2015年12月19日

12/19神奈川・海老名 さがみ国分辻書房

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東口に出て、カーブするダイナミックな空中歩廊を東に進み、巨大原色商業施設『ビナウォーク』ビルの谷間の、日陰だが女子と子供で賑わう長細い広場に下り、さらに東に進んで行く。道路に突き当たったら南に曲がり、『中央公園口交差点』から再び東へ歩き続ける。『国分坂下交差点』を過ぎ、上り坂にちょっと足を掛けた所で、すぐに北に進路を採る。美しい斜度とカーブの坂をぐんぐん上がり、薄緑の『海老名歩道橋』を潜ると、古い大木や民家が現れ始め、時代をぐっと遡った雰囲気が漂い始める。さらに道なりに坂を上がり、右手に白い鉄骨の火の見櫓が見えてくると、左手が見晴らしよく開け始める。遠くに『相模国分寺跡』の史蹟らしい広い原っぱが清々しく臨める。坂をどうにか上がり切ると、そこは歪な形の丘の上の交差点になっており、その際に緑色の学習塾兼住宅が建っている。ところが窓には『古本 古書 珈琲』の文字が…ここは古本好き&ダジャレ好きの塾長が、その好きが高じて今年の十月に始めた古本屋さんなのである。聞けば教室をひとつ潰してお店にし、古本と共に珈琲も提供しているとのこと。横断歩道を渡って玄関に近付くと、まずは無料のリサイクル除籍本箱が展開。中に進むと、左におススメ絵本や三島由紀夫・原節子関連・単独行登山家加藤文太郎を飾ったラックがあり、右側に古本屋フロアが広がっている。ウッディな明るい空間で、古本屋というよりは、児童館などの図書室のようである。入口右横のカウンター内にいたご婦人に「靴のままどうぞ」とニッコリ招き入れられる。カウンター横にちょっとぐらつく本棚が一本あり、その奥に大きなテーブル席。フロアには、右に長い背中合わせの棚が一本、左に短めの背中合わせの棚が一本。左奥には木のベンチが置かれ、そこを壁棚が見守っている。カウンター横の棚には、日本文学の古書や絶版文庫が多く集まるが、中には非売品もある模様。長いフロア棚右側には、セレクト詩集・野坂昭如・永井荷風・絵本・随筆類・女流作家文庫・日本文学文庫・日本文学・日本近代文学・海外文学・文学評論・幻想文学・詩歌句。左側には絵本・宗教・精神・新書・江戸・古本・海外都市・旅・登山・歴史・近現代史が収まって行く。短い棚には、役者・テレビ・落語・児童文学・映画・音楽・コミック・美術・食が両面に集まっている。左壁にはミステリ・時代小説・海外ミステリ文庫が並び、下には横積みのダブり本やLPレコードあり。奥には日本純文学文庫を並べた棚が一本あり、映画パンフを飾った壁ラックと肩を並べている。これでフロアの棚は全部だが、実は入口正面奥の廊下にも、古本棚が設置されている。誰もいない薄暗い教室の前を過ぎ、本棚があるために狭くなった廊下に身を寄せる。村上春樹・吉行淳之介・開高健・北杜夫・井上ひさし・芥川賞&直木賞・小林信彦・宮脇俊三・中上健次・本関連・司馬遼太郎・松本清張・川本三郎・南方熊楠・藤沢周平・山形関連がビッシリ。各ジャンルには単行本と文庫本が入り交じり、塾長が己の眼と脚で集めた古本たちが、質実に堅実にその奮闘を形作っている。値段は普通で、良い本にはしっかりとプレミア値が付けられている。ぐるぐると二周して、講談社「拳銃を磨く男/島田一男」ウェッジ文庫「荷風のいた街/橋本敏男」を購入する。あぁ、この塾に通う子供たちは、必ず古本屋を通って教室に入り、また古本屋を通って、帰路に着くのだな。勉強はいつでも大変だが、それはそれで羨ましい…。

帰りに気まぐれに相鉄線に乗り込み、ツアーしてからまだ一週間も経っていない鶴ヶ峰の「往栄堂書店」(2015/12/13参照)をテクテク訪ねる。いや、前回とお店の棚は寸分変わっていないのだが、何となく来てみたかったのだ。山口書店「虹の花びら/火野葦平」を帳場に差し出すと、ご婦人は私の顔を見て「アラっ!」と小さな声を上げ、どうやら覚えてくれていた模様。続いて差し出した本を見て「渋いわね」とポツリ。500円で購入し、そういえば今日は外に100均棚が出ていたなと気付きつつ、駅へテクテク引き返す。
posted by tokusan at 19:30| Comment(6) | TrackBack(0) | 関東 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
来年NHK大河ドラマ「真田丸」の如く絶対退かない風邪をひいて憧憬畏敬の古ツアー様にお目もじ叶わぬこと子々孫々までの名折れともいうべき不覚。 それにつけても古ツアー記事の見事なこと。特に店までのアクセス描写は感涙禁じ得ず。そうなんですよ川崎さん、辻書房の最大の売りは奈良期の国分寺、江戸期の大山街道辻宿場の周辺に展開する歴史的風情なのです。だから、「さがみ国分辻書房」のネーミングなのです。 今は約六千冊ですが、克明に小山さんの瞬間記憶の襞から紡ぎだして書いてもらったジャンルの多様さに比べたら冊数があまりに貧弱です。再来年からさらに棚を一気に増やして本格参戦しますので、またその節にお出でください。ご来店誠にありがとうございました。本日店番は拙糟糠妻が御相手致しました。
Posted by 辻書房 at 2015年12月19日 21:01
今日は鬼の居ぬ間にお店を楽しませていただきました。風邪、早く治るとよいですね。また伺いますので、そのときはウィスキーで一杯よろしくお願いいたします!あ、奥様にもよろしくお伝え下さいませ。
Posted by 古ツア at 2015年12月19日 21:38
今日19日に新潟・沼垂に写真集中心の書店〈BOOKS f3〉がオープンしたのを見てきました。新刊と古本を扱ってます。(FISH ON〉から歩いて3分。機会あったらツアーお願いします。
Posted by 南陀楼綾繁 at 2015年12月19日 23:50
飲んべえは忘れない。ひと瓶四万円=シングル二千円のスコッチウィスキーのアンバサダー12の刷り込まれちまった約束を。しょうがないなぁ。真冬の一箱古本市でもあらば出張サービス致します。その節はお代として是非とも希書稀書奇書貴書を一冊私に寄書して下さい。 ※「贅沢貧乏古本屋日記」はFacebook上で掲載中。webで 辻書房 と検索すればどなたでもFBログインせずに読めます。
Posted by 贅沢貧乏古本屋日記 番外編 at 2015年12月20日 11:07
南陀楼綾繁様。新潟トーク、おつかれさまでした。そしてまさかの新店タレコミありがとうございます。新潟、少しずつ新しい風が吹き始めているようですね。いつの日か突撃して参ります。
Posted by 古ツア at 2015年12月20日 14:36
贅沢貧乏古本屋日記様。いやいや、辻書房に再訪した時に、味わわせていただきますよ。一瓶空けてしまうほどに!どうか、覚悟しておいてください!
Posted by 古ツア at 2015年12月20日 14:38
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