2017年02月19日

2/19「あやかしや」をもてなした後、「書原」に別れを告げに行く。

夜に、大市のために上京した広島の古本屋「あやかしや」さんをもてなすために荻窪へ向かう。おもてなしの発案者は古本神の森英俊氏である。午後七時が開始時間だったのだが、仕事が押して遅刻したのを幸いに、夜の「竹陽書房」(2008/08/23参照)をこっそりと訪れてみる。
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おっ、今日の店番は店主夫婦ではなく、時々帳場に座り留守を預かっている老紳士か。では、店主の鋭い視線を気にせず、おおらかに買物が出来るぞ。やけにすっきりした店内だが、通路には市で落札して札を入れる封筒が付いたままの古本束が積み上がっている。そんなものをちょっと気にしながら、扶桑社「大船日記 小津安二郎の思い出/笠智衆」日刊工業「宇宙2025年/パトリック・ムーア」を計800円で購入し、もてなし会場の串カツ屋に駆け付ける。もてなすとは言っても、当然のことながら古本者ばかりが集まっているので、延々果てることのない古本話に終始する。最終的には、いつまでも堂々巡りで出口の見えない帯の話にぐったりしてしまう…いや、確かに面白いのだが、よくもまぁ、帯だけで一時間以上も話せるものだ…。そしてドサクサに紛れて、野村宏平氏につい先日発掘に成功した(2017/02/16参照)動物推理小説「ピースランド殺人事件」に厚かましく署名していただく。
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やった!これで古本の格が急上昇!聞けばこれはゲームのノベライズで、編集部に無理矢理執筆を依頼され、苦しんで苦しんでどうにかでっち上げた小説ということであった。そんな黒歴史的著作に署名していただき、ありがとうございます!ちなみにこの文庫、誰も持っていないと思っていたら、同席した「古書いろどり」(2015/12/12参照)彩古氏が「ボク持ってるよ」とさらりと宣った。うぅむ、さすがは古本神…。

午後十時に散会した後は、通常の帰宅コースは採らずに、丸ノ内線に乗って南阿佐ヶ谷下車。すると大河のような『青梅街道』対岸に、古い昭和四十年代的ビルの「芝萬ビル」が、不夜城のようにそそりたっていた。
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思えばここはとても不思議なビルであった。屋上にフットサル場があり、かつてはアニメ制作会社の『MAD HOUSE』や、エロDVD制作会社が入ったりしていた、まさにキング・オブ・雑居ビルとして君臨した歴史が、杉並の一隅に存していたのである。そしてその一階には『靴流通センター』と、阿佐ヶ谷の文化をどっしり支え続けた新刊書店「書原」が入居していた。だが、その文化のリレーも、本日2/19日をもって、ビル取り壊しのための閉店を迎えてしまったのである…嗚呼。自転車留めの鉄柵が乱立する階段下を突破し、上に駆け上がると、『靴流通センター』はすでに営業を終え、ビルのエントランスは「書原」の天下となっていた。
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これは、一時期南阿佐ヶ谷に住んでいた者としては懐かしく、夜に本屋が開いているホッとする光景なのである。だが店内は当然の如く、平常時とは完全に異なる状況となってしまっていた。お店との別れを惜しむお客さんが大挙押し寄せ、いつもの五倍増しほどの混雑を見せていたのである。店内に突入し、人と擦れ違うのが困難なほどの通路を、どうにか擦り抜け棚を検分して行く。あっ!ちゃんと本屋&古本屋コーナーに『古本屋ツアー』シリーズが並んでいる!ちゃんと取り扱ってくれてたんだと、なんだかとても感激してしまう。そんな店内を楽しみながら彷徨し、最後に購入する一冊を吟味。結局大好きな“夢ちゃん”こと、平山夢明「デルモンテ平山の「ゴミビデオ」大全」を購入し、記念に原稿用紙モチーフの書皮を巻いていただく。感慨に耽りながら表に出て、柱に大きく貼られた閉店の挨拶に視線を走らせる。その閉店挨拶の書き出しは、『昭和四十二年の開業以来、約半世紀にわたり〜』…えっ!俺とまったく年が一緒ではないか!とさらに感慨を深くして、万感の思いを込め、ビルとお店に別れを告げる。
posted by tokusan at 23:57| Comment(6) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
古ツア様、あやかし様にあわれましたか、当地では何度か直接ミステリ本を受け取っています。
大阪、東京に出かけて、市に参加されているとも聞いています。奥の深い話をうかがっています。当地の古書展にはこのところ参画されていないようですが、活躍を期待しています。
Posted by 広島桜 at 2017年02月20日 05:47
古本神ではないですが、『ピースランド殺人事件』は私も持ってい(る筈)・・・
Posted by シンポ教授 at 2017年02月22日 14:37
広島桜様。大市でいったい何を買ったのでしょうか。出品されるのを刮目して待ちましょう!
Posted by 古ツア at 2017年02月22日 18:02
シンポ教授様。教授、教授はどうあがいても古本神ですよ!絶対に!そしてやはり「ピースランド殺人事件」をお持ちになっているとは…。「あらしの白鳩」より、周囲の所持率が低いと思っていたのですが、なんだかそれも怪しくなってきました…。
Posted by 古ツア at 2017年02月22日 18:05
古ツア様、あやかしや様はこのところ当地の古書展には・・・、と書きましたが、本日ふらふらと散策に出たところ、思わぬチラシ。「第8回カジル横川古本市」が4月3日〜12日に開催されるとのこと。もちろん中心は「あやかしや」。これですね!知らなかった!今回で8回目とは。10店です、これは驚き。このチラシは、かってみたことがないものです。期待値大。なぜか、今頃、古本整理中に、寄贈頂きました『ミステリ編集道』を壁際から発掘。申し訳ありません!神様。
Posted by 広島桜 at 2017年02月23日 15:47
広島桜様。良い本を掴めることを、心の底から願っております。「ミステリ編集道」、面白いですよ。
Posted by 古ツア at 2017年02月23日 22:50
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