2017年07月10日

7/10本郷でレジスターの歴史を遡る

東大近くでひとつの用事をこなし、そのまま北から『本郷古本屋街』に突入する。灼熱の陽光を浴びる通りは、車の通行以外はいつもの静けさを保っている。うわっ!楽しみにしていた「第一書房」(2011/08/16参照)がお休みだ…。本郷に来て、ここの外棚を見られないのは、だいぶショックが大きい。だが開いてないものは仕方ない。手ぶらでそのまま南下を続けて「棚澤書店」(2009/10/08参照)にたどり着き、外に並んだ100均箱に希望を託す。
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小学館学習百科図鑑「化石と岩石・鉱物」晶文社「子どもたちを犯罪から守るまちづくり/中村攻」中公新書「ル・コルビュジエを見る/越後島研一」を計300円で購入する。今まで気付かなかったが、薄いエメラルドグリーンのレジは鉄製で、だいぶ古風である。精算はガシャコンとレバーで行い、前面に集まる数字ボタンが、まるで柱状節理のように段々に美しく密集しているのだ。珍しい木製バルコニーを備えるお店とともに、長い年月を働いて生き延びてきたのであろう。店内を吹き抜ける生温い風を浴びながら、そんなことを考える。外に出て、再び暑い街路を歩き始めるが、身体が早くも水分の補給を求めているようだ。『東大正門前』で脇道に曲がり込み、思い切って憧れの『万定フルーツパーラー』に飛び込んでしまう。
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店内には客は一人もなく、ただただ昭和の喫茶&食堂風景を凍り付かせたような空間が存在している。内装は焦げ茶の木材を基調にしており、茶と白の市松模様タイルの床上には、細い鉄脚を持ったテーブル席が窓際に広がる。そして何と言っても一番目を惹くのは、入って正面左にある、円形のカウンター席…あぁ、懐かしいという言葉だけではすまないこの感じ、秩父のカフェーの生きた化石『パリー』(2011/06/07参照)とまったく同種の味わいではないか!と大いに喜び、勧められた窓際の涼しい席に陣取り、レモンスカッシュを注文する。すると壁には写真家・高梨豊の、大きなオリジナルプリントが掛かっているではないか。写っているのはお店の巨大な木製レジスターで、もはやアンティークの域に突入してしまっている、とてつもなく素晴らしい物である。棚澤のレジも格好良かったが、こりゃあ格が違い過ぎるな…。そんなお店でたっぷりと昭和初期空間に浸かった後(メニューにあったカレースパゲッティとハヤシスパゲッティはいつか絶対食べに来よう…)、レモンで元気を得たのでさらに南を目指し「大学堂書店」(2009/01/06参照)へ。色々ゴソゴソと漁るが、奥の大型雑誌箱から探し出した一冊の俳句雑誌を購入することに決める。東炎山房「東炎 第九巻 第十一號」を350円で。俳句には縁遠い身なので、中身にはほとんど興味がないのだが、なんと表紙が織田一磨の自刻木版画なのである!『ランプ』とタイトルが付き、裏表紙にはそのランプに火を灯したであろうマッチも刷られている。表紙は印刷ではなく、その木版が直接刷られているようだ。さすがに織田一磨が刷ったわけはないだろうが、どんな形であれ、これは立派な織田一磨の版画作品と言えるだろう!中を見ると、谷中安規のカットも発見したので、即嬉しさ倍増となる。
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posted by tokusan at 17:54| Comment(2) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんわ、暑いですね。
府中の「木内書店・仮店舗」に行きましたら「三月十四日に閉店しました」と貼り紙されていました。駅前の再開発終了後に新店舗で営業するはずだったと思うのですが、「永い間ありがとうございました」とも書かれていましたので残念ながら移転前に閉店してしまったという事なのでしょう。
数ヶ月前の話ですので、すでにご存知の事でしたらご容赦ください。
Posted by 古本極道 at 2017年07月11日 18:39
うわっ、「木内書店」が…ずっと気になってはいたのですが、観察をすっかり怠っていました。再開店しなかったのは、誠に残念です。情報ありがとうございました。
Posted by 古ツア at 2017年07月12日 07:19
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