2014年03月22日

3/22青森・長苗代 古書 坐来

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実は昨日も使った『三連休乗車券』で、普段使う『週末パス』より航続距離を延ばし、さらに特急券も併用して、三時間半と言う恐るべきスピードで八戸着。念願の青森初ツアーであるが、久々に新幹線に乗ると、とてつもない贅沢をしている気が…そして分かってはいたのだが、街は雪景色なのである。立食い蕎麦でお腹を安上がりに満たし、JR八戸線に飛び乗る。街から離れると、雪原の真っただ中を進む列車内には、『津波警報が発令された場合のお願い』、線路各所に設けられている『八戸線避難口』、『車両からの降り方』などの、普通では見られない案内板が取り付けられている。網棚の上には、存在感の大きい緊急避難梯子が置かれている。そんなものたちを眺めていたら、雪原の端にある無人駅にあっという間に到着。簡素過ぎるホームから下り、自動車も走る跨線橋の階段を上がる。遠くに煙をモクモク吐き出している港湾地区が見えている。雪はある程度積もっており風は冷たいが、気温自体はそれほど低くない。まずは北の市街地を目指し、『国道104号』を歩いて行く。シャーベット状に残る歩道の雪に難儀しながら、大きな交差点をひとつ越えてさらに北に進み、歩道橋で『下長交差点』を乗り越えると、道は幅と歩道を狭くして『県道8号』となる。時折消滅する歩道にさらに難儀しながら、400mほど北にベシャベシャ歩き、道が大きく西にカーブする手前で、一本東寄りの住宅街の道に逃げ込む。豪壮な住宅の間をまだまだ北に進むと、視界が開けて行く手には団地と大きな通りが現れる。ホッとしながらその大通りに出てちょっと東に進むと、おぉぅ!『河原木団地南口バス停』前に、『本の骨董屋』とある大きな店名看板が見えていた。たどり着いたぞ!喜び勇んでベシャベシャと入口に近付き、風を避けて立っていたバス待ちのおばあさんに道を譲っていただき、重く新しい引戸から中へ。そこは二重の玄関なのだが、右にはすでにプレミア本の飾られたガラスケース…どうやら本格的な店舗の気配。さらに同型の引戸を開けて店内へ。ふぅ、暖かい。すると電子チャイムが鳴り響き、奥の部屋の帳場から、相撲部屋親方風店主が伸び上がり「いらっしゃいませ」と迎えてくれた。薄暗いが横長でまだ充分に新しいお店である。壁際には、右側に低い棚とラック、左側に高低の壁棚が混在。そしてガラスケースと背中合わせの本棚や柱棚が、計五本の通路を造り出している。ガラスケースの中の見たことも無い大正時代の「シャアロック・ホームズ」に気を取られながら、入口右横の科学数学棚をまずは見て、右奥の大衆小説棚に張り付いていると、奥から「何かお探しのものでもあるんですか?」と聞かれ、ここから店主との楽しい怒濤の会話がスタートしてしまった。古本屋経営・ネット販売・在りし日の古本屋巡り・青森古本屋事情・東京古書店との熱き闘い・紙物・骨董業界とのつながり・上階の立入禁止倉庫・蔵整理・本を集めること残すこと、etcetcetc!と、古本屋稼業&冒険譚のオンパレード。棚を見ながらも思わずグイグイ引き込まれ、通路の奥でお互いに姿も見えぬのに大声で会話を続ける始末。なので自然と棚への集中が、いや本への集中自体も疎かになってしまう…他には古い政治社会・思想・自然・本&古本・映画・山岳・青森関連・郷土・岩波文庫・新書・旅・スポーツ・ノンフィクション・宗教・文学評論・海外文学・日本文学。文庫はワゴンや通路に置かれた多数の箱に200均で詰め込まれている。だがこれで終りかと思ったら、「奥も見ていいからね」と帳場のあるスペースに招き入れられる。うぉっ!応接セットを中心に、壁棚と箱と飾り棚と低い本棚が置かれた、さっきより古い本の多い空間である。そしてさらに奥には、屋根のある能舞台のような座敷スペースがあり、さらにその周囲を重厚な壁棚が取り巻いている!そこに並ぶのは、さらさらに古い本たち!なんなんだ、この古本屋さんはっ!興奮しながらさらに会話しながら、本棚と箱の前を雀の如く忙しく飛び回る。真ん中スペースには、日本文学・辞書類・ジュブナイル少々・キリスト教・戦後文庫・定価半額セレクト文庫・古雑誌・海外文学・美術・雑誌付録・日本刀・旧日本軍関連・戦争時物・絵葉書・プレミア文学本・古観光地図など、戦中戦後を中心とした組み立てである。そして奥のスペースには、和本・地図・映画ポスター・双六・雑誌・全集・教科書類・戦争・日本文学・探偵小説・歴史・美術・郷土・社会・ガイド・戦前文庫と、戦前の古書がドバドバドバ。もはや私に正常な思考能力は無く、古書の海にただガボガボ幸せに溺れゆくのみ。古本大量!良い本と珍しい古い本が、奥に行けば行くほど現れる素敵なお店である。ただし店主によると、良い本や物はすべて倉庫にあるとのこと。値段はしっかりだが、店主が優しく色々サービスしてくれるのが嬉しい。改造文庫「胡桃割人形と鼠の王様/ホフマン」ハヤカワ文庫「地獄の家/リチャード・マシスン」講談社文庫「抱擁家族/小島信夫」河出文庫「あちゃらかぱい/色川武大」「ポロポロ」「かぶりつき人生」共に田中小実昌、ちくま文庫「JAMJAM日記/殿山泰司」を、改造文庫を500円引き、定価半額文庫を200均にしていただき購入。そして「じゃあ良いものをあげよう」と、「隔月刊 あおもり草子 特集・あおもり古書店歩き」を袋に同封。これは青森県で現在活躍する古書組合加入店を、ほぼ網羅特集!これは嬉しい!思わぬレア(古本屋狂の私にとって)な収穫を喜びながら、お店を辞去。すっかり話に夢中になり長居してしまったので、本八戸のお店も巡るつもりだったのが、予定の変更を余儀なくされる。と言うわけで、吹き曝しの雪原のホームの上で、八戸行の次の列車が来るのを、もう三十分以上待っているのだ…。
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「あおもり草子」。詳細な青森県内十二店の記事と、喜多村拓氏による『青森市古本屋小史』を掲載。

posted by tokusan at 21:51| Comment(2) | TrackBack(0) | 東北 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
青森ですか…。新幹線とはいえ…。以前、新幹線&特急(週末学校)で、弘前などの古本屋に出かけたことがありますが、もう20年ぐらい前。懐かしい限りです。
こちらは、本日は平々凡々。小田原で守谷のあんパン5つ、くりまん5つ、食パンを買って、小田原の古本屋二軒をのぞくこともなく、東京に戻り、高円寺&神保町古書会館周辺を散策しただけと。
Posted by 古本虫がさまよう at 2014年03月22日 23:03
守谷のパンにそんなにはまっておられるとは!私はあそこの甘食&クッキー一辺倒ですが、今度早めに行って、あんぱんも味わってみたいと思います。
Posted by tokusan at 2014年03月23日 22:21
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