お正月三日目にして弛緩の泥沼から浮かび上がり、青春18きっぷを手にして午前五時発の電車に飛び乗り、東京→沼津→浜松→豊橋→刈谷と東海道線を細かく乗り継ぎ、正午にぐったりして名古屋駅一歩手前の目的駅に運び込まれる。湾岸に広がる地方都市の中の、割と殺風景な駅で、駅前もこじんまりとして引き続くように殺風景…。しかし改札からは大量の人が流れ出し、街路にも止めどなく人が行き交っている。これは『熱田神宮』を目指す、初詣客の群集なのである。誰も彼もお正月の華やかさを身に纏い、ウキウキとしている。こちらもその人波に何食わぬ顔で紛れ込み、ウキウキと古本屋さんを目指して歩く。駅前から西に進めば、すぐに大きな『熱田駅前交差点』であるが、ここで北側右手の高架道路前に目を凝らすと、今は使用されていない感じの広いバスケットコートの向こうに、『古本買います』『古書買います』の看板を掲げた胴の長〜い平屋店舗に気付くだろう。しかも店頭にはしっかりと本が出ているではないか!頼もしい正月営業!この頼もしさを求めて、遥々東海の地にやって来たのである!歩道の流れから離脱して、左右の50均文庫棚・100均コミック棚・二本の100均単行本壁棚の前に滞留する。至近である背後を通る人々が「ほら、古い本」「古本屋だー」などとささやくのを耳にしながら、壁棚の面白さに思わず引き込まれて二冊。左側の出入口から店内に進むと、入口側中央に括られた未整理本に取り囲まれた広い帳場があり、洒落たメガネを掛けた壮年紳士が、絹のような声で「いらっしゃいませ」。店舗は奥深く、少しだけ気持ち良く雑然としている。帳場前から奥に延びる五本の通路。それぞれの足下は小さな平台になっており、雑誌・レコード、それに地図類・チラシ類などの紙物が箱に丁寧に詰められて並んでいる。左端通路は、壁際に充実の鉄道・乗物・戦争・美術・美術図録と続いて行く。向かいは自然・実用・名古屋・日本近代文学・日本文学・詩集・書・建築・芸術・風俗・文明。奥壁棚にはグラビア雑誌とアイドル写真集が大集合している。二番目の通路には、左に名古屋・東海・政治・経済・宗教・オカルト、右に辞書・歴史・趣味・スポーツ・武道・カメラ&写真が並ぶ。中央通路がアダルト・官能文庫・美少女コミックをメインとしており、左側手前に全集類、奥に歌集と山岳を確認する。四番目の通路は、左に時代劇文庫と一般文庫、右に新書・岩波文庫・講談社学術&文芸文庫・中公文庫・ちくま文庫・絶版文庫・探偵小説文庫・海外SF&ミステリ文庫・映画が収まる。右端通路は主にコミックだが、右壁手前に絶版漫画・付録漫画・児童書、中間に200均単行本棚三本、そして奥に漫画&アニメ&特撮の評論・ムック・資料・雑誌が固められている。帳場横には縦長のガラスケースが置かれ、大正時代の本や春陽堂日本小説文庫が飾られている。また店内の所々である本棚の隙間や棚脇には、200均単行本コーナーがチェックポイントのように設けられており、古い本が鈍い光を放っている。普通の棚にも古い本が意外に紛れ込んでおり、棚造りは少しカオスで幅広く奥深い。つまりは、油断のならぬ探し甲斐のあるお店と言うことである。本棚だけでも手一杯なのに、平台の紙物に手を出したら、時間が幾らあっても足りないこととなるだろう…。値段はちょい安〜普通。探し甲斐があると言うことは、一生懸命探してしまい、結果多くの獲物を手にすることとなる。計八冊を「すいません」と帳場に差し出すと、オヤジさんは相好を崩し「あぁ、これはすみません。ありがとうございます」とまずは立ち上がってお辞儀。そして一冊ずつ手に取り、値段をレジに打ち込みながら「ありがとうございます」「恐れ入ります」を丁寧に優しく連発して行く。本を紙袋に入れながら、「こんな袋ですみません」「古書市の案内を入れておきます」「またいらして下さい」と、もはや天界の微笑み。精算中にすっかり心を蕩かされて、重い紙袋を手にして表へ。あぁ、本当に頼もしいお店だったと、一時間の逢瀬を噛み締めつつ、またも七時間の復路に心を嫌々ながら引き締めて、立ち向かう覚悟をどうにか固めて、すぐさま駅へ!虫プロ「まんが専科 初級編/手塚治虫」河出書房「美女とネズミと神々の島/秋吉茂」生活百科刊行會「日本探偵小説代表作集2/佐藤春夫」日本小説文庫「諸國捕物帳/額田六福」改造文庫「横瀬夜雨詩集」徳間文庫「船図鑑/柳原良平」扶桑社文庫「二十世紀鉄仮面/小栗虫太郎」歴史春秋社「ものがたり円谷英二/鈴木和幸」を購入。
2014年01月03日
1/3愛知・熱田 伏見屋書店
お正月三日目にして弛緩の泥沼から浮かび上がり、青春18きっぷを手にして午前五時発の電車に飛び乗り、東京→沼津→浜松→豊橋→刈谷と東海道線を細かく乗り継ぎ、正午にぐったりして名古屋駅一歩手前の目的駅に運び込まれる。湾岸に広がる地方都市の中の、割と殺風景な駅で、駅前もこじんまりとして引き続くように殺風景…。しかし改札からは大量の人が流れ出し、街路にも止めどなく人が行き交っている。これは『熱田神宮』を目指す、初詣客の群集なのである。誰も彼もお正月の華やかさを身に纏い、ウキウキとしている。こちらもその人波に何食わぬ顔で紛れ込み、ウキウキと古本屋さんを目指して歩く。駅前から西に進めば、すぐに大きな『熱田駅前交差点』であるが、ここで北側右手の高架道路前に目を凝らすと、今は使用されていない感じの広いバスケットコートの向こうに、『古本買います』『古書買います』の看板を掲げた胴の長〜い平屋店舗に気付くだろう。しかも店頭にはしっかりと本が出ているではないか!頼もしい正月営業!この頼もしさを求めて、遥々東海の地にやって来たのである!歩道の流れから離脱して、左右の50均文庫棚・100均コミック棚・二本の100均単行本壁棚の前に滞留する。至近である背後を通る人々が「ほら、古い本」「古本屋だー」などとささやくのを耳にしながら、壁棚の面白さに思わず引き込まれて二冊。左側の出入口から店内に進むと、入口側中央に括られた未整理本に取り囲まれた広い帳場があり、洒落たメガネを掛けた壮年紳士が、絹のような声で「いらっしゃいませ」。店舗は奥深く、少しだけ気持ち良く雑然としている。帳場前から奥に延びる五本の通路。それぞれの足下は小さな平台になっており、雑誌・レコード、それに地図類・チラシ類などの紙物が箱に丁寧に詰められて並んでいる。左端通路は、壁際に充実の鉄道・乗物・戦争・美術・美術図録と続いて行く。向かいは自然・実用・名古屋・日本近代文学・日本文学・詩集・書・建築・芸術・風俗・文明。奥壁棚にはグラビア雑誌とアイドル写真集が大集合している。二番目の通路には、左に名古屋・東海・政治・経済・宗教・オカルト、右に辞書・歴史・趣味・スポーツ・武道・カメラ&写真が並ぶ。中央通路がアダルト・官能文庫・美少女コミックをメインとしており、左側手前に全集類、奥に歌集と山岳を確認する。四番目の通路は、左に時代劇文庫と一般文庫、右に新書・岩波文庫・講談社学術&文芸文庫・中公文庫・ちくま文庫・絶版文庫・探偵小説文庫・海外SF&ミステリ文庫・映画が収まる。右端通路は主にコミックだが、右壁手前に絶版漫画・付録漫画・児童書、中間に200均単行本棚三本、そして奥に漫画&アニメ&特撮の評論・ムック・資料・雑誌が固められている。帳場横には縦長のガラスケースが置かれ、大正時代の本や春陽堂日本小説文庫が飾られている。また店内の所々である本棚の隙間や棚脇には、200均単行本コーナーがチェックポイントのように設けられており、古い本が鈍い光を放っている。普通の棚にも古い本が意外に紛れ込んでおり、棚造りは少しカオスで幅広く奥深い。つまりは、油断のならぬ探し甲斐のあるお店と言うことである。本棚だけでも手一杯なのに、平台の紙物に手を出したら、時間が幾らあっても足りないこととなるだろう…。値段はちょい安〜普通。探し甲斐があると言うことは、一生懸命探してしまい、結果多くの獲物を手にすることとなる。計八冊を「すいません」と帳場に差し出すと、オヤジさんは相好を崩し「あぁ、これはすみません。ありがとうございます」とまずは立ち上がってお辞儀。そして一冊ずつ手に取り、値段をレジに打ち込みながら「ありがとうございます」「恐れ入ります」を丁寧に優しく連発して行く。本を紙袋に入れながら、「こんな袋ですみません」「古書市の案内を入れておきます」「またいらして下さい」と、もはや天界の微笑み。精算中にすっかり心を蕩かされて、重い紙袋を手にして表へ。あぁ、本当に頼もしいお店だったと、一時間の逢瀬を噛み締めつつ、またも七時間の復路に心を嫌々ながら引き締めて、立ち向かう覚悟をどうにか固めて、すぐさま駅へ!虫プロ「まんが専科 初級編/手塚治虫」河出書房「美女とネズミと神々の島/秋吉茂」生活百科刊行會「日本探偵小説代表作集2/佐藤春夫」日本小説文庫「諸國捕物帳/額田六福」改造文庫「横瀬夜雨詩集」徳間文庫「船図鑑/柳原良平」扶桑社文庫「二十世紀鉄仮面/小栗虫太郎」歴史春秋社「ものがたり円谷英二/鈴木和幸」を購入。
この記事へのコメント
この日は新幹線よりも早く名古屋に着いたと思いますよ。ところで、この熱田駅は完全に忘れ去られた駅という感じ、かつては荷物を扱っていただけにホームが広く、それが寂しさを増幅させています。古本屋ツアーついでにトマソン駅ツアーも面白いのではないかと…。
Posted by 下新庄3丁目 at 2014年01月04日 10:04
この街は、駅よりも駅前の商店街がとても気になりました。お正月だからシャッターを下ろしているのか、それともシャッター商店街と化しているのか、古いので判然とせず…。中でも、いい感じの書店が、一番気になってしまいました。
Posted by tokusan at 2014年01月04日 16:03
いやはや名古屋往復ですか、正月そうそう。有楽町火災を思えば、各停のほうが新幹線より早く行き来できたのかも。本日(4日)は、こちらはいつものように神保町高円寺古書会館を周り、久しぶりに西荻窪へ。盛林堂のコーナーで「人間廃業」等を購入しました。「BOOK5 8号」も購入。新刊屋ツアーインジャパンも活字で拝読。
Posted by 古本虫がさまよう at 2014年01月04日 20:29
ここも先日の愛知遠征で行ってきました。古雑誌がかなり充実しているなあと思い、雑誌・漫画雑誌を4冊ほど購入しました。それと、この店から神宮前駅方面へ進んだところにある「名文堂」も気配り上手な店主がいて良い古本屋です。あと商店街ですが、私が行った時も半分以上がシャッターを閉ざしていたので、やはりシャッター商店街と化しているようです。
Posted by W.O.K. at 2014年01月05日 00:29
古本虫がさまよう様。大泉黒石お買上げ、ありがとうございました。ツアーもしつつビシバシ補充して行きますので、またの機会がありましたらぜひお立ち寄り下さい!
Posted by tokusan at 2014年01月05日 15:35
W.O.K.様。名古屋遠征は、ずいぶん広範囲だったのですね。素晴らしい!商店街、閉まってましたか。初詣の人出と共に見たからなのでしょうが、非常にもったいないですねぇ。あの本屋の去就が、やはりとても気になります…。
Posted by tokusan at 2014年01月05日 15:37
2021年12月7日名古屋訪問、伏見屋書店は健在、店主の綺麗な声&柔らかい応対も相変わらず。近くの名文堂は情報によると開店前とのことだったので寄らずというか寄れず、残念でした。
Posted by 下新庄3丁目 at 2021年12月12日 22:40
下新庄3丁目さま。うわっ、「伏見屋書店」、今すぐにでも飛んで行きたいです!羨ましいです!良い本たくさん買えたのではないでしょうか。
Posted by 古ツア at 2021年12月13日 19:02
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