2014年12月08日

12/8南陀楼綾繁氏の仕事場をツアーする。

山手線西日暮里駅にほど近い、あるマンションの一室に、古本神のひとりである方の仕事場がある。駅からトボトボ歩いてたどり着いた、薄暗いマンションの廊下から招き入れられると、早速玄関の右側には文庫を中心とする棚が組み上げられ、左の壁際にはマッチラベルのコレクションが飾られている。仕事場の主は編集者&ライターの南陀楼綾繁氏である。乱雑を極める書庫の整理をするとの噂を聞き付け、それは良いチャンスだと嘆願して、ツアーを許可していただいたのである。玄関を通り抜け、仕事場である部屋をさらに通り抜けると、八畳間に十二本+ミニ棚一本と、四本の可動式書棚(「古書 往来座」(2009/01/09参照)瀬戸氏の完成度の高過ぎる力作!)で構成された書庫があった。“O”字に通路が造られ、本来は回遊出来るはずの空間なのだが、奥の部分には東日本大震災で崩れた本の山が三年の間放置され続けている、恐るべき光景が眼前に広がっていた。
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ツアーするには、ここを掘り起こし開通することが急務。難度の高いミッションだが、その労働の代価として、気に入った五冊の本を進呈(とは言っても南陀楼氏の審査あり)しようと宣言される。さらにこの山の何処かにエアコンのリモコンが埋もれているはずなので、見つけ出して欲しいとの依頼も引き受ける。やる気満々で狭い通路に飛び込み、早速足元から本をつかみ上げて整理して行く…うぉぉ!「昔日の客」が埋もれていた!ぎゃう、寺島珠雄の「私の大阪地図」がっ!などと目を疑うほどのレア本の発掘に従事しながら、徐々に徐々に奥へと入り込んで行く。
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棚の構成は、右側通路の右壁に、古本屋&古書店関連(存在すら知らなかった本が充実!古本屋ツーリストとして欲しい本がたくさん!)・マッチラベル・古雑誌・映画DVD・装幀関連・東京文学・作家関連が並び、向かいには坪内祐三・読書関連・東京・雑誌が収まる。奥壁に江戸東京・文壇・広告・十返肇・印刷・版画・青春街図シリーズ・出版社史・日記・宮武外骨がズラリ。左側通路には、壁際に尾崎一雄・講談社文芸文庫・充実の田中小実昌(だが机の下に小実昌レア本がドサドサと落下したまま放置…)があり、向かいに出版&本関連・「彷書月刊」が固まる。押入れを改造した棚には、尾崎一雄全集や文庫本、下段には作家ごとに詰められたダンボール箱が積み重なっている。可動式書棚には出版社別文庫と、単行本類。さすがに良い本レア本が多く目につき、眼福になると同時にツボを突くラインナップに嫉妬心もメラメラ(山名文夫の広告図案集がっ!今和次郎の商店建築スケッチ集がっ!)。氏が書き連ねる文章の根源が、この空間に集約されているかのようである。発掘中に無事にリモコンも発見したり、山中貞雄の同じ評伝を何冊も発見したりして、埃にまみれて二時間ほどで通路を開通。意外に早く終わった気がする。それを見た氏は「床が見えた見えた」と三年ぶりの景色に大喜び。…明日は我が身…気をつけなければ…気をつけなければっ!と嬉しそうな氏を横目に自戒する…いや、もう始まってしまっているのだが…。結果としては、いつかの「岡崎武志堂・本店」(2012/10/19参照)「池谷伊佐夫氏書斎」(2014/02/05参照)に続いての、楽しく愉快な個人書庫ツアーとなる。そして労働の代価としていただいたのは、新潮文庫「帰郷/大佛次郎」教養文庫「ベイラの獅子像/橘外男」講談社ロマンブックス「瓢庵先生捕物帖/水谷準」の三冊であった。作業が一段落したところで、同じく整理の助っ人に来ていた退屈男君と三人で陽の暮れた街に繰り出し、近所の大衆酒場で夕飯&飲み。嗚呼。年の瀬に、何だか楽しく古本に溺れた一日となる。
posted by tokusan at 23:43| Comment(8) | TrackBack(0) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お疲れ様でした。こうなると古本神の書庫整理ツアーのジャンル化もありそうですね。ところで、5冊のはずが3冊なのは審査に引っ掛かって2冊却下されたとか?
Posted by 沢渡秋彦 at 2014年12月09日 12:12
いや、頑張りました。この日に続き、今日も頑張りました。ちなみに申請したのは四冊で、一冊は残念ながら資料として必要とのことだったので、却下の憂き目となりました。
Posted by 古ツア at 2014年12月10日 01:08
先日はツアー&片付けありがとうございました
おかげで、この数年見つからなかった本がいくつも出てきました

却下してしまった『戦後の貸本文化』ですが、なんと玄関脇の棚にもう一冊ありました
ですので、差し上げます
岡崎さんとの古本市に顔出せれば手渡しますね
Posted by 南陀楼綾繁 at 2014年12月11日 13:18
リモコンは見つかりましたか?(気になって眠れません。)
Posted by 修理人 at 2014年12月11日 14:31
南陀楼綾繁様。こちらこそ貴重な機会をありがとうございました。「戦後の貸本文化」、もう一冊出て来ましたか!もうすでに持っている本が発掘されてしまうのは、恐ろしいほどの蔵書を抱えた人の、運命と言えましょう。ありがとうございます!遠慮なく頂戴させていただきます!
Posted by 古ツア at 2014年12月11日 18:08
修理人様。リモコンは無事に左側通路の奥の本と本の隙間から救出いたしました。これで三年ぶりにエアコンが動かせることとなったのです!
Posted by 古ツア at 2014年12月11日 18:10
古本ツアーさま
 早速、綾繁氏の仕事場書庫へ出かけ、ジックリと古書探訪を堪能された様子、お疲れ様です。大地震を契機に書籍の塊が雪崩を起こし、本棚の谷間を埋め尽くした写真、物凄いですなぁ。古本結束中に地震が発生しなくて良かったですよ。
 と云いながら、私も出掛けてみます。お元気で。
Posted by Yozakura at 2014年12月13日 17:37
Yozakura様。地震はもうあの時から、いつまた起こってもおかしくないと覚悟しているのですが、それでもだらしなく本は、なし崩しに増えて行きますね…お互いに気をつけましょう!
Posted by 古ツア at 2014年12月13日 18:42
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