2014年01月12日

1/12岩手・釜石で古本を求めて二店+1!

『三連休乗車券』二日目は、またも早起きして北へ移動して、まずは新花巻駅で下車。雪の積もった単線ホームの駅から、“銀河ドリームライン”釜石線に乗って、東の太平洋を目指す。この路線は元をたどれば、宮沢賢治の愛した岩手軽便鉄道が走っており、様々な作品のモチーフとしても使われていた。そのため現代のJR路線も『銀河鉄道の夜』になぞらえられ、駅の表示板には一駅ごとに異なるイラストとエスペラント語が踊り、逆にひたすら賢治の背中を追いかけて、ロマンチックに運行している。しかしその実体は、ジワジワと時間を遡る集落と谷間を、ディーゼル音と警笛をを響かせ走り続けるローカル線…。雪に塗れながら、美し過ぎるアーチ型鉄道橋を渡り、山をひとつ越える。一時間でたどり着く遠野の田園地帯は、どこまで雪を被り、灰色の空と共に明るく輝いている。さらに進んでもうひとつ山を越え、鉱山の遺構などを目にしながら谷間を下って行くと、いつの間にか雪の姿は掻き消え、計二時間で釜石駅に到着した。

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●釜石「古本小屋」
地下道で線路の下を潜ってから駅の改札を抜けると、綺麗に新しく整備されたロータリーの向こうには、白い煙をモクモクと吐き出す『新日本製鐵釜石製鉄所』の有無を言わさぬ巨大な姿が、山のように立ちはだかっていた。その工業的姿態にとにかく圧倒されてしまう…さすがは『鉄と魚とラグビーの街』!まずは南の『国道283号』に出て、西にスタスタ歩き始める。製鉄所を左に眺め続けて、市街から遠ざかるようにして西へ。やがて行く手に巨大な緑のガスタンク二基が見え、その脇をアリのように小さく通り過ぎ、水の澄んだ甲子川を渡る。その橋を渡っている途中で、目指すべき古本屋さんが目に入り、嬉しい開店中であることを視認する。慌てて橋を渡り切り、川沿いに北へ折れ込んで、二本目の住宅街の脇道に入り込む。すると目の前に三階建ての住宅兼店舗が現れ、一階には三宿「山陽書店」(2008/11/17参照)に比肩する黄色い巨大な日除けが張り出している。『マンガ本買います』の幟がはためき、シャッターの上がった引き戸部分には、取扱漫画がペタペタと貼り出されている。そのガガララと大きな音を出す戸を開けて中に入ると、コンクリ土間の倉庫のような空間で、スチール棚で出来た四本の通路が縦に延び、ブロックの如きコミック揃いの群れを、並べ、収め、積み上げている。右奥に藤田弓子風ご婦人のいる帳場があり、その横にはアダルト通路もあるようだ。しかしコミックばかりではなく、右から二番目の通路右側に二本のミステリ&アクション文庫棚、三番目の通路左側三本に時代劇文庫の姿を見出し、ひとまず胸を撫で下ろす。並んでいるものは90年代以降の新しめが中心だが、必死にガルガル喰らいつき、文春文庫「落城記/野呂邦暢」集英社文庫「ハサウェイ殺人事件/平岩弓枝」ちくま文庫「ぼくらは下町探検隊/なぎら健壱」を購入。文庫は安めだが、コミックは割と普通な値段。しかし絶版の揃いもしっかり多く、レジ横のプレミア絶版も要注目であろう。

釜石での任務を無事に果たしたので、帰りの電車まで一時間ほど余裕があるのをいいことに、駅前に引き返して東にテクテク向かい、釜石市街に突入して行く。一度でいいから入ってみたかった『釜石橋上市場』(今は取り壊され、駅前の『サン・フィッシュ釜石』と言う味気ない施設に移転している)を幻視しながら、鮭の死骸が多数沈んだ川を渡ると、ツギハギな未だ復興継続中の街。数々の東日本太平洋沿いの街で目にして来た光景と同じで、新しい街路・公共物・家々・更地・廃ビルなどが混ざり合っている。そんな空間にズカズカ入り込んで行くと、二つ目の交差点で古本を扱う真新しいお店を発見してしまう。

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●釜石「松坂屋 とれぱに店」
ほぼトレーディングカードのお店なのだが、右側にコミック棚が並び、その最奥に一般文庫・ノベルス・時代劇文庫・ラノベ・ティーンズ文庫・BL文庫が棚に箱に集められている。あまりに一般的なので、残念ながら手が出ず…すみません、古本販売していることに感謝の念をこっそり捧げ、素早くお店を後にする。

最後は『青葉通り』まで出て山裾の『青葉公園』に向かい、仮設のプレハブ二階建て商店街『青葉公園商店街』に入り込む。三年前の震災時に、店舗も在庫すべても津波に流されてしまったのに、泥の中から顧客名簿を掘り出して、即座に配達販売をタフにスタートさせた『桑畑書店』で本を買うためである。サッシ扉を開けるとまずは廊下があり、左端に店舗としても復活を果たした小さな新刊書店があった。
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小学館文庫「戦中派動乱日記/山田風太郎」を購入し、お店の名の入った書皮を掛けていただく。そこにはこの公園とは違う住所が印刷されている。やはりそれは、元のお店の住所…いつかそこに戻ると言う意志を勝手に読み取り、本を大事に受け取る。

気仙沼・宮古・いわき・銚子・石巻・相馬、そして釜石。津波で甚大な被害を受けた街を、長い時間をかけて訪ね回り、どうにか気になっていたお店の消息を調べることが出来た。そして最後に残ったのは、青森県の八戸。いずれここにも足を向け、古本屋事情を調査して来なければなるまい。昔ながらのお店は姿を消し、リサイクル系のお店しか残っていないそうだが、実は古本を売る喫茶店があるとかないとか…。と言うわけで、八戸の地元古本屋についてご存知の方、首を長くしてヨダレを垂らし、タレコミお待ちしております!
posted by tokusan at 23:14| Comment(4) | TrackBack(0) | 東北 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
古書組合加盟店のうち、古書坐来さんは店舗営業してそうですね、ストリートビュー見る限り。

以前青森組合の合同目録に、店舗にもお越しください、みたいなことが書いてったような気もするのですが、今手元にないので、はっきりしません。別の店と混同しているかも知れません。

組合には加盟していないようですが、古書遊歩堂(八戸市堤町4-6東野ビル)という店もあるようです。

お店の方から、うちやってるよー、とかいう書き込みがあったりしたらいいですよね。

チェーン店ですが、ほんだらけもありますね。以前は2店舗あったように思いますが、現在は1店舗だけのようです。
Posted by あ at 2014年01月13日 17:36
情報ありがとうございます!そうですね「坐来」さんがありましたね。これはチャレンジしてみなければ。「遊歩堂」さんは、営業しているかどうか、少し不安なところがありますが、来八した時に確認したいと思います。
Posted by tokusan at 2014年01月13日 18:05
遊歩堂さんは、地元の新聞社を退職された方が、ご自分の蔵書二万冊をもとに一昨年夏に開業されたようです。

今年に入ってから、訪れた方もいらっしゃるようなので、営業自体はされているかと思います。
 
定休日とか営業時間がわからないので、リスキーではありますが、レポート愉しみにしております。
Posted by あ at 2014年01月13日 18:13
さらなる有益な情報をありがとうございます!ますます八戸に行くのが楽しみになって来ました。いや、今すぐ行きたくなってしまいました!どうにかして今年中には訪れ、青森初ツアーして来るつもりです。
Posted by tokusan at 2014年01月14日 19:20
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