕暮れ。街の側面を黄金色に照らし上げる、地表ギリギリ平行線の夕焼けが、走る名鉄の車内を、束の間貫いて行く。

