2015年11月22日

11/22神奈川・日本大通り ZOU-SUN-MARCHE BOOK PICNIC

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電車からホームに降り立つと、鴎の鳴き声がスピーカーから聞こえる、横浜ベイスターズ色に染まった地下世界。『1番出口』から冷たい地上に顔を出すと、すぐ目の前に『横浜市開港記念会館』ジャックの塔がスマートに建っている。『みなと大通り』で東の海方面に向かえば、右手にスクラッチタイルで覆われた重厚な『神奈川県庁本庁舎』がキングの塔を冠し、海が近くなった交差点の向こうには、つるんとしたイスラム様式の『横浜税関本関庁舎』が、海に向かってクィーンの塔を誇っている。50m強歩く合間に、異国情緒的な横浜っぷりを思いっきり堪能する。横断歩道を渡り、今や遊歩道となった『山下臨港線プロムナード』の高架を潜ると、巡視船や遊覧船の集まる船溜りの先に、明治中期の姿に復元された防波堤、通称『象の鼻』が海の中に横たわっている。昔はこの辺りは荒廃した感じで、猫の死骸が浮かんでいたり、錆びたレールの残った引込み線も草ぼうぼうで、臨港線高架も不気味な鍾乳石が出来るほど老朽化が甚だしく、赤レンガ倉庫方面に渡る鉄橋下にはダルマ船がギュウギュウに詰まって浮かんでいたものだが(そんな当時の姿は、TVドラマ『あぶない刑事』や往年の日活アクション映画で見ることが出来る)、今は完璧に整備され、観光地ヨコハマの一部と化している。そんなゾーンの左手に、屋根に盛土をして展望テラスにした、ガラス張りの洒落た休憩施設『象の鼻テラス』があった。ここでは毎週日曜に『ZOU-SUN-MARCHE』という市が開かれているのだが、今回東京と神奈川の新鋭古本屋さんが集まり、明日までの二日間、古本を並べているのである。施設内は親子連れ・カップル・女子グループで賑わい、右手海側に主に飲食ブースが並び、フロア中央ではライブパフォーマンスが進行中。入ってすぐのガラス際に「Tweed Books」(2015/07/10参照)と「タナカホンヤ」(2012/05/29参照)が仲良く肩を並べ、大きな平台を前にニコニコとしている。左奥では「たけうま書房」(2013/03/29参照)「books moblo」(2011/11/10参照)「SUNNY BOY BOOKS」(2013/06/03参照)+ZINEのお店が稲妻型に台を並べて、景気よく古本を販売中である。並ぶ本はキレイな本が多く、絵本・ビジュアルブック・詩集・ファッション・アート・音楽・自然などを軸に、女子寄り&子供寄りになりながらも、それぞれのお店を連想させるような本が数冊紛れ込んでいるカタチ。このマルシェに来た人と本との良い出会いを、願っているかのようである。表の芝生の丘には放浪中の古本屋さん「MAME BOOKS」(2014/11/08参照)も棚を組み上げている。この出店メンバーは明日になると一部が入れ替わるが、そちらも含めて充分注目に値する店選である。2010年以降に登場したこれらのお店が目指す店造り&棚造りが、恐らくこれから新しく誕生する古本屋さんの、スタンダードとしての、大きなひとつの流れとなることが予想されるからである…いや、もうなっているのだ。それは今までの古本屋界にはあまりなかった、風であり、良い香りであり、若さと新しさなのである。結局店主全員に面が割れているので、緊張しながらも楽しくお話しさせていただき古本を買い、そんなことを考えてしまう。古本だけ買ってテラスを離れ、冷たい潮風にほてった頬を冷やされながら、ぐるっと回り込んで象の鼻の突端まで歩く。そこで取り出したのは、今日一番の収穫である「books moblo」で千円で購入した、岩崎書店「ネコちゃんの花 ネコの童話集/安泰・絵」である。とにかく安泰の猫の絵が、すべてど真ん中ストライクのプリティーさで、ページをめくる度に目尻を下げ、激しく身悶えしてしまう…。
posted by tokusan at 18:39| Comment(7) | TrackBack(0) | 関東 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
古ツア様は今日は横浜でしたか。
私は今日は三鷹のジブリ美術館で開催中の特別展『江戸川乱歩の幽霊塔』を幼獣たちを連れて行ってきました。幼獣たちはあまり楽しくなかったようですが…。
帰りは盛林堂さんに立ち寄り、フォニャルフ棚より、城昌幸『死人に口無し』と帳場横の棚より、木々高太郎『網膜脈視症』を購入させていただきました。
最近、黒岩涙香を探していますが、なかなか見付かりませんね。店主さんからも「入るとすぐに売れてしまいます」と伺いました…。
Posted by 縦溝狭史 at 2015年11月22日 23:15
『江戸川乱歩の幽霊塔』を観に行かれましたか。うらやましい。そして本のお買い上げ、ありがとうございます。さらに帳場横の棚からもお買い上げとは、奮発しましたね。黒岩涙香…そのうち袖珍本や、ボール紙表紙本に手を出し始めるのでは…気をつけて下さいよ!
Posted by 古ツア at 2015年11月23日 19:15
黒岩涙香ですか・・、このコレクションはあの有名な方が本を書かれて、その後高齢になって
一括処分されたことがあります。無事に(!)ふたたび市場に出ることになったのは、個人的にはいいことだと思いました。このように、再び、コレクターが出現するのですから。ところで、当地に、新しく古書店が出現しましたが、その品そろえをみると、新たに古書店ができて、成功するのには、時間が必要だ、とつくづく思いました。
Posted by 広島桜 at 2015年11月24日 21:03
なかなか黒岩涙香は手に入りませんね。
とりあえずは旺文社文庫の『死美人』を探していますが、未だ遭遇していません。意外にも雄気堂さんも「取り扱ったことがない」と仰っていました。柏の太平書店さんでも「涙香は入手難しいですよ。市場でも神保町の老舗なんかが高値で買っちゃいますから」と伺いました。
ヤフオクで戦前の涙香本が出ていると入札するんですが、なかなか自主規制ラインでは落札できませんね(泣)

それにしても初め古本界に迷い込んだときは横溝正史と高木彬光を探していただけだったのに、今では黒岩涙香へいってしまいました(笑)げに恐ろしきは古本の魔力ですね(笑)
Posted by 縦溝狭史 at 2015年11月24日 22:43
広島桜様、縦溝狭史様。そうえいば旧乱歩邸には、手製装幀の涙香本や、春陽文庫の涙香がズラララララと揃ってました。28日のトークでは、そんな写真も披露するつもりです。
Posted by 古ツア at 2015年11月25日 19:19
死美人 旺文社文庫で3000円で他の出版社で700円の物もあります。店頭で見つからない時は是非日本の古本屋もご利用ください
Posted by 日本の古本屋ユーザー at 2016年01月02日 09:14
日本の古本屋ユーザー様。どうしても読みたいときは、検索するのが一番ですね。だが我らは、自らの足でお店におもむき、発見することを喜ぶ偏屈者たちなのです。何処かで見つけることが出来るか、それとも欲しい気持ちの方が勝るのか、常にそんな葛藤と戦っております。なんにせよどんな形であれ、探している本が見つかるのは、幸せなことであると思います。
Posted by 古ツア at 2016年01月03日 18:08
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