2016年12月20日

12/20埼玉・与野 三輪車

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古本神・森英俊氏より、本も少し売っている懐かし物系ショップを教えてもらったので、期待に胸を躍らせながら大慌てで駆け付ける。東口に出ると、小さく見どころなく雑駁とした駅前。すぐの駅前商店街を南南東に迷い無く進んで行くと、右手にほどなくして白い小ビル一階を、すっかりパッキングされた玩具で覆ったような店頭が現れる。それは、雑然としているわけではなく整然としているのだが、それでも何処か異様な光景となっている。たくさんのソフビ人形やフィギュアや企業ノベルティを並べたウィンドウには『古いおもちゃ買います!!』『1980年代までの!ソフビ・怪獣・ヒーロー物・超合金・ブリキのオモチャ◉旧玩具全般!』『あなたの家の押し入れや、倉庫に!古いオモチャが眠っていたら、お電話ください!』と、変なところに“!”が入る貼紙。手動扉を開けて中に入ると、結構広く通路が何本にも枝分かれし、上から下まで玩具に埋め尽くされた空間である。通路は広く歩き易く、棚やガラスケースや物の集合体が形作っているのだが、天井からは繋げた玩具や駄玩具が多数吊り下がり、棚下の通路には大判の本やブツが置かれているので、境目が曖昧な洞窟状となっている。左側奥の通路では、椅子に座った麿赤児風オヤジさんが、『あしたのジョー』最終回のようなポーズでスウスウ幸せな寝息を立てている…しばらくはソッとしておこうか。それにしても、恐るべき玩具に満ちあふれた店内で、触れたらそこからこの身も玩具と化してしまいそう。ソフビ・フィギュア・メンコなどの駄玩具・キャラ物・ヒーロー物・豆本漫画・ぬりえ・カルタ・ノート・ブロマイド・プラモデル…足元に絵本はあるが、古本はいったい…と奥へ入り込んで行く。すると左奥の中央の島の周辺に、付録漫画・特撮本・カード類・ヒーロー図鑑&百科事典・カバヤ児童文庫・「キンダーブック」・旧教科書・図鑑などが取り込まれているのを発見する。ふむふむ、おっ、野村胡堂の「悪魔の王城」がある…この少女クラブ付録の大判時代劇冒険漫画は読んでみたいなぁ…観光絵葉書もあるぞ…などとこっそり楽しんでいると、オヤジさんが「アッ!」と目を覚まし、こちらににこやかに駆け付けてきた。「すいません、寝ちゃってました」「いえいえ、大丈夫ですよ」「何かお探しですか」「あ、古い本を…」「本ですか。本は…この辺りですねぇ」「そうですね。ここに集中していますね」「どうぞゆっくりご覧になってください」…と言うわけで、しばらくじっくりと丁寧に掘り起こしたりしてみる…。基本は懐かし系玩具屋さんだが、少し本もあり。紙物は大いにあり。タイミングが良ければ、良い出物に出会えそうな予感を与えてくれる品揃え。相場より安めの値がまた嬉しい。…おっ、ここには和本が少々。すると値は付いていないが気になる一冊を見つけたので、すでに手にしていた本とともにオヤジさんに差し出してみる。すると「あぁ、値段ないですね。ちょっと待ってて」と奥の入り込めない通路に向かい、電話をかけ始めた。ところが相手は出ない模様。戻ってきて「いや、本はね、弟がやってるのよ。だから聞かないと値が分からなくて。う〜ん、どうしようかな。じゃあ近くなんで、ちょっと聞いて来ようか」と、一旦お店を閉めて自転車で急行することに。その間私は、入口外の椅子に座り、看板の上から顔をひょっくり出し、見知らぬ街を十分ほど眺めて暮らす。お!オヤジさんが自転車を華麗に疾走させ、カーブを曲がってきたぞ!自転車を停め、階段を駆け上がり、鍵を開けながら「すいませんでした」とにっこり笑う。聞けば作家物と言うことなので、値段は1500円。安くもあるし、せっかく自転車で行き来していただいたので、迷わず買うことにする。富里昇進堂 少女文庫「はかなき生立/ゆかり草著 紫峯画」小学館「機械の図鑑」を購入する。すると突然、「どっか悪いとこないですか?」と唐突に聞かれる。「い、いえ…」と答えると「いやなにね、気功をやってるもんで。体にいいんですよ。もし悪いとこが出たら、来て下さい」「ハイ。また何か買うついでに、参ります」と、当たり障りのない返答をしておく。うむ、楽しかった。こういうお店に出会うと、またレトロ玩具屋巡り(もちろん目的は古本である)に火が点いてしまいそうだ。

収穫はもちろん大正三年刊の「はかなき生立」であるが、奥付にあるシリーズ『少女文庫』の説明が可笑しくてたまらない。『少女文庫はお伽文庫の姉さんで悲惨、不幸等有とあらゆる各冊おもしろき事柄を涙の出るような著者独特の筆にて成りたるもの家庭教育として頗る趣味あり実益ある良書であります』とあるのだ。あらゆるおもしろき事柄を説明する語が、“悲惨”と“不幸”しかないのが、何とも恐ろしい…。ちなみに妹である『お伽文庫』のラインナップを見ていると、「探偵少女」「探偵少年」の気になる二冊を発見してしまったので、頭の中の『読みたい本リスト』に刻み込んでおく…いつか出会えるかなぁ…出会えない可能性の方が高そうだなぁ…。
posted by tokusan at 20:37| Comment(4) | TrackBack(0) | 関東 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
このお店は何度か行ったことがあります。
趣味でハロウィンマスクを蒐めている関係で玩具関係も守備範囲なもので。
いやこんなところまで探索されるとはビックリです。
ちなみに反対側の駅前に何年か前まで小さい古本屋がありました。
思えば町の古本屋はどんどん消えて行って絶滅の危機に瀕していますね。
寂しい限りです。
Posted by ALI at 2017年01月02日 02:52
ハロウィンマスク!もしや蒐集品を、壁一面にズラッと飾っているのでは…。そして与野にそんなお店があったとは、まったく知りませんでした。ツアー出来なかったのが、返す返すも残念です。
Posted by 古ツア at 2017年01月03日 15:18
古ツア様

>そして与野にそんなお店があったとは、

時間の感覚がおかしくなっていて数年前と書きましたが
考えてみればもうかなり前でしょうね。
現在駅前の宝くじ売ってる店と豆腐屋のあいだ辺りでした。

>もしや蒐集品を、壁一面にズラッと飾っているのでは

お察しの通りで、、、
古書と映像ソフト、maskの収納に3部屋使ってますが
予算の関係でどれもこれも中途半端ですね。
森英俊氏、日下三蔵氏、大瀧啓裕氏(「翻訳家の蔵書」読書中)の書架を見るとため息が出ます。
なお、maskコレクションの一部は20年近くやってるサイトにUPしてます。
名前にリンクしときましたが部屋は壁紙のような感じです。
もう本が置けない、、、、
Posted by ALI at 2017年01月03日 18:24
ハロウィンマスクと言うから、もっと簡素なものを想像していましたが、物凄く貴重なコレクションじゃないですか!こりゃ、そりゃ、占領しますよ!でも占領するほどの価値ありです。もうその眺めは、壮観でしょうね。いや、本当に恐れ入りました。素敵です!
Posted by 古ツア at 2017年01月04日 19:16
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