2014年07月22日

7/22東京・八丁堀 書肆 逆光

shoshi_gyakkou.jpg
先日のますく堂訪問で、八丁堀にいつの間にやら古本屋さんが出来ていたことを知り、大急ぎで駆け付ける。京葉線『B1出口』から地上に顔を出し、『新大橋通り』西側歩道を北上する。行く手に東京メトロ八丁堀駅『A5出口』が見えたら、その手前の立食いそば屋と写真屋の間を西へ入る。雑居ビルと飲食店の続く、直線の『二八通り』をソロソロと進む。大きな十字路→小さな十字路→大きな十字路と通り過ぎると、左手に白い側壁にパックマンのゲーム画面のように、細いパイプが剥き出しで配管された四階建ての雑居ビル…一階酒場食堂の脇にある、小さなビルの入口に踏み込むと、古い階段下にお店の小さな看板が置かれ、そこを上がり切ると目の前の床に100均本が並んだ嬉しい光景。古いお店へのドアを押し開くと、廊下から緑の床がそのまま続いた、ギャラリーのような、雑居ビルの小さなワンフロア。抑制と神経の行き届いた空間である。左壁に古本棚がしっかりと静かに展開し、真ん中には大きなテーブルが置かれ、左壁奥と窓際には、小さな棚やラックや机が連続する。そしてビル内階段上に張り出したスペースが右奥にあり、そこに帳場が収まっていた。入口からは死角になっていたので、歩を進めて覗き込むと、テニス部キャプテン的雰囲気の長身の男性が「いらっしゃいませ」と本の整理を進めていた。こちらも慌てて挨拶をし、左側本棚の前へ。倉庫扉の横に、美術・工藝・民藝・映画があり、古書も多く昭和初期の商業美術に大いにときめく。壁棚は安心の文庫ゾーンから始まり、岩波文庫・ちくま学芸文庫・福武文庫・講談社文芸&学術文庫・海外文学文庫、それに新書を並べる。さらに日本近代文学(横光利一「機械」オリジナルが!)・藤枝静男・第三の新人・七十年代文学・日本現代文学・現代思想・海外文学・ユイスマン・児童文学・文化・紀行・自然・詩集・詩誌・文芸誌が続く。窓際のラックでは北園克衛「VOU」が冷徹に微笑んでいる。テーブルや窓際には、器・絵葉書・古雑誌・瓦片・鏃・ライター・香水瓶・スプーン・土器などの小さな物が美しく飾られ、本来の役目を果たし終えて、家に持って帰りたいようなオブジェとしての魅力を発している。古本はしっかりとセレクトされ、古書を程良く含み、値段は普通。しかしここに古本屋さんが誕生したということは、「ゴジラ堂」(2011/09/26参照)亡き今、「森岡書店」(2008/12/12参照)と「酒井古書店」(2008/12/26参照)とを合わせて、新たな“古本屋トライアングル”が完成したことになる。これからも、窓から射し込む逆光の中に、古本と古物をコントラスト強く、美しく浮かび上げてください!そう心の中で祝いつつも、お店にそぐわぬ愛育社「傀儡城/野村胡堂」(ちょっとくたびれたボール紙表紙の仙花紙本だが400円。題名から伝奇時代劇を想像したが、バリバリの少年冒険SFでびっくり)を見つけてしまい、福武文庫「バラルダ物語/牧野信一」と共に購入する。

そしてここで驚くべき事実が判明。店主には私の正体は脆くもすでに見破られ、さらに昨年末のトークショーで販売した『古本屋になってください!』識語入りの拙著を見せられ、「だから古本屋になりました」と告白される。うげぇっ!鎌倉「ウサギノフクシュウ」(2014/06/20参照)に続く、恐ろしいことだが喜ぶべき事態!…いや、とっても幸せです。感動しています!責任を持って、これからも応援させていただきます!だが最後に、せめてものお礼にと本に識語を追加するが、『八丁堀』を『八丁掘』と間違えてしまう…あぁ、締まらないこと甚だしい。それにしても「本当は考古学と詩集のお店にしたいんです」との発言にはびっくり。ぜひともツアーしてみたいけれど、そんな素晴らしくマイナーなお店は、もうマスターキートンしか来ないのでは…。
posted by tokusan at 21:13| Comment(2) | TrackBack(0) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おお、『古ツア本』にはそんな識語もあるのですか。書いた内容が実現してしまう、魔力的な識語ですね。『走れ!古本道!!』の識語をいただいた私は、これからも古本の道を走らざるを得ないのでしょう。とはいえ、短距離で言えばボルト、長距離で言えばゲブレセラシェの速度で古本道を駆け抜ける古ツアさんに比べれば、私なぞせいぜい井出らっきょや猫ひろしの速度。お笑い芸人ならぬ古本芸人には、米粒のような後ろ姿をとらえるのがやっとです。でもまあ、井出らっきょのように服は脱がずとも、心は裸になって虚心坦懐古本屋に臨み、猫のごとき感知力と俊敏さで良書を「シャッ」とゲットしたいですね。ニャーーーー!!

・・・・・裸なだけに、お寒い結びとなってしまいました。
Posted by 古本童子 at 2014年07月23日 21:54
走ってますか?私は走ってます!もちろん途中で歩くのも、足を止めるのもありですが、前に進んで行けば、問題ありません!途中、私の屍を見つけても、立ち止まらずに踏み越えて、どうか前へ!
Posted by 古ツア at 2014年07月24日 13:55
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/402353130
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック