
●福島・梁川「ファミコンショップヒーロー梁川店」
乗って来た電車のすぐ後ろで線路を渡り、駅舎を抜けると広く殺風景な駅前ロータリーである。そこを突っ切り、交差点を渡って北に進むと、駅のホームからすでに見えていた元『靴流通センター』であることが露なお店が、廃墟の雰囲気を湛えて静かに佇んでいた…この店名…秩父にかつてあったお店(2011/06/07参照)と同系列ということか…。外壁や看板に踊る風化しかけた文字は、リサイクル店であることを如実に表しているが、それでも『古本』『和本』などの文字に期待を寄せてしまい店内へ。広々としているが、今のところトレカのガラスケース・DVD&ゲーム棚・ファミコン&スーファミカセットが大量に下がるパーテーションしか目に入らない。しかし左側奥に目を凝らすと、場違いな掛軸ワゴンが存在し、骨董類ガラスケースも置かれている…よい兆しだ。では、古本は何処だ!と奥のコミック通路に分け入るが、行けども進めどもコミックばかりで、広大なアダルトゾーンの手前でようやく一本のラノベ&文庫&単行本棚を発見するに留まる。本は激安だが、まったく色めきたてない自分が、そこに悲しく屈んでいた。講談社文庫「水の中の八月/関川夏央」を購入し、サッサと駅へ戻る。

●福島・福島「ブックタウン野田町店」
駅の待合室と一体化した明け透けな蕎麦屋で昼食を摂り、福島駅に引き返す。地下の東西自由通路を経て、初めての西口に出る。ロータリーから西に離脱すると、地方都市の繁華さはすぐに影を潜めてしまう。真っ直ぐ西に『県道70号』を歩いて行くと、ジリジリと正面から山塊が近付いてくる。駅から500m強の六つ目の信号で北に向かい、うねる道をしばし歩く。『学習センター』前を通過し、一本目の脇道を住宅街に入り込むようにして西へ向かうと、福島交通『桜の聖母学院バス停』前に、店頭が雑然としたお店がこつ然と現れた。チェーン店ではあるが、ちょっと期待で来そうな面構えではないかと期待し、店内に突入する…が、期待は見事に外れる。アダルトとコミックメインの通路の狭いお店である。一般ゾーンにもアイドル系写真集&DVDと成年コミックが幅を利かせてしまっている。唯一左端通路の壁棚に、海外文学文庫・ラノベ・時代劇文庫が一部並んでいるが、それさえも通路に積み上がったアダルトDVDダンボール箱群に遮られ、あまり見ることが出来ない。肩と共に視線も落とすと、DVDダンボールの表蓋には、AV嬢の写真が大きくプリントされ、彼女の口から出た吹き出しには「宅急便のお兄さん、ごくろうさまです♥」と書かれていた…くくっ、何という新しい気配りかっ!と感心しつつ、角川文庫「悪魔くん 貸本まんが復刻版/水木しげる」を購入し、お店から敗走する。
駅に戻って再び長い自由通路を通って、今度は東口へ。駅前商店街の古本も扱う新刊書店「政文堂書店」(2012/08/08参照)が喫茶店になっている悲しい現実を目撃し、その先の「ブックオフ福島駅前通り店」で資料用の春陽堂江戸川乱歩文庫「孤島の鬼/江戸川乱歩」を購入し、ついに大した収穫もなく帰路に着くことを決意する。