2017年06月29日

6/29古本屋ツアー・イン・せんべろ古本ツアー 都電荒川線編

六月二十八日水曜日午前十一時三分前の、小雨の池袋である。東口の『明治通り』から一本東に入った通りにある、二十四時間営業の『鳥良商店』に傘を畳んで入り、店員さんに待ち合わせであることを告げる。店内を見回すまでもなく、奥の窓際席ですでに聞こし召している、とみさわ昭仁氏(特殊古書店「マニタ書房」(2012/10/27参照)店主&ライター)・柳下毅一郎氏(特殊翻訳家&映画評論家)・安田理央氏(ライター&アダルトメディア研究家)が視界に飛び込んで来た。
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近づき挨拶を交わすと、もう一杯目を飲み終わるところ…は、早い、時間通りに来たのに、何だか遅刻した気分である。「ウチらはこの時だけはちゃんと時間守るんだよね。しかも時間通りというか、もっと早い」ととみさわ氏。「やっぱり飲んで古本買いに行くとなるとね」と安田氏。そして柳下氏からは扇形に並べた名刺の中から一枚を引き抜くよう勧められる。真ん中辺りのを引き抜くと…『無』と墓碑銘が刻まれた墓の写真であった…何故!?「それは小津のお墓の写真です。すごくいいお墓なんですよ」…うぅ、何故なんだ…。そんな風にせんべろ古本トリオに迎え入れられ、こちらも追いつくためにグイグイビールを呷り始める。プッハァ〜!これは幸せだ。安い酒場でお酒を楽しみつつ、古本屋を巡り倒す『せんべろ古本ツアー』に参戦する夢が、ついに叶ったのである。午前十一時から飲酒など、非常識も甚だしいのだが、もはやトキメキはノンストップ!たくさん本を買ってしまいそうな予感がするので、どうにか財布の紐は固く締めて行こう。しかし古本トリオは、すでに二杯三杯とアルコールをたんまりと身体に補充し続けている。俺は、果たして旅の最後まで同行出来るのだろうか?楽しさ嬉しさに任せて杯を重ねれば、恐らくアルコールの過剰摂取で昏倒してしまうだろう…こちらもペース配分をしっかり考えて行かなければ…。今回のツアーは、都電荒川線沿線の古本屋さんを巡る計画で、その第一歩は正午開店の「古書往来座」(2009/01/09参照)となっている。古本を買うことより、まず飲むことからスタートするこの集まりの志しに共鳴しながら、古本屋の話はもちろんのこと、『長ネギ=南蛮』説や日本に於けるグラマーの歴史や『ナポリタン』の起源について熱く話していると、あっという間に正午となり、周囲はランチ客だらけとなっている。すでに『せんべろ』を逸脱している一人頭二千円を支払い、早速重くなり始めた腰を上げ「往来座」へと向かう。テクテク歩いて店前に着くが、あれ?開いてない。臙脂色のシャッターが冷たく下がっている…「ここは時間通りに開いてる、盤石の店のはずなのに」と一同驚愕しながら初っ端から途方に暮れる。
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とみさわ氏はシャッターに耳を当て「人の気配がするんで、もうすぐ開くのでは…」などと小さな希望を抱いているが、まだまだ先は長いので、諦めて次のお店に向かうことにする。後で乗るはずの都電荒川線線路を越え、雑司が谷に入り込んで行く。すると目に入ったのが開店している「旅猫雑貨店」(2008/07/19参照)であった。三人とも初見のようなので、ちゃんと古本も売っていることを説明すると、躊躇なく店内に吸い込まれてしまう。うむ、さすが古本トリオ。古本を求める情熱には、とことん忠実なのであるな。
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まだ壁際に並んでいた撤収寸前の「猫ノフルホン市」(2017/06/16参照)に食いつく三人を尻目に旅猫さんにご挨拶し、ここでは「レティシア書房」さんから、新建築社「光跡 モダニズムを開花させた建築家たち/池原義郎」を900円で購入する。とみさわ氏は古本以外にも、雑貨店の魅力に魅せられ和雑貨も一点購入していた。続いてそのまま商店街の先に進み、途中肉屋のプラ看板の恰好良いフォントに感激しながら「ジャングルブックス」(2010/08/20参照)。今日はユキさんもケンさんも不在の日らしい。アイヌの観光写真絵葉書「熊を柵内に入れんとす」を500円で購入する。都電荒川線方面に引き返しながら、お煎餅屋の工場直売店にフラリと入ったり、昭和な『雜二ストアー』に吸い込まれたり(柳下氏が「そうか、雑司が谷二丁目だから『雜二』なんだ!」と謎を解明するシーンもあり)、
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公園のトイレでスッキリした後に、ようやく鬼子母神駅から都電に乗車する。
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全員『一日乗車券』を購入しようとするが、運転席には一枚しかないというので、次の乗車時に買うことにして、全員で安田氏購入のおせんべい(ミックス)を摘みながら、車内ではそれぞれがそれぞれの場所で自由に過ごす(とみさわ氏は文庫を読み、安田氏はスマホを操作、柳下氏は軽く睡眠)。イレギュラーで『滝野川一丁目』で下車し、三人にはぜひとも体験していただきたかった「龍文堂書店」(2009年07月08日参照)へご案内する。営業しているかどうか不安だったが、ちゃんと店頭雨仕様で営業しているではないか!
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そして目論みはズバリ的中し、古本トリオ全員がお店の佇まいに感動した後、すぐさま店内に突入し、狭い通路を忙しなく行き来し始めたのである。このお店をこんなにも楽しむなんて、『古本トリオ』どころか『古本三銃士』と呼ばせて下さい!と思考を酔いに任せてスパークさせつつ、遅ればせながら店内に突入する。すでに安田氏が、エロ本&写真集のコーナーを縦に深く深く掘り下げている(この状態を後に柳下氏は「ゾーンに入った」と表現)。とみさわ氏は私が棚からつかみ出した黒木香の「フルーツ白書」を受け取ると「300円か…これは店に並べられるな」と抱え込む。ウハハハ、何だかとても楽しい、楽しいぞ!と私は函ナシの三陽堂出版部「麒麟/谷崎潤一郎」を300円で購入する。再び都電に乗り込み『一日乗車券』を買おうとするが、今度も一枚しかないと言う。なんだ、都電は各車両に一枚しか『一日乗車券』を常備してないのか?と疑問に思いつつ、取りあえずその一枚を私が購入し、三人は運転手の提案により、ICカードに『一日乗車券』のデータを書き込むことにする。これで全員が乗り降り自由となり、続いて王子駅で下車。開店時より本の増えた感のある「コ本ヤ」(2016/07/19参照)では学研昭和49年「中学一年コース新年特大号」第3付録「なぞのゆうれいイヌ/エラリー・クイーン(原作)福島正美(文)」を500円で購入する。
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対岸に渡りつつ「山遊堂 王子店」(2008/08/31参照)へ。リサイクル書店の皮を被った狼であるが、欲しい本は値付がわりとしっかりしていたので、早々に退散する。三人は一階二階と存分に楽しんだ模様。
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さて、ここら辺でアルコールも尽き、小腹も空いてきたので二軒目の飲み屋に入ろうとするが、とみさわ氏提案の「立ち飲みのおでん屋なんだけど」の発言に柳下氏&安田氏が「えっ!?」…実は微妙に疲れていたので、全員が腰を落ち着け足を休めたかったのである。なのでそんなお店を探し、王子の街をゾロゾロうろつくが、結局午後四時開店の大衆酒場「山田屋」で再び飲み始める。いやぁ、広くてメニューが安くて味があって、感激のお店である。
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みなそろそろチューハイや日本酒に流れて行くが、俺はそれをやったら即沈没しそうなので、グッと我慢してビール一辺倒で過ごすことにする。半熟卵・ハムカツ・ウィンナー・磯辺揚げ・生揚げなどを摘みながら、準完全密封弁当箱『フードマン』の話で大いに盛り上がる(とみさわ氏と安田氏が企画し、三つのゾーンに分かれたその新型弁当箱に、美味しいお酒のおつまみをびちっとセンス良く詰め込む大会を開いたとのこと。自分の持ち寄ったつまみコースには、「ジョジョの奇妙な冒険」のスタンド的な名を付けることが義務づけられたそうである。あぁ、この人たちは、仕事と遊びを絶妙にゴッチャにして、人生をとことん謳歌しているのだな…。そんな風に楽しく飲んでいたら、午後五時半に『梶原駅』の「梶原書店」(2008/08/31参照)。
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店頭100円棚で津軽書房「北津軽群東京村/三上寛」を発見して喜びながら店内に進むと、とみさわ氏が「スゴいの出てきた」とつぶやきつつ、うらやましい「ロールプレイングハンドブック」(パソコンRPGに至る前の、本やテーブルトークRPG時代の本!)を手にしているのを目撃する。私はさらに店内で萬葉堂書店「図説 陸前のオシラサマ/三崎一夫」を見つけて300円で購入。この後は一気に『三ノ輪駅』まで移動。車中、椅子に座っていない俺以外は全員夢の中に落ち込んでいた。短い束の間のリフレッシュ時間となる。降車するや否や、トイレに駆け込むオヤジたち…いや、だいぶ王子で飲んでいたんで、仕方ありません。「古書ミヤハシ」(2009/08/09参照)は、もはやレジに立っているのが、最近のコンビニ事情の如き中国人なのに面食らいながら、店内が異様に鉄道的に充実しているのに目を瞠る。
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ここではアムステルダムの街を紹介する洋書パンフレット「Starring Amsterdam」を300円で購入する。写真館のミニアーケードを抜けて、地元的書店ともはや生きた化石とも言える猫の寝転ぶCD屋に足を運ぶが収穫ナシ。都電で折り返して本日のツアー最後の目的地である『庚申塚駅』下車。すでに午後七時を過ぎているのだが、おぉ!予想に反して昭和遺産の「かすみ書店」がしっかりと営業しているではないか!夜の帳の中に浮かび上がる古本屋さん!その中に蠢く古本三銃士の惚れ惚れする勇姿!
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あぁ、この写真が間違いなく、本日のベストショットである。そして最後の最後に、都電駅のホームに直結した居酒屋「御代屋」で打ち上げ&総評を行う。
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いやぁ、本当にハードでやはりとことん酔っ払ってしまいましたが、楽しかったです。このツアーを別な視点から見た様子は、安田氏のブログ『ダリブロ』をご覧ください。
http://rioysd.hateblo.jp/entry/2017/06/29/160831
いやぁ、古本屋さんには、様々な楽しみ方があるものです。
posted by tokusan at 23:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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