2017年04月14日

4/14東京・五反田 第四二回 本の散歩展

早起きして、まるで夏の朝のような日射しが鋭い五反田の裏町を縫って歩き、『南部古書会館』へ向かう。「第四二回 本の散歩展」に、「聖智文庫」さん(2013/05/16参照)と「古書一路」さん(2013/03/08参照)に誘われての行動である。午前九時四十分に会館に到着すると、すでに一階ガレージは開場され、安売本を求めてたくさんの古本修羅が本を抱えて活発に蠢いている。うむ、やはり古書会館の光景は、こうじゃなくちゃ!と同時に、二階へ上がる脇の階段入口から、修羅の整列が次第に長さを増していく。こちらは二階に命を懸ける者たちが、午前十時の会場を、今や遅しと静かに待ち構えているのだ。この様子だと、結局一階にも二階にも出遅れている感があるので、焦らずのんびり構えて、シンプルに読みたい本だけを買うことに決める。というわけで修羅化せずに、修羅に揉まれ修羅越しに本を見て、何も買わずにあっさりとカバンを預けて二階へ上がる。入口から静かな熱気と殺気と本気が交錯する会場に踏み込むと、右の帳場にいた「古書 赤いドリル」さんから陽気に声を掛けられる。その後も棚を見ながら「一路」さんと挨拶を交わし、会場をスルスル巡回。「聖智文庫」棚を眺めていると、いつの間にか背後を店主・有馬氏に取られており、「なにやってんだよ」と話しかけられびっくりする。そして徐に棚にあった横溝正史「変化獅子」を手に取り、「安くしてあげるから買いなよ」とその場で値段を半額に直してしまった…おぉ!逆植草甚一的値段修正!と喜び、もちろん買わせていただくことにする。さらにその後も突然近くに現れる有馬氏とポツポツお話しする。今度、なんだか面白い倉庫に連れてってくれると言うので、喜んで同行をお願いし、今から激しく楽しみに思ってしまう。三洋出版社「変化獅子/横溝正史」春陽堂文庫「宵待草/武田麟太郎」創元推理文庫「百万長者の死/G・D・H&M・コール」(三版)長崎文學社「長崎昔噺集/歌川龍平」を計2500円で購入する。この会館展は明日土曜も開催される。
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写真は実は新刊書店と向かい合っている南部古書会館。

そして家に戻って午後三時に、奇妙な依頼を果たしに近所のある店舗へ向かう。このお店のオヤジさんとは、日頃挨拶を交わしたり、時々立ち話をするご近所的間柄なのだが、会話の端々で私が古本好きなのを知ってから、度々自宅の本の整理について相談されていたのである。本を売るのだったら、私などに相談せずに直接古本屋さんに来てもらうのが良い、と常々助言していたのだが、どうも踏ん切りがつかないのと、どうしたら良いか決まらないらしい。だからなのか、今日古本市に出掛けのところを話しかけられ、「ちょっと本の様子を見てくれないか」と頼まれてしまったのである。無碍に断るわけにもいかないので、とにかく一度その蔵書と対面することになってしまった…なんだかますます人生が、古本のためにおかしな方向に進みつつあるな。漫画「ジョジョの奇妙な冒険」で第四部から『スタンド使い同士は引き寄せ合う』というようなコンセプトが出現するが、それと同じで『古本修羅は古本修羅と引き寄せ合う』運命にあるようだ…。それに私に出来ることなどたかがしれているのだが(何となく売れそうな本があるか蔵書をチェックし、合いそうな古本屋さんを紹介するのが関の山…)、まぁ何かの気休めにはなるのだろうと、お店の前に立ち、住宅部分への扉をノックしている。招き入れられ、本が多くあるという二階部分に付いていくと、確かに壁際に結束された本の山が築かれている。ジャンルは主に美術・建築をメインとしているようだが、不思議なことにあまり本は見せてくれないのでその全貌は結局分からず終いな上に、まだ他の部屋や一階奥にも本はたくさんあると言う。そして結局話を詳しく聞いてみると、整理したいことは整理したいのだが、何も具体的には考えていないらしく、溢れる話はただただ古本にまつわるエピソードと生き様について。あぁ、私は人の家でいったい何をしているんだ。だがとにかく何故だか、その本の整理分類から処分までを、私に頼みたいとのことなのである。古本屋さんに依頼した方がスピーディで適確なことを伝えても、「そこは君に」の一点張りなのである。恐らく私は、奇妙に気に入られているのだ。そして、恰好の話し相手に選ばれているのだ…。なので説得される形になったが、●時間のあるときに作業●それには時間がかかること●まずどこにどんな本があるのか確認を進めたい、などを条件に出すと「では一部屋に私が本を家中から厚め、そこを作業部屋にしよう」と提案がある。それなら多少なりとも楽なのと(気の方も…)、その本を集める作業は恐らくなかなか進まないだろうと意地悪く確信し、とにかく準備ができたら連絡してくれと伝えておく。…まったく奇妙なことになったものだ。自分の家もままならぬのに、人の家の蔵書整理を手伝うことになった、愚かな私。こうなったら、素晴らしい稀本でも出て来ることを期待するしかないか…でも、どんな本があるのか全然分からないんじゃ、まだ海のものとも山のものともなんともかんとも。それに本当に着手まで至るのだろうか…ふぅ、古本好きには、やっぱり変わった人が、多いなぁ。
posted by tokusan at 17:00| Comment(3) | TrackBack(0) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
古ツアさん、こんにちは。またまた、おもしろいことになってきましたね。このおやじさんは、きっと、古ツアさんと仲良くなりたいんでしょうね。今後の成り行きを楽しみにしてますよ^^
Posted by 黒猫太郎 at 2017年04月15日 07:51
おはようございます。ね太郎改め、ね多朗です。
不思議なおはなし、今後の展開やいかに、ですね。
ミステリ風に仕立てて新作一本いかがですか?
Posted by ね多朗 at 2017年04月15日 08:15
黒猫太郎&ね多朗様。まったく本当に、どうなってしまうんでしょうか。というか、何をやっているんでしょうか…。まぁ乗りかかった船なので、どうにか色々ちゃんとこなしていきたいと思っております。何か動きがあれば、また報告いたします!
Posted by 古ツア at 2017年04月15日 20:28
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