まずは総武線で市川駅下車。色々寄り道しながら行こうと決めて、歩き出す。駅南側の「草古堂」(2008/09/20参照)がなくなっているのを確認し、踵を返して北へ。『千葉街道』を北に越えて、『市川八幡神社』前の「即興堂」(2011/11/23参照)。入口入ってすぐ左横の壁棚にピタリと張り付き、古書を漁る。小説朝日社「向日葵娘/源氏鶏太」と一緒に、2500円の改造社新鋭文學叢書「傷だらけの歌/藤澤桓夫」を買おうかどうか相当悩むが、「お前が藤澤桓夫を買わないでどうするんだ!」という説得力のない古本心の声に説得され、計3000円をお支払い。一戦交えて多少脱け殻のようになって「智新堂書店」(2008/09/20参照)前に立つと、今日は見事に定休日。ここでようやく京成線の線路を越え、住宅街の深部に迷い込み「アトリエ*ローゼンホルツ」を目指す。
道路際に出された立看板を目印に、住宅横の長いアプローチに踏み込み奥に進むと、臙脂と緑に塗られて複雑な形状で敷地に広がる、元銭湯の古屋が現れる。渡り廊下のような屋根の下に入ると、左に二つの入口がある。奥は広い吹き抜けの板の間へのアプローチで、手前は文庫ゾーンを経由して同じ板の間へ進めるようになっている。店頭で戸惑いながらも歓迎してくれた、現在店内で絵画展を開催中の店主の母君(御歳九十歳!)に促され、まずは土足でも入れる文庫ゾーンへ。左壁に設えた棚に、単行本少々となかなかの量の文庫が並んでいる。値段はちょい安。ビーサンを脱いで板の間に上がり込むと、足元に料理・ファッションなどのビジュアルムック&雑誌棚が続き、その上では雑貨類やお菓子が売られている。壁に飾られた幸福な色彩の絵画群と、オススメ絵本を見ながら入口方面に向かい、横の折れ曲がる階段で二階へ上がる。するとそこから古本棚を置いた三間が続くのだが、最初が「石英書房」の間となっていた。左に鉱物や雑貨類を集めたアンティーク棚、向かいに鉱物関連本の小さな棚が置かれている。奥へ進むと薄暗く絵本と児童文学が棚に並び、さらに奥の部屋には少量の図鑑類。すべての部屋の窓は開け放たれ、吹き込む風が白いカーテンを優雅に踊らせている。古い民家の味わいが気持ちよく、古い机やカラーテレビが、心がムズムズしてしまう郷愁を湧き起こす。階段上に立って、しばらく低い吹き抜けを見下ろしてから、板の間に戻り、右側の広いカフェスペースにお邪魔する。とは言っても、ぶち抜きの日本間に大きなテーブルを据え、壁に自然・暮らし・女性関連オススメ本ラック、リトルプレスラック、それに詩集や長田弘や哲学や永六輔の棚を配した空間である。ではそろそろ精算をと、元気でフレンドリーな女性店主に声をかけると、板の間の奥に潜む急階段を指し示し「この上にも本があるんですよ」とニッコリ。言われるがまま手をつくようにして上階に向かうと、日本家屋特有の薄暗さの中に、壁一面の本棚が浮かび上がる。スピリチュアル・健康・自然・エッセイ・教育・カルチャー。さらに奥の部屋にも小さなラックがあり、猫の本が集められている。古本を探す楽しさよりも、複雑な古屋内をあっちへこっちへ上へ下へと、ギシギシ行き来するのが誠に楽しいお店である。それはまるで、受動的で物静かな民家アトラクション!各部屋には椅子とテーブルが必ず置かれているので、この不思議な空間に溺れながら本を読むことが出来るようになっている。値段はちょい安。角川文庫「魔女の呪い ハーディ短編集」小学館ライブラリー「多摩川探検隊/辻まこと」を計300円で購入。
お店を出て市川真間駅方面は向かうと、ああっ!「春花堂」(2008/09/20参照)が開いているじゃないか!もう、なくなっちゃたと思ってたのに!と涙を堪えて飛び込む。通路状の店内は以前の通りだが、店主に声をかけて奥の部屋に入ると、派手に片付け作業の真っ最中。「いやぁ、お店を移転するんですよ。もう、追ん出されるの」「ええっ!何処に?いつですか?」「移る所は、そこにデニーズがあるでしょ。そのそば。もう本当にここから近く。店開けられるのは、十月頭くらいかな…」ということであった。京北書房「駒鳥夫人/菊田一夫」を500円で購入しつつ、新店を必ずこの目にしなければと、密かに心に誓いを立てる。
素晴らしい発明品である『扉棚』も、これで見納めか…。


市川にそのような古書店がありましたとは知りませんでした。
これは、チビども同伴で探検に行かねばなりますまい。
春花堂は移転ですか。奥の部屋は子連れではダメみたいで、以前入室を断られたことがありました…。移転したら単身で攻めてみましょう。
是非、ご覧ください。