2017年02月27日

2/27 2DAYS

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一昨日は、一日目を終えたらすぐ家に帰り、ひたすら補充分の古本の堀り出しと値付作業に没頭する。何人ものお客さんに「明日は補充するんですか?」「どのくらい補充するんですか?」「全部入れ替えるんですか?」などと聞かれ、二日間開催という重圧を改めて感じてしまったので、その期待に応えるためにも、どうにかして本の量を増やすとともに新味を醸し出さなければいけない!と悲愴な覚悟を決めつつ、作業は深夜二時までにおよぶ。結局出来上がったのは大小十五本ほどの、ありったけの精鋭部隊(図録多め)であった。…これだけか…情けない…。布団の中にのめり込んで泥のように就寝し、二日目の朝に「盛林堂書房」(2012/01/06参照)小野氏に本と身体をピックアップしてもらう。相変わらず二月の冷え込みををシンシンと感じる西荻窪『銀盛会館』内で、独り補充分を棚につぎ込んで行く。気まぐれに新保博久教授が作った両サイドの『怪奇本コーナー』(こちらはわりと女性に売れて行ったので驚きました)『虫本コーナー』(香山滋の「悪魔の教科書」には『人間うじ』が載っているということで一員に)はそのまま維持し、午前十時半には設営完了。昨日同様館内の掃き掃除をし、今日はさすがに人は少なさそうだな…とボンヤリ考える。ところがそんな意に反して。十分前にはシャッター前に、あの頼もしい古本修羅&古本神が大集合してくれていたのだ!おぉ、みんな!みんなっ!と大きな感銘を受けてしまう。と同時に、彼らの古本を求める期待に応えられる棚を創り得たのか、まるで死刑執行を待つ絶望的気分にも陥ってしまう。シャッターがンガランガラ上がって行く途中で(上がりきったら入場可能になるシステム)、「本日二日目です。よろしくお願いします」と挨拶をすると、何故か暖かな拍手がバラバラと巻き起こった。私がなし得た、何かへの礼賛の拍手なのであろう。その奇妙な暖かさにここでも不覚にも、ちょっと感動してしまう(ちなみに拍手をしているのは、すべて見事なまでのオッサンなのである)。しかしその後はそんな感動を吹き飛ばす、昨日見た光景であるはずの、左奥での古本奪取戦闘シーン!…あぁ、でもこれでいいんだ。みんなが求める本を、どうにか再び並べることが出来たのだ。ホッと胸を撫で下ろし、死刑台からすっかり遠退き安堵する。その嵐が一時間ほどで過ぎ去ると、さすがに昨日とは違ったのんびりした時間が流れて行く。昨日今日での商店街の人の流れの違いもあるのだが、それでも通りすがりの人も陽気のせいかフラリと迷い込み、100・300・500均もそれなりに売れて行く。午後四時からは『500円以下100円タイムセール』も敢行し、最後にもうひと盛り上がり。ちょうど午後六時に流れが絶えたのを見計らい、冷たい夜気を断ち切るようにシャッターを下ろしてイベントを終える。ど、どうにかこうにか走り終えた…駆け抜けられた…。本当にみなみなさま、ありがとうございました!全国から集めて来た良書&駄書をお買い上げのみなさま、大事にしていた掘出し物を継承していただいたみなさま、何も買わずとも足を踏み入れてくれたみなさますべてに、心の底から感謝いたします。この二日間は、曲がりなりにも自分の夢である古本屋と言う店舗を持ったことになるのだが、そんな実感はさらさら皆無で、ただただ商品としての古本を掘り出し値付けすることと、それらをグルグル結束すること、会場に運び込むこと、並べること…これらだけで手一杯になってしまった感がある。本当はもっとしっかり本を吟味準備し、クリーニングにも手を施し、見せる棚造りもするべきだったのだが、時間がやはり圧倒的に足りなかったのだ。だからその時間の無さと手間の大変さから、当初は一回目に運び出した分プラス、キモの本をうまくディスプレイして、それっぽい会場にしようと、軽く考えていたのである。だが、今回のイベントの後援である盛林堂・小野氏から、常に「準備してる?」「これじゃあ本が足りない」「催事は甘くないよ」「思ったほど売れないよ」「もっとボリュームを」「この倍」「後二十本」「二日間とも補充しないと」「予備の本は?」「後何本作るの?」などとお尻をバンバン叩かれ続けた結果、あのそれなりの会場になったわけである。最初は「本職じゃないんだから」などと不遜に思い、そこら辺を巧く誤摩化そうとしていたのである。だが結果としては、誤摩化さないで良かったと、スパルタ的古本屋教育を施してくれた小野氏には、盛大に感謝している。何たってちゃんと売れた。会場内に人が長く足を留めてくれた。会場がちゃんと混み合った。そんな事柄がうまく重なり、二日間で計830冊を売る結果となったわけである。こうなると、もしかしたら頑張れば、これで食べていけるのではないか…などと愚かにも考えてしまうのだが、まぁそんな甘いものでないことは分かりきっている。だが、甘い夢を見ることは、とても楽しく幸福なのである。

市終了後は、フルスピードで撤収作業に入る。本を縛りやすい大きさに積み重ねて集め、縛って行く。同時に空きスペースを広げて行き、什器を片付けて行く。売れ残った本は、ほんの一部を除き、すべて買い取ってもらうことにしている。そんな風にして精算作業も含めすべてが終了したのは、午後八時前。二日間お世話になった会場に別れを告げ、駅近くで盛林堂夫妻とささやかに打ち上げる。

さて、それではこの古本市を開催した結果、肝心要の我が家は、『人間としての住居』を取り戻せたのであろうか?今回およそ二千冊余りの本を運び出したことで判明したのは、我が家の蔵書量である。消えた本は目算で、およそ四分の一くらいであろうか。つまり元は八千冊ほどで、現在はそれが六千冊くらいになったのではないだろうか。だが、これでは残念ながら、それほどの変化は起こらない。古本山は小さくなったり低くなったりしたが、山は山として厳然と存在しているのだ。取りあえずは小さくなった山を合体させて、少しは生活スペースをを奪還するようにしたいものである。…人としての住居が戻る日は、まだまだ遥か遠いようだ…。
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これは居間の西南角にある山。高度が下がりだいぶ安定性が増した。
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こちらは居間北東の山。扉の開け閉めがしやすくなった。
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キッチン隅の山。高度が下がり、圧迫感が消滅。
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仕事場の山1。「古本屋ツアー・イン・ジャパン それから」を見ていただければ分かると思うが、手前の文庫の壁が激減した。その後に隠れていた本体も少し低くなり、部屋の見通しが良くなった。だが、なんだがガタガタに採掘した採石山のような不格好さが悲哀を誘う。
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仕事場の山2。乱掘により、ガタガタのヒドい状況に。だが大きさにそれほど変化はないのが不思議である。まぁちゃんと整理すれば、それなりに縮小するのだろうと考えている。

とこんな風に本が減ったのに、朝一番で「ささま書店」(2008/08/23参照)に向かい気持ちよく買物してしまう。桃源社「極楽とんび(上)(下)/宮本幹也」(ともに帯付き)新潮社「ぬいぐるみさんとの暮らし方/グレン・ネイプ 新井素子・土屋裕共訳」K&Kプレス「光は新宿より/尾津豊子」となかなかの本たちと出会い、興奮。他に青林堂「「無能の人」のススメ/竹中直人責任編集」を手にして計525円で購入する。
posted by tokusan at 14:08| Comment(4) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
古ツア様、お疲れさまでした。部屋の高度は確かに低くなりましたが、これはもう全冊処分しないと、居住空間は見つからないような気がします。数年前に、ある方がお亡くなりになって、処分を頼まれた時、欲しい本は持っていけと生前言われていましたが断念。いえ、うめき声が聞こえたもので。本がなくなったあとは、何か影があって怖かったです。ところで、つい最近、当地の、しかも市内に6年前にできた古本屋さんがあるというタレこみで駆けつけ挨拶して乱歩を購入。そこは、家にためこんだ古本の持ち主がなくなって、そのまま、そこを古本屋にして商売をしているという凄まじさ。これは怖いです。土足で室内に入り込みました。そういわれたので。
Posted by 広島桜 at 2017年02月27日 20:20
準備期間含め二日連続の古本市お疲れさまでした。
購入した古本をパラパラめくっていて初めて気がついたのですが、値札の「フォニャルフ」の上に「古本ヤモドき」の文言が!(印字が濃く目を凝らしても漢字が読み取れないのですが、たぶん「屋」「擬」の旧字・異体字なのだろうかと想像しています。)
今まで聞いた覚えのない古本市のタイトルといいタイムセールの予告といい、細部まで遊び心のある他では味わえない…替えるもののない楽しい古本市でした。
Posted by 古本極道 at 2017年02月27日 22:53
広島桜様。いやいや、高度が低くなっただけでも、快適ですよ。そしてこれを繰り返して行けば、いずれは普通の生活が…ああ!夢ですね。古本買うのをやめないと、たぶんどうにもなりません。それより、その家が古本屋さと化しているお店、とても行きたいです!いやぁ、やっぱり古本屋さんって、アナーキーで格好良いなぁ。
Posted by 古ツア at 2017年02月28日 21:40
古本極道様。たくさんお買い上げいただき、ありがとうございました。ちなみに「フォニャルフ」の値段札には『古本屋擬き』と入っています。今回の値札は、いつもフォニャルフで使っている札を、盛林堂夫人がスキャンして作成してくれた、特製札なのです。劣化して潰れてしまったのですが、それもまたひとつの味であります。
Posted by 古ツア at 2017年02月28日 21:44
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