この不器用な俺が、こんなにも物質感を上昇させる保護&飾りを、古本に施せるなんて!と大げさに感動しながら、先輩店員に値付をしてもらい、ソッと売場の棚に収めておく。午後からは雨も上がり、お店は次第に混雑を極めるようになる。特に二階で行われた読書会前後は、すべての通路に人が立ち、ちょっとしたラッシュ状態に…店内が人いきれに満ちている!と驚いていると、笑顔の古本神・北原尚彦氏にふいに声をかけられる。何と本日の二階の読書会はホームズ本なので、参加しに来たとのことであった…やっぱりすげぇな、この人は。今日は他にも二三のお客さんに声をかけていただき、しっかり古本屋バイトをしているところをチラ見していただく。そのままずっと走り続けて手を動かし続けて、気づけば午後六時半となり、最終日にここから仕事を抱えると、終わらずに明日も出勤することになりそうなので、残り三十分をレジ待機だけに専念する。…ふぅ、このお店に働きに来て、勤務時間中に、初めてノンビリと過ごしている気がする。いや、五日間で合計37時間30分、基本的な仕事ばかりだったが、古本屋さんの基礎の部分って、本当に地味で大変で終りがないと痛感する。でもこの無限基礎仕事が、店に来るお客さんが棚から抜き出す、喜びの古本獲得体験へと化学変化して行くのである。本当に古本屋ツーリストとして、貴重な体験をさせてもらいました。バイトしたお店は、神保町の「@ワンダー」(2009/01/21&2014/05/22参照。ただし二階は紆余曲折を経て、半分は移転して来た「ブックカフェ二十世紀」に)。突然「古本屋バイト体験させてください!」のリクエストを快く受け入れてくれた店主の鈴木氏、それに『靖国通り』側の1レジで、忙しいのにこのポンコツオヤジを何くれなく面倒を見ていただき、間断なく仕事を作り出して与えてくれた、先輩店員の藤田氏と伊藤氏には、とにもかくにも大感謝である。奥の2レジの皆さんと、二階のレジ&カフェの皆さんにも、本当にお世話になりました。最後にこのバイトの思い出に、思い切って古本を一冊購入する。初日から1レジの左前方で存在感デカく目立っており、ずっと売れ残っていた東光出版社「最新探偵小説全集10 笑う肉仮面/山田風太郎・江戸川乱歩監修」(函ナシ)を五千円で購入する。途端にレジの周りに集まっていた先輩たちから「函が…」「函があればねぇ〜」と声が上がる。…あぁこんな風にして、いつの間にか裸本が増えて行くのである…本意ではないのだが、私はいつのまにか裸本コレクターと化しているのではないだろうか…。
今回のバイト体験は、12/2のトークイベントに充分反映させるつもりなので、みなさま12/2(金)開催『古本屋の光と影』(詳しくは2016/11/16参照)を、よろしくお願いいたします。そして古本屋雑用レベル1くらいには達していると思うので、ぜひウチでバイトしてくれと言う奇特な古本屋さんがあれば、ご連絡ください。地球の裏側からでも駆け付けて働きます!
先週土日の大阪&京都行脚からノンストップで動き続けてきて、明日は今年最後の「みちくさ市」に参戦。相変わらず妙な古本たちとともに、己の人生と魂を分譲した新刊「古本屋ツアー・イン・京阪神」携えて行きますので、首をニョロニョロニョロニョロ長くして、午前十一時から午後四時まで、秋の雑司が谷でお待ちしております!

