2016年09月04日

9/4「カストリ書房」はまだ古本を売っていなかった…

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『近代〜戦後の売春に関する貴重資料の発掘・復刻専門出版社』「カストリ出版」が、昨日吉原に専門書店をオープン。古書も扱っているとのことなので、意気揚々と駆け付けることにする。観光客で賑わう真夏の浅草を北に通り抜け、『馬道通り』から『土手通り』に入り、やがて『吉原大門交差点』にたどり着く。ガソリンスタンド前には、その昔に遊び帰りの客が後ろ髪引かれる思いで遊郭を振り返った場所と言う、『見返り柳』が熱風に揺られて立ち尽くしている。とは言ってもこの柳は、もはや数代を経ているもので、決してオリジナルではない。西を見ると、道は大きく江戸時代と同様にクランクし、異界への入口として機能しているようだ。ここから先の街中は、ソープランドと情報喫茶店が多くひしめいているのである。おずおずとその異界の中に入り込んで行く。道沿いには、『全日本特殊浴場協会連合会』の事務所があったり、ただの中華料理屋がわざわざ『ラーメンランド』という看板を掲げていたり、不思議な刺激にも溢れている。二度目のカーブで直線道になったところで、すぐさま南への裏道に入り込むと、鄙びたモルタル建築一階に開店の祝いの大きな花輪が置かれているのが目に入り、そこが新しく出来た書店兼出版社であることに気付かされる。質素なサッシ扉の前には『カ・ス・ト・リ』と入った純白の暖簾が提げられ、まるで昭和初期のミルクホールのような雰囲気を醸し出している。中に入ると、すでに何人かの好事家が先客としており、本を一生懸命に物色している。左に何も入っていない小さな棚と帳場があり、パーマでローデンストックフレームのメガネに白ワイシャツのカストリ感ゼロの青年がお客さんの応対に追われている。右には小さな特殊な畳で出来た上がり框があり、二十種ほどの自社出版物を面陳している…遊郭ガイド復刻・花街めぐり・カストリ雑誌記事復刻・エロ記事描き文字集・静岡遊郭本・吉原石鹸・特殊飲食店鑑札シール・同系のリトルプレス類…あっ!この復刻されている「白線の女/中村三郎」、オリジナル本を持ってるぞ!確か沼津の「十字堂書店」(2015/12/10参照)が閉店セールをやっていた時に駆け付け、安値で入手したはずだ…心のアンテナにただ引っ掛かった本であるが、そうか、復刻されるような貴重な本だったか、と改めてニヤリとする。だが、古本は何処にも並んでいないな…取りあえずカストリ出版「全く女性街ガイド/渡辺寛」「全國 遊郭案内/日本遊覧社編」「全國花街めぐり/松川二郎」の豆本を手にして帳場へ。精算しながら「これからもっと本棚を増やしたりするんですか?」と聞くと「う〜ん、そうですね…あんまり増やしても仕方ないんで、レジ前に一本小さい棚を置いて、古書でも並べようかと思っています」「そういえばまだ古本はないですね?」「いや、実はまだ古物取扱の鑑札を取ってないんですよ。エヘヘヘへ」…そうか、古本がこのお店に並ぶのは、まだちょっと先らしい。この調子だと、早くても年末くらいだろうか。その時に改めてツアーすることにしてお店を出る。それにしても、スゴい所に面白いお店が出来たものだ。表通りに出て、そのまま物珍し気に、真っ昼間の紅灯の街を闊歩。気になるお店たちをキョロキョロ見ながら西へ抜けて、さらに真夏の夢のように静かな入谷の街をトボトボ進んで、帰路に着く。
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写真は豆本三点と、家で本の山から引きずり出した東京ライフ社「白線の女」元セロファン付オリジナル本。450円で購入している…読まなければ…。
posted by tokusan at 17:42| Comment(6) | TrackBack(0) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
カストリ書房のWEBへ訪問しました。購入された復刻版も掲載されており、今後の
行方が楽しみです。それにしても、古本ですね、どのくらい集めることができるのか、
心配でもあります。以前、史録書房が発行した2冊の本を思い出しました。今でも、手元に
あります。
Posted by 広島桜 at 2016年09月05日 18:43
まったく稀有な出版社&書店であります。古書はしばらくお預けですが、特殊な復刻されないはずの本が復刻されていますので、それだけでも楽しかったりします。もしかしたら古本は、復刻した元本を並べたりもするのでしょうか。また同好の士たちのリトルプレス類もちらほら並んでいますので、こちらも強力なオーラを放っております。
Posted by 古ツア at 2016年09月05日 18:59
東京ライフ社 私の祖父が数名の方と立ち上げた出版社なんです💧
数年前に亡くなってしまいましたが、色々と話を聞いたのを覚えています☺
Posted by 匿名 at 2017年11月15日 03:31
匿名様。!!!!おじいさまが、東京ライフ社創業者のおひとり!うひゃぁ。色々面白い本をこれでもかと出していた出版社ですよ。う〜ん、うらやましい。もしかしたら家には、ライフ社の本がごっそりと…想像しただけで、震えが来ます!
Posted by 古ツア at 2017年11月15日 15:20
さすがにごっそりとはありませんが...
本の出版の仕方は色々教えてくれました。
戦犯の人の扱い方とかも得意気に話してましたよw
界隈のゴロツキチンピラが席や順番を譲ってくれたそうです。
三島氏との会話を教えてくれたのですが、記憶が朧気で……
すでにできているキャッチコピーを見せて「帯に名前使って良いですか?」「いいぞ」
だそうです。
Posted by 匿名 at 2017年11月17日 02:50
匿名様。うわぁうわぁ、貴重なエピソードの数々。それにごっそりではなくとも、あるんですね!素晴らしい!これからもどうぞ大事にして下さいね!
Posted by 古ツア at 2017年11月18日 17:19
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