2015年10月25日

10/23島根県初上陸で出雲〜松江の古本屋ラインを探る

南陀楼綾繁氏に招かれ、島根の本集団『BOOK在月』のイベントに参加するために、10/22の午後七時過ぎの夜行バスで東京を旅立つ。ただただ動く刑務所のような苦痛の十二時間を耐え、肌寒い早朝の松江駅前に到着する。しっかり疲れているのだが、未知の古本屋と古本が待ってくれている!と血気盛んに『BOOK在月』の森田氏、それに出雲が地元の南陀楼氏と合流し、まずは出雲方面に車で向かう。今回のレポートは、車移動での弾丸ツアーなので、いつもと違う駆け足的レポートになることを、ご容赦願いたい。

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●武志「だんだん書房」
『県道277号』を、一畑電車・北松江線の線路に沿うように北上する。『出雲バイパス』を越え、住宅と農地が余裕を持って融合している長閑な地帯を、車は進む。やがて正面に、一畑電車・大社線の踏切が見えてくる。すると右手に広く素っ気ない駐車場が出現。そこに入り込むと、左奥隅にズドンと置かれた箱のような古本屋さんが存在していた。ちょうど『武志駅』の北西500m辺りである。しかしお店はまだ開いていないようだ。森田氏が階段口から二階に向かって声をかけると、ご夫婦が素早く下りて来て、たちまちお店を開けてくれた。店名の“だんだん”は、こちらの方言で“ありがとう”の意味である。店主夫婦は、映画『カンフーハッスル』に出てくる太極拳名人夫婦の如きお二人。入ってすぐ左に簡素な帳場があり、壁際には高く武骨なスチール棚が設置されている。十六畳ほどのフロアには、横向きに胸高のスチール棚が四本並び、狭い通路を造り出している。天井近くの壁には『さがして下さい心に残る一冊を』とあるプラ板や、昭和天皇の島根行幸写真(売り物)や出雲大社関連・太平洋戦争関連の紙物が貼り出されている。入口右横には50均文庫と100均単行本棚があり、付録漫画・講談本・プレミア近代文学本・戦前資料写真・古雑誌・絶版漫画の飾られたガラスケース。その奥に山岳や辞書の棚が続く。向かいにはカセットテープ・VHSビデオ・児童文学・「のらくろ」・「サザエさん」など。右壁には図鑑・児童書・民芸・工芸・骨董・美術全集類が続き、そのまま奥壁棚に重々しく美術全集・歴史・書・考古学・道路調査資料などが、みっちりと続く。第二通路は廉価コミックとともに島根郷土本が硬軟並ぶ(石見銀山関連や植田正治のドメスティックな写真集も)。第三通路には郷土本列の裏側が見えているとともに、江戸風俗・日本文学・東洋文庫など。第四通路が一番の見どころで、古書・日本近代文学・大衆文学・戦争・講談社学術文庫・カラーブックスなどが集まる。最奥通路の通路棚には時代劇文庫・文学全集類が固まり、左壁奥にはちゃっかりとアダルト棚もピンクに輝いている。一見硬そうに見えるのだが、所々に柔軟さが顔を出す、なかなか楽しく目の光らせ甲斐のあるお店である。値段はきっちりしているが、隙もまた確かに存在する!講談社「道化師の森/新田次郎」(帯付き)を購入する。その後みんな揃ってコーヒーをいただき、東京都島根&山陰の古本屋情報を交換。そんな風に、順調な山陰での第一歩を踏み出す。

続いて近くの、古本も少し置いてあると言う「リコレクションズ」を見に行くが、二階にあったはずの古本通路は、見事なまでのアダルトオンリー通路に変貌してしまっていた…。

続いて南陀楼氏おススメの出雲市の「國美喜書房」を、「見て欲しいんですよ。カオスなんですよ。でも開いてないかな〜」と言われつつ向かってみると、案の定お店は冷たくシャッターを下ろしていた…。

さらに松江市内に戻り、車でぐるぐるたどり着いた時には、もはや何処にあるのか土地の者でないと分からぬ「ブックランド ボンボン」を見に行くも、絶版漫画と古映画雑誌・チラシ・パンフは楽しいが、あまりにキッチリな値付とアダルトの隆盛にスゴスゴと退散する。ただ通路足元に置かれた、二十冊以上のアイドル系写真を詰めた900円箱が連続するは、何だかとにかくスゴかった…。

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●松江「本町堂」
最後に松江駅の北西700mほどの位置にある『白潟商店街』の福祉系激安店を訪れる。古書と郷土本以外は全品100円なのである。ウィンドウにはポツポツと古本が飾ってあり、細長い店内に入ると、まずは右にLPレコードラック、左に安売箱とシングルレコードと試聴用のレコードプレーヤーが置かれている。その後は、両壁ともに十五本ほどの本棚が続き、左に文庫・医療・実用・社会・教育・心理・児童書と並んで行く。右には郷土史と古書(ここは100円とは落差の激しいキッチリ値付)から始まり、小説やエッセイ類が80年代以降中心で並んで行く。雑本的だが、とにかく100円なのは魅力である。旺文社「ぼくのおじさん/北杜夫」講談社ノベルス「下北の殺人者/中町信」21世紀ブックス「日本語面白事典/都筑道夫編」を購入する。

さらにさらにその後、トーク会場である元銀行近代建築の『カラコロ工房』に向かう途中で、私設図書館「曽田文庫」に所用で立ち寄り、100均本の並ぶ室内縁側で学研傑作推理ブック4「尾行された少年たち/P・ベルナ」フレーベル館キンダーおはなしえほん「しんげつ/原作・火野葦平」を購入。
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トーク会場は地下の金庫室で行われ、南陀楼氏のほぼ地元ということで、無事に集客もクリアし、楽しい一時間半を過ごす。ホッと一息ついたからか、『BOOK在月』メンバーの手により、丁寧に飾り付けられた会場に置かれた装飾品のひとつ、錆びた蔵の貯金箱に魂を奪われ、森田氏に無理を言って譲っていただく。実は早朝に松江に滑り込んで来た時、夜行バスの車窓から見えた一軒の古本屋さんがあった。「たぬき堂書店」と言う名のそのお店は、残念ながらもう閉店してしまったのだが、この貯金箱はそのお店を整理した時に出た物であると言う!そんな妙な奇縁を喜び、次の日の朝、壮大な宍道湖をバックに記念撮影。陽光の下で改めて眺めてみると、ブリキで丁寧に形成され、表面の絵は懐かしい解像度&色合いの印刷である。そして背面には、何と『マルサン』のマークが!これは、怪獣ソフビ人形で名を馳せた玩具会社の製品であったか!予想外の発見に、宍道湖の畔で、埃だらけの喜びが、一段階アップする。
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posted by tokusan at 11:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国・四国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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