2017年01月18日

1/18侘しい古本屋犬走り

高円寺近辺でお仕事。本当は今日から始まる銀座『松屋』の「第33回 銀座古書の市」に行くべきなのだが、残念ながら疲れて、踵が軽やかに地を蹴られぬのだ。なので日和ってあきらめて、高円寺の古本屋を彷徨おうと思ったのだが、折り悪く今日は定休日の多い水曜日。だが、あそこならば盤石の営業をしているはずだと、『あづま通り』を進んで「越後屋書店」(2009/05/16参照)前。もうここ十年ほどは、お店も店主も、いつ来てもそのままの変わらぬお店である。ほとんどの人が立ち止まることなく、お店の前を素通りして行く。だが珍しいことに、木の文庫ワゴンを眺めていると、隣りでアグレッシブに若者が身を突然乗り出し、本を眺め始めたのだ…もしかしたら定点観測店なのだろうか…あ、何も買わずに離脱した。店頭をすぐに見終わり、店舗兼住宅脇の犬走り的通用口への細道に滑り込む。ここに入ると、途端に世俗から離れ、近距離に外棚が迫ってくる。ほとんど動かぬ並び、奥へ行くほど薄暗くなる住宅と住宅の隙間、奥から聞こえるテレビの音、吹き抜ける冷たい風、一瞬で通り過ぎるスリット状に切り取られた通行人の姿…ここの侘しさは本当に格別で、じっと望みの薄い古本ばかり眺めていると、世間から脱落した背徳感さえ漂ってくる…あっ!、だが今日は、立風書房「じんじろげの詩/愛川欽也」を発見!これはちょっとした拾い物である。外棚は三冊買っても200円なので、他に岩波新書「明治大正の民衆娯楽/倉田喜弘」(生人形師・松本喜三郎の章が!)関東図書株式会社「盆栽捷径/日本盆栽会編」を掴んで店内へ。久々にすべての通路を見て回ると、ブランクの部分が徐々に増えてきているような気が。老店主は相変わらず時々唸り声を上げ、帳場で小さくなっている。精算をお願いすると、天眼鏡で本の地を確認。そこにペンで付けられた×印を確認すると「200円ですね」。お金を払い、袋を断り、「大丈夫ですか。ありがとうございます」の声に送られ通りに戻る。ここの古本犬走りで本を買うのは、月に一二度だが、もしかしたら私が一番多く、この外棚から古本を買っているのかもしれない。決してオアシスではないのだが、心がプルプルゼリーのように震える、なくてはならない、大都会の侘しいエアポケットである。
echigoya_sotodana.jpg
posted by tokusan at 18:35| Comment(4) | TrackBack(0) | 古本屋消息 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
うーむ・・・。最近つくづくかくのごとく思うのであった。古本買いも古本読みも横道細道惑溺「抜けられません」だが、数寄の極みの古ツアレポート文章を読むのも同様だと。
Posted by 小山清 at 2017年01月18日 20:20
11/13に善行堂さんにてお会いした、古書店研究をしていた女子大生です。お陰様で卒論が無事完成し、拙いながらもなんとか納得のいくものが出来てほっとしています。先日お世話になった古書店さんにお礼参りをしていたら、古本屋ツアーさんのブログに書いてあったよ!と教えていただき、バタバタしていて読めていなかった記事を遡り読んでビックリ!ありがとうございます。大学からは卒業してしまいますが、これからも古書店巡りや個人的な研究を続けたいと思っております。
Posted by 古書店卒業論文の大学生 at 2017年01月19日 17:56
小山清様。いや、もうこうなったら、書く人も読む人も一蓮托生です。どうか、最後までお付き合いいただければ。ところで「石神井書林」さんの新しい目録はご覧になりましたか?衝撃の目録です。小山清とかもう卒倒しそうです…。
Posted by 古ツア at 2017年01月20日 07:16
古書店卒業論文の大学生様。コメントありがとうございます。そして卒論完成おめでとうございます!いつか読ませていただきたいものです。そしてぜひぜひこれからも古書店巡りを続けて下さい。その時は、卒論目標ではない、もっと別の楽しい何かが見えてくるでしょう。またいつの日か「善行堂」で!
Posted by 古ツア at 2017年01月20日 07:19
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