青春18きっぷを使い、まだ暗く鋭い寒さの早朝から東海道線を乗り継ぎ、六時間で蒲郡に到着。ここからは、一旦懐に青春18きっぷを仕舞い、赤く丸っこいローカル線然とした名鉄の蒲郡線と西尾線で、さらに一時間弱。墨色の瓦が乗った家並みの向こうには、鉛色の穏やかな海が、つかず離れず見え隠れする。曇り空の下の沿線のそこかしこで、実ったはっさくや蒲郡みかんが、古い町に明るい黄色とオレンジ色を、けなげに添えている。そんな景色を見ながら降り立った西尾駅は、わりと大きく広がる郊外の平坦な街であった。高架島式ホームから階段を下り、西出口へ。昨日の天気予報で言っていた雨は、まだ降り始めない。だだっ広いロータリーには『三河の小京都・西尾』とある案内板があり、ここが城下町で栄えていたことを初めて知る。そこからナナメに北に向かうと、すぐに『花ノ木3丁目交差点』なので、大きな『中央通り』を北西に向かって進む。現代的な街中で、小京都らしさはまだ何処にも見られない。やがて小さな川を『三條橋』で渡って交差点に到ると、その北東際で現代建築的住宅兼店舗の大きな古本屋さんが、一風変わった店名の看板文字を金色に光らせ、整備された通りを見下ろしていた。表には何も出ていないので即座に店内に入ると、天井が高く見通しの良い広々とした空間である。入口右横にはコミックの入ったカラーボックスがあり、ウィンドウ下には右壁までビジュアルムックの並んだ長いラックが伸びている。下にはたくさんのレコード箱も並ぶ。左右の壁には本棚が設置され、左奥には飾り棚とガラスケースが置かれ、右奥にはソファーも置かれた横向きの行き止まり通路が一本。フロアには縦に背の低い背中合わせの棚が三本置かれている。中央奥の広い帳場にはご婦人がひとり。左側奥にバックヤードがあるらしく、パソコンの操作音と、時折男性の咳払いが聞こえてくる。深呼吸して、棚脇の児童書絵本ラックに視線を走らせてから、右端の通路へしずしず進む。足元には、児童文学&絵本・「銀花」・全集本・天理教本・横溝正史文庫&歴史などの箱が存在。壁棚にはカオス気味に、文学・社会・思想・宗教・歴史・技術・学術などが、古書(ここは値段お安め)も多く交えて並び、そのまま奥の棚に辞書・大判豪華本・書・骨董などが続く。フロア棚には時代劇文庫とカラーブックスが収まり、第二通路には少し色褪せた日本文学文庫と海外文学文庫が集合している。第三通路の右側には教養&雑学系文庫・カラーブックス・ノベルス・新書が並び、左側には雑本・文学復刻本・句集が並ぶ。その下には古いレコードを収めた書類ケースがズラズラと整列している。左端通路は右にコミックがのぺっと並び、左にはビジネス・社会・ノンフィクション・文学復刻本・日本文学・戦争がカオス気味にクロスしながら収まり、奥の飾り棚に古書・俳句関連・郷土関連・古雑誌・紙物・尾崎士郎が続いている。ガラスケースにも尾崎士郎が恭しく連続し、付録漫画・短冊なども飾られている。右奥の行き止まり通路には、松本清張・江戸・美術・古書(多め)・郷土史・日本純文学・小川国夫が並び、ソファーの上には古書箱も置かれている。ちょっと掴みどころの無い並びの棚が目につくが、本の量も古書の割合も多めで、なかなかに魅力的である。しかしその傾向は概して硬めと言えよう。値段はちょい安〜普通で、古書にはプレミア値が付いたものも多かった。金園社「標準人体解剖図/草間悟監修」道成寺護持会「三ツの御話 道成寺読本」ワニマークのツイン・ブックス「日本の怪談/安田孝明」「西洋の怪談/中岡俊哉」蒼樹社「續日本の貞操/五島勉編」(恐らくこれが今日一番の良い買物か。1500円!)を購入する。結局この街の小京都らしさを味わうことなく駅へ引き返し、逆の道のりで東京へ帰り始める。途中、蒲郡で乗り換えの間隙を突き、駅近くの「花木堂書店」(2011/02/12参照)を急襲するも、暗い店内をバックに、ドアにだらりと札の下がった定休日。残念がる間もなく、額に雨粒が落ちて来て、いよいよ今夜の東京の雨に追いつかれたことを知る。
2015年12月23日
12/23愛知・西尾 古本の中央
青春18きっぷを使い、まだ暗く鋭い寒さの早朝から東海道線を乗り継ぎ、六時間で蒲郡に到着。ここからは、一旦懐に青春18きっぷを仕舞い、赤く丸っこいローカル線然とした名鉄の蒲郡線と西尾線で、さらに一時間弱。墨色の瓦が乗った家並みの向こうには、鉛色の穏やかな海が、つかず離れず見え隠れする。曇り空の下の沿線のそこかしこで、実ったはっさくや蒲郡みかんが、古い町に明るい黄色とオレンジ色を、けなげに添えている。そんな景色を見ながら降り立った西尾駅は、わりと大きく広がる郊外の平坦な街であった。高架島式ホームから階段を下り、西出口へ。昨日の天気予報で言っていた雨は、まだ降り始めない。だだっ広いロータリーには『三河の小京都・西尾』とある案内板があり、ここが城下町で栄えていたことを初めて知る。そこからナナメに北に向かうと、すぐに『花ノ木3丁目交差点』なので、大きな『中央通り』を北西に向かって進む。現代的な街中で、小京都らしさはまだ何処にも見られない。やがて小さな川を『三條橋』で渡って交差点に到ると、その北東際で現代建築的住宅兼店舗の大きな古本屋さんが、一風変わった店名の看板文字を金色に光らせ、整備された通りを見下ろしていた。表には何も出ていないので即座に店内に入ると、天井が高く見通しの良い広々とした空間である。入口右横にはコミックの入ったカラーボックスがあり、ウィンドウ下には右壁までビジュアルムックの並んだ長いラックが伸びている。下にはたくさんのレコード箱も並ぶ。左右の壁には本棚が設置され、左奥には飾り棚とガラスケースが置かれ、右奥にはソファーも置かれた横向きの行き止まり通路が一本。フロアには縦に背の低い背中合わせの棚が三本置かれている。中央奥の広い帳場にはご婦人がひとり。左側奥にバックヤードがあるらしく、パソコンの操作音と、時折男性の咳払いが聞こえてくる。深呼吸して、棚脇の児童書絵本ラックに視線を走らせてから、右端の通路へしずしず進む。足元には、児童文学&絵本・「銀花」・全集本・天理教本・横溝正史文庫&歴史などの箱が存在。壁棚にはカオス気味に、文学・社会・思想・宗教・歴史・技術・学術などが、古書(ここは値段お安め)も多く交えて並び、そのまま奥の棚に辞書・大判豪華本・書・骨董などが続く。フロア棚には時代劇文庫とカラーブックスが収まり、第二通路には少し色褪せた日本文学文庫と海外文学文庫が集合している。第三通路の右側には教養&雑学系文庫・カラーブックス・ノベルス・新書が並び、左側には雑本・文学復刻本・句集が並ぶ。その下には古いレコードを収めた書類ケースがズラズラと整列している。左端通路は右にコミックがのぺっと並び、左にはビジネス・社会・ノンフィクション・文学復刻本・日本文学・戦争がカオス気味にクロスしながら収まり、奥の飾り棚に古書・俳句関連・郷土関連・古雑誌・紙物・尾崎士郎が続いている。ガラスケースにも尾崎士郎が恭しく連続し、付録漫画・短冊なども飾られている。右奥の行き止まり通路には、松本清張・江戸・美術・古書(多め)・郷土史・日本純文学・小川国夫が並び、ソファーの上には古書箱も置かれている。ちょっと掴みどころの無い並びの棚が目につくが、本の量も古書の割合も多めで、なかなかに魅力的である。しかしその傾向は概して硬めと言えよう。値段はちょい安〜普通で、古書にはプレミア値が付いたものも多かった。金園社「標準人体解剖図/草間悟監修」道成寺護持会「三ツの御話 道成寺読本」ワニマークのツイン・ブックス「日本の怪談/安田孝明」「西洋の怪談/中岡俊哉」蒼樹社「續日本の貞操/五島勉編」(恐らくこれが今日一番の良い買物か。1500円!)を購入する。結局この街の小京都らしさを味わうことなく駅へ引き返し、逆の道のりで東京へ帰り始める。途中、蒲郡で乗り換えの間隙を突き、駅近くの「花木堂書店」(2011/02/12参照)を急襲するも、暗い店内をバックに、ドアにだらりと札の下がった定休日。残念がる間もなく、額に雨粒が落ちて来て、いよいよ今夜の東京の雨に追いつかれたことを知る。
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10数年前から厳しく当方を注文の仕方など指導されました。そのおかげか、
随分いいものを安く入手できました。ああ、「古本の中央」なつかしい。