2017年03月29日

3/29「比良木屋」で古本を買って最後の挨拶を。

「フォニャルフ」補充入替用の本を携え、夕方の陽光が眩しい西荻窪へ。そのまま「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に向かえば、ズッシリ重い古本からすぐさま解放されるのだが、バッグを提げる腕に力を込めたまま、北口東方にテクテク歩を進める。やがてビル一階ミニミニ商店街の古本屋さん「古書 比良木屋」(2008/09/12参照)にたどり着く。三月一杯でお店を閉めてネット店に移行するため、現在閉店セール中なのである。店頭には古本屋さんにあるまじき派手な黄色の『大売出し』幟が翻り、扉には『全品2割引セール』が『全品5割引セール』に書き換えられた貼紙が、哀しく白く輝いている。
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店頭に溢れ出たボロい古書を、ついつい慈しんでしまう。大正12年とある、本革の手帖はキリスト教信者の使っていたもので、ページは敬虔な事象や事柄の記録にあふれている。文庫も改造文庫や戦前新潮文庫が出されているので、かなり夢中になってしまう。そして入口横の本棚から、とても喜ぶべき大判の一冊を掴み取り、本を詰めたバッグを扉横に放置し、重い扉をスライドさせて店内へ。即座に奥でダウンコートを着込んだ店主が、明るく「いらっしゃいませ」と声をかけてくれる。ぺこりと会釈して、直ぐ横の漫画カルチャー棚に熱い視線を注ぎ、そのままの熱さを維持しつつ、向かいの文学棚にも集中する。それにしても、店内はこんなに魔窟の如き本の山だったろうか。左の詩集や音楽棚は深く健在。その棚には『値段のない本は千円』の貼紙あり。時々山や棚から本を取り落とし、奥の店主に謝罪しながら、最終的に右側通路の古い文庫棚に食らいついて一冊を抜き取る。春陽堂少年文庫「家庭用兒童劇/坪内逍遥」THE JUNIOR LITERARY GUILD and THE JOHN DAY COMPANY「SKYSCRAPER」を計1100円で購入し、あっけなくお店に別れを告げる。十七年間、西荻窪で古本を売って下さり、ありがとうございました。そのうちの九年間で、時々店頭を眺めて、時々安い本を買うたいしたことないお客でありましたが、それでも感謝に堪えません。今中央線沿線で、古本屋さん集合地帯として一番ホットとも言える西荻窪から、ひとつの古本屋さんの灯が消えてしまうとは…。だがそんな悲しみをグッと飲み込めるほど嬉しかった収穫は、店頭棚から100円で買った大判の洋書「SKYSCRAPER」。1934年出版の、ニューヨーク『エンパイア・ステート・ビル』の建設を克明に追った写真集なのである。しかもこの本は見返しに貼られたラベルから推察すると、1938年の9月に、ミセス・カーティスから日本のアメリカンスクールに送られたものらしい。よくもまぁ、こんな本が遥々アメリカから昭和十三年に日本に送られた後、二十一世紀の西荻窪にたどり着いていたものである…。
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お店を出て「盛林堂書房」に向かい、「フォニャルフ」棚をどうにか三分の一ほど入れ替える。少し目新しくなりましたので、お近くにお寄りの際は、ぜひとも覗きに来ていただければ。帳場前ではでは北原尚彦氏や横田順彌氏に謁見しつつ、店主・小野氏と色々打ち合わせる。
posted by tokusan at 20:10| Comment(6) | TrackBack(0) | 古本屋消息 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
今日はどうもでした。あのあと比良木屋、行きました。小山さんが先に行った後だからペンペン草も生えてないだろう……と思ったら、博文館文庫版『小公子』があったので買いました(;^_^
最後にいい買物ができてよかったです。
Posted by 北原尚彦 at 2017年03月29日 22:10
関西古本屋めぐりの旅から戻りました!
フルツアさんのブログなどでしか知らなかった古本屋店主と対面するのはかなりテンションの上がることでした。
個人的には「ヨゾラ舎」(京都)と「Trumpet」(大阪)が印象深かったです。いやぁ、関西いいですね!
Posted by ひな菊 at 2017年03月30日 10:22
北原尚彦様。フフフフ、北原さんが買うと思って、残しておいたんですよ……あぁ、すみません!一度言ってみたかったんです。
Posted by 古ツア at 2017年03月30日 21:48
ひな菊様。関西より、お帰りなさい!「ヨゾラ舎」さん、軽口と低姿勢が、本当に素敵ですよね。大阪の「Trumpet」ってなんですか!?今度お会いしたとき、ぜひとも情報教えてください!ひとまずはおつかれさまでした。
Posted by 古ツア at 2017年03月30日 21:51
Trumpetさんは大阪の福島に2014年オープンの古本屋さんです。本は人生のおやつさんから教えてもらって行ってきたんですが好みの選書で気に入りました!

古本屋さんスクラップブック(以前ファイルで作ってたもの)をカラーコピーで冊子にして持ち歩いてるんで、いつお会いしてもお見せできます笑

ひとまずのんびりしまーす。
Posted by ひな菊 at 2017年03月30日 22:23
ひな菊様。おぉ、「本は人生のおやつです」さんにも行かれたのでですね。二人で話がずんどこ弾みまくる光景が、目に浮かびます!
Posted by 古ツア at 2017年04月01日 14:43
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