そんなことを偉そうに考えながら、終点で電車を降りる。駅前に出て、拡張工事中の『中央通り』を北上し、『連雀町交差点』で東へ。400mも歩けば『成田山別院』の脇にたどり着き、塀沿いと境内に百店ほどのお店が広がった、骨董市とご対面する。まだ午前十時なのに大量のお客が押し寄せ(外国人多し)、ただでさえ狭い通路を、牛歩戦術で埋め尽くしている。見たところ、今回は見慣れぬお店ばかりなので、古本心が激しくトキメキを開始。古本を探して、紙物の箱を漁り、各店舗の奥にも目を配り、市内では珍しいとも言える本の形を探し求める。「少年」付録の鉄人28号リモコンセット(6000円)やジャコメッティの細長〜い猫彫刻(複製。40000円)にもトキメキつつ、スークの如き狭い通路を行ったり来たり。まずは表の塀沿いに紙物箱を大量に並べたお店から、手製の保護表紙が付けられた春江堂書店「殺鬼太郎/寺谷大波」をつかみ出し、店主と値段交渉。すると「800円…と言いたいところだけど、500円でいいよ!」と積極的に値下げしていただく。この本、書き出しがクレイジーで『昔、有名なオーサー王の時代に、英吉利のコールンウォールと云う土地の、海際に近い所に太郎と云う名の子供を持って居る、正直な百姓が一人居りました』と、初っ端から大胆な和洋折衷が行われている。内容は…殺鬼太郎がその名の通り、イギリス中の鬼を殺りまくってます…。続いて境内のブルーシートの上に物品を並べただけのお店が、しっかりとした物質感を持つ古本を詰めた箱を置いているのに目を留める。そこから電光石火の早業で、牧陽社「冒險科學小説 化石の森/ジュール・ベェルヌ」フタバ書院成光館「童謡集 太陽と木銃/北原白秋」(函ナシ。戦中の出版なので国威発揚啓蒙詩も多く含まれるが、それでも都市や土木や鉄道に関する詩は、今読んでも一級品である。また頻出する独特な擬音に口あんぐり。ホラ、ラツルラルラ、ソラ、ラツルラルラ!)を取り出し、シートの上でくつろぐオヤジさんに差し出すと「おっ、いいところを…両方とも500円は欲しいところですが…」と言われたので即座に承諾し、千円札をビシッと渡す。他にも古書箱文庫箱などを見かけるが、そちらでは何も買えず。ちょっと古書に出会う確率が高かったので、満足出来る一時間となった。この市は毎月28日に開かれている。収穫を携え意気揚々と来た道を戻って行く。途中寄り道して「Agosto」(2013/04/14参照)を見に行くが、残念ながら今は閉店し、別な黒いレコードカフェに成り代わっていた…。
本日の収穫。ベルヌの「化石の森」は実は全三冊の中巻。他に「怪鯨艇」「大渦巻」がある。どうにかして揃えたいものだ…。

